網走市 6年度教育行政執行方針 学校教育指導員を配置 支援センター指導員増員も(市町村 2024-03-11付)
網走市教委・岩永雅浩教育長
【網走発】網走市教委の岩永雅浩教育長は、1日開会の市議会第1回定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。生徒指導の充実に向け、新たに学校教育専門指導員を配置し相談体制を充実させていくとともに、教育支援センター(クリオネ学級)の指導員を増員し多様な学びの場の環境整備を進めていく考えなどを明らかにした。
執行方針の概要はつぎのとおり。
▼幼保小等連携
子どもが円滑に小学校生活を始められるよう、幼児と小学校児童との交流を充実させるとともに、教職員間で教育内容や指導方法についての情報交流や相互理解を深めるため、幼稚園や保育園、認定こども園と小学校との連携を進めていく。
▼義務教育
義務教育9年間の小中連携を通じて、社会的・職業的自立に向け、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、児童生徒が一人ひとりのキャリア形成を育むために、キャリア・パスポートを活用するなど、自己の変容や成長の自己評価を促すキャリア教育を実践する。
新型コロナウイルス感染症は、5類感染症へ移行後、制限なく全ての教育活動が取り戻されたところだが、引き続き、感染症への正しい理解とリスクを避ける行動を取ることができるよう指導を徹底するとともに、学校運営が円滑に継続できる学校環境整備にも取り組んでいく。
GIGAスクール構想により整備した1人1台端末や電子黒板などのハードウエア、デジタルドリル教材や指導者用デジタル教科書などのソフトウエアを一体的に活用し、令和の日本型学校教育の実現に向け、個別最適な学びと協働的な学びの充実に取り組む。
教職員で組織する学力向上推進委員会や学校ICT活用推進委員会での学校間の情報共有、指導方法の工夫改善、小中連携の取組を進め、教員の専門的知識や指導技術の向上を図るため、引き続き、全ての小・中学校での公開研究会の開催や学力向上フォーラム、特別支援教育研修会、ICT研修会や新任教職員研修会を実施するなど、今日的課題やキャリアステージに応じた教員の育成を推進する。
一人ひとりの資質・能力を伸ばしていくための細かな指導の充実に関しては、全国学力・学習状況調査の結果の分析や学校評価ガイドラインに基づく教育課程の編成による授業改善に向けた指導助言等を行う教育研究者を招き、教員の指導力向上を図る研修を実施するとともに、学習支援員の配置による算数・数学科での習熟度別指導や少人数指導、外国語指導助手(ALT)の配置による英語教育の充実に取り組む。
土曜日や長期休業中、放課後での学習機会の創出・支援では、東京農大や市内高校と連携し、学生ボランティアを活用した取組を推進していく。
家庭や地域と連携した学力向上の方策としては、生活リズムチェックシートの積極的な活用を図るなど、基本的な生活習慣の確立や家庭での学習習慣の定着に向けた取組を推進する。
豊かな人間性を育む教育では、学校教育と社会教育が連携し、学校支援地域本部事業やデジタル図書館を利用した読書活動の推進、社会教育機関・施設などの地域資源を活用した自然体験や職業体験、ボランティア活動など、あらゆる教育活動を通して、自立心や自律性、思いやりの心を培い、子どもたちの豊かな人間性や社会性を育む教育を推進していく。
健やかな体の育成では、楽しく、達成感が味わえる体育授業をはじめ、全小・中学校が行う1校1実践の取組、タグラグビーの推進、オホーツク網走マラソンへの参加促進などに努めるほか、日本体育大学との連携のもと、大学指導者による教員研修を通して、体力向上を図る取組を進める。
生徒指導では、SNS利用上のトラブルやいじめ、不登校など様々な問題に対応できるよう、学校間における情報モラルに関する指導や新たに学校教育専門相談員を配置し相談体制を充実させるとともに、関係機関との連携を図りながら、これらの未然防止、早期発見、早期対応を強化していく。
特に、いじめの問題は、市いじめ問題等対策連絡協議会を開催するなど、学校と家庭・地域における情報の共有や指導体制の充実を図るとともに、重大事態が疑われる場合は、市いじめ問題専門委員会を開催し、迅速に対応を進める。
いじめの防止では、学校と家庭・地域における情報の共有や指導体制の充実を図るとともに、児童生徒が1人1台端末などから相談できるアプリを導入するほか、有識者による講演会を開催し、いじめ撲滅に向けて地域一丸となった意識醸成を図っていく。
さらに、各学校の児童会や生徒会などが行ういじめ防止に関する活動の交流や、子どもたち自身がいじめの問題について考え合う機会として開催する市子ども会議などの取組を継続する。
相談窓口を広く持ち、相談機会を増やすことで問題の芽を早期に解消し、きめ細かな指導につなげるため、スクールカウンセラーを複数名配置するとともに、家庭児童・教育相談室の活用促進、さらには教育支援センター(クリオネ学級)の指導員を増員し、不登校児童生徒への学習支援の取組を進めるとともに、多様な学びの場の環境整備を進めていく。
特別支援教育では、特別支援学級や通常学級に必要な支援員を配置するほか、教職員や支援員を対象にした研修会の開催、発達障がい児童生徒の相談支援などを行い、特別支援教育の充実を図るとともに、個に応じた学習環境の整備に努めていく。
登下校時の児童生徒の安全確保では、通学路危険箇所の安全確保に向けた取組を進めるとともに、各地域での見守り活動を支援し、スクールガード・リーダーを継続して配置するほか、パトロール活動用の資材の整備、関係行政機関などで組織する子どもの安全確保連絡会議との連携などによって、子どもたちを不審者などから守る取組を継続していく。
郊外の学校においては、スクールバスで通学する児童生徒の負担軽減のため3路線を追加し、通学時間の短縮化、混雑の解消を図る。
学校図書館では、引き続き、より良い環境づくりや蔵書の充実を図るとともに、学校図書館司書の配置し、本に親しむ習慣を子どもたちに根付かせるための方策を進めながら、読書環境の一層の充実に努めていく。
学校施設では、猛暑対策として小・中学校への計画的なエアコン整備、学校遊具などの点検・改修・更新など児童生徒の安全確保や環境改善の取組を推進していく。
小規模校については、少人数での教育の良さを生かしたきめ細かな指導や特色のある教育を行う小規模特認校制度の導入などについて検討していく。
学校給食では、給食用備品の整備や設備の改善を進めるとともに、子どもたちに安全で安心な学校給食を提供していくための運営体制づくりを進め、給食食材の産地公表を引き続き実施するとともに、地産地消の取組のほか、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう食育事業を推進する。
このほか、地域と共にある学校づくりを目指し、地域の住民や企業、教育機関などが持つ人的資源や技能などを生かした学習環境づくりを進めるとともに、コミュニティ・スクールを通じて、学校と地域住民などが「9年間でどのような子どもを育てるのか」「地域でどのような教育を実現していくのか」という目標やビジョンを共有しながら、地域と一体となった特色ある学校づくりを推進する。
部活動については、今後の地域移行に向けた検討のために設置した協議会において、活動環境の整備、人材確保、費用負担など、様々な課題を整理し、子どもたちが将来にわたりスポーツ活動や文化芸術活動に親しむことのできる新たな環境の構築に向けて、学校や関係機関と連携を進めながら検討を進めていく。
教職員の働き方改革では、校務支援システムを活用した勤務時間の把握やICTを活用した校務の効率化を進めるとともに、全ての教員が子どもたち一人ひとりと向き合う時間の確保に努めていく。
▼高校・高等教育
小中学生が高校・大学と交流する機会を充実することで、将来を見通した学習への興味・関心や学ぶ意欲の向上を図る。
網走南ケ丘高校定時制課程振興のための助成や、定時制生徒の下校時の公共交通手段確保への支援を引き続き行う。
東京農大生物産業学部や学校支援地域本部事業との連携による、市内小・中学校での農大生や一般市民の教育ボランティアの拡充にも努めていく。
(市町村 2024-03-11付)
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