渡島局など 新しい学び事業の成果 個別最適・協働的学び 児童の意識高揚 授業の質の担保が課題に
(道・道教委 2024-03-21付)

 【函館発】渡島教育局と函館市教委、森町教委は道教委の新しいかたちの学びの授業力向上推進事業の成果をまとめた。自校と連携校を巡回する推進教員の働きかけによって、児童が自発的に学習に臨む姿勢の確立や授業者の個別最適・協働的な学びに向けた意識高揚が図られた。次年度以降の課題には人事異動に伴う授業の質の担保を挙げ、公開研究会などを通して学校独自の授業スタイルの確立を図ることができるよう、学校管理職と市町教委との連携を一層強化させる必要性を示している。

 事業は本年度から3ヵ年計画。渡島管内では函館市と森町に推進教員が配置されている。

 2市町では5人の推進教員が自校と連携校を巡回し、1人1台端末を効果的に活用した授業改善に向けて助言等を行ってきた。

 函館市ではあさひ小学校、桔梗小学校、北昭和小学校の3人の推進教員が連携校を含む計6校を巡回。「経験年数の浅い教員」「端末利用に慣れていない教員」「端末利用に慣れている教員」それぞれに対するアプローチ方法を模索した。端末利用に慣れていない教諭に対してはジャムボードの使用方法やグーグルクラスルームを活用した課題配布方法、デジタル教科書の利用促進を促すなど1人1台端末を有効的に利用した授業づくりにつなげるための提案を行っている。

 本年度の各教科における成果をみると、高学年の算数では「児童の思考を視覚化し、表現につなげる活用」「問題演習での個別最適化を目指す活用」の2点を重点に働きかけることで、児童と教職員共に情報活用能力の向上が見られたとしている。

 国語科の本を紹介する単元では児童が出席番号と同じ番号のページで紹介カードを作成し、学級内で共有。児童が友人に本の内容を説明したり、友人が作成したカードの感想を記入したりする活動を通して、協働的な学びの楽しさを実感できる工夫性のある授業づくりに努めた。

 森町では、森小学校とさわら小学校の2人の推進教員が町内の全小学校を連携校に1週間単位で国語と算数の指導を助言。「校務の情報化」「ICT環境の整備」「段階的な発信」の3点を柱に1人1台端末を効果的に活用した授業改善やICT活用スキルの向上を推進してきた。

 授業者と推進教員をつなぐ手段にはデジタル掲示板のパドレットを活用。授業改善を進めるためのPDCAサイクルの確立につながったことで授業の課題や気付き、授業づくりのアイデアを適宜相談できる環境が構築できた。

 町では推進教員が児童と担任のアンケートを導入。授業改善に向けた調査分析を行い、教員は授業改善とICT活用の両立したスキルの向上、児童は能動的な学習スタンスの芽生えが見られるなど、目指すべき授業像とICTを活用した授業の目的を明確化することができた。

 本年度の活動を踏まえた課題として、教員の人事異動に伴う持続性の確保を設定。各校が自走できる環境を確立させるため、推進教員と町教委、各校管理職の連携強化や公開研究会を通した授業スタイルの確立を次年度の取組に向けた目標としている。

 渡島局は2市町の成果をまとめた資料を作成し、管内市町教委に普及。ICTを活用した効果的授業づくりに向け、活用を呼びかけている。

(道・道教委 2024-03-21付)

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