子の体験活動促進へ記録手交　大人が必要性認識して　札幌市社会教育委員会議

（札幌市 2024-04-03付）

檜田教育長（左）と出口議長

　札幌市社会教育委員会議（出口寿久議長）は３月２８日、５年度協議テーマ「子どもの体験活動の推進」に関する議論の記録を取りまとめ、檜田英樹教育長に手交した。出口議長は、子どもたちの体験活動を促すためには「保護者を含めた大人が効果や必要性を認識することが重要」として、様々な体験の場のさらなる充実を求めた。

　５年度の協議テーマは「子どもの体験活動の推進」。少子化や子どもの生活の多様化、家庭環境の変化などに加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、子どもたちの体験活動の機会が大幅に減少。これを受け、市社会教育委員会議は昨年８月以降、体験活動の「量」「質」の確保、教育的価値の啓発について協議を重ねた。

　議論の記録をみると、体験活動の充実に関わっては、子どもや地域住民が集まることができる居場所づくりや、活動メニューに食の要素を取り入れるなどして親の関心を引くことなどを盛り込んだ。必要経費確保に加えて家庭への財政的な支援や、持続可能なプログラムの実現に向けた人材育成の大切さを強調した。

　質の向上について、行政の役割と指導者に必要な要素を整理。行政において「場所の確保」「広報」「地域差の解消」「予算補助」「地域人材の把握や指導者等の手配」などを指摘した。指導者に向けては「子どもたちの自主性の尊重」「体験に応じた専門性」「子ども一人ひとりの特性に応じた対応」「コーディネートする力」などを挙げた。

　教育的価値の啓発に当たって①きっかけづくり②仕組みづくり③仕掛けづくり―の重要性を強調。多様な自然体験ができる機会の創出や、短時間・無料でできる活動、大人の興味を引き出す取組の展開とともに、学校・保護者間連絡システム「すぐーる」を活用した周知や支援団体との連携、体験活動アドバイザーの設置などを盛り込んだ。

　議論の記録を受け取った檜田教育長は、６年度から本格実施するコミュニティ・スクールに言及し「地域全体で子どもたちの体験活動を支援する必要がある」と述べ、今後の市の施策に生かしていく考えを示した。

(札幌市 2024-04-03付)