中頓別町 6年度教育行政執行方針 義務教育学校 8年度開校へ 新校舎基礎や仮校舎整備
(市町村 2024-04-04付)

中頓別町相座豊
相座教育長

 【稚内発】中頓別町教委の相座豊教育長は、町議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。8年度の開校を目指す義務教育学校「中頓別学園」については、義務教育学校開校に向けて「教育計画(教育課程)の具体化に取り組むとともに、学校運営の効率化と教育連携の促進を図る」とした。校舎については、改築・建設に備えた基礎工事や小学校移転に関わる仮校舎建設などを進める。このほか、いじめ・不登校対策や幼小中までの一貫した教育の実現を目指すと宣言した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼人生100年の学びの拠点・中頓別学園

 「人生100年の学びの拠点」は、学校だけではなく町民の方にも大いに利用していただける町民センターの機能も備えた地域づくりと学びの拠点である。本町の学校は、これまで地域との協力関係は比較的良好だったが「地域が学校に協力する」関係が多かったように思う。これからの学校は、地域と学校が相互に連携・協働して学校づくりと地域づくりを進めていく時代になった。これを推進する拠点として本町では「人生100年の学びの拠点」整備を行っている。

 施設には、小・中学校を一体化した義務教育学校「中頓別学園」もあり、一人ひとりが大切にされ、新しい教育に対応した、どの子にも居場所がある学校を目指している。大人の社会教育による「学び」と、学校の「学び」を通じて人々の「つながり」や「かかわり」をつくり出し「人づくり・つながりづくり・地域づくり」の循環を生み出していく。

 現在、施設は実施設計が仕上げの段階となり、6年度には、改築・建設に備えた基礎工事や小学校移転に関わる仮校舎建設工事が始まる。同年末には小学校が中学校に移転し、新しい学校生活が始まる計画。小学校は中学校校舎に間借りし、不足する面積は隣接した場所にプレハブ校舎を建て、学校を運営することを想定している。

 小学生には、通学路の変更、放課後子どもプランまでの移動等を含め新しい環境での生活が始まることになるが、心理的負担を極力抑えることができるよう配慮しながら、小学校、中学校が義務教育学校として一体となる新しい時代の、新しい学びの試行段階に移行していく考え。

▼学校運営と教育連携

 新しい教育思潮をいち早く実現できるよう義務教育学校開校に向けて教育計画(教育課程)の具体化に取り組む。小・中学校が同居することで、小学校45分、中学校50分の授業時間や休み時間の調整、体育館利用の割り振りなどをはじめとして、これまでより小・中学校間での連携や調整が必要になる。教育委員会としては、これを機に、小・中学校が一体化した義務教育学校となるための準備期間として学校運営の効率化と教育連携を促進させる。

 義務教育学校として小・中学校が一体化した施設になることから、現在、小・中学校それぞれで組み立てている授業計画を一本化していく必要がある。5年度には、小学校教科書の採択が終わり、間もなく中学校教科書の採択も予想されることから、8年度の義務教育学校開校前に授業計画を順次一本化していく予定。

▼教育大綱の基本理念に基づいての方針

▽共生

 義務教育学校設立に向けて、これからの新しい教育観を受け、子どもたちが生まれ育ったこの中頓別に誇りと愛着を持ち、人間尊重の精神や思いやりの心を持って互いを尊重し、共に支え合いながら、持続可能な地域づくりを支える人を育んでいく。

 そのため、障がいや不登校など、多様なニーズを有する子どもたちに対応するため、町では「子ども支援ネットワーク会議」によって、学校に入る前から健診や各種検査などの情報を共有し、個別最適な学びの機会を確保し、必要な支援を行っていく。

▽いじめ・不登校

 学校、家庭、地域、行政の連携を一層強め、子ども同士の良好な人間関係が構築されるとともに、子どもと教員との信頼関係が構築され、いじめや不登校の早期発見・早期対応に向けた生徒指導体制の充実を図り、子どもたちがいじめの加害者にも被害者にもなることがなく、安心して過ごせる居場所づくりを推進します。また、全ての子どもにとって安心感と充実感が得られる魅力ある学校づくりを推進するとともに、オンライン授業やフリースクール等によって学びや心のサポートと家庭外の居場所づくりに努める。

▽こども園から中学までの一貫した確かな学力と健やかな体を育む教育の推進

 これまで、認定こども園では一年を通して自然の中で、体を使い五感を働かせて遊ぶ「森のこども園」を通して、主体性や好奇心等を引き出し、体力の向上を図りながら人間性の確かな学力の基礎を育む事業に取り組んできた。

 こうした取組によって、主に幼児教育で育てる自尊心や自信、協調性や社交性などの非認知能力を土台に、今後は、小学校でさらに探求心を高め、中学校段階では、地域との連携や協働を視野に入れたスポーツも含めた教育活動が展開できるよう教育課程の編成に取り組んでいく。

 5年度の全国学力・学習状況調査で、北海道は以前に比べかなり学力が伸び、宗谷も全道の中でかなり伸びた。その中でも本町の子どもたちの学力は管内でもトップクラスの成績を示している。今後も、全国学力・学習状況調査の結果を系統的に分析し、学力向上に向けた教育活動の検証と改善に全ての教職員が一体となって組織的に取り組み、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改革を進め、新しい時代に必要となる資質・能力を育成していく。

 また、ICT等を活用し、発達の段階に応じて、全ての子どもたちの可能性を引き出す「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を図る。

(市町村 2024-04-04付)

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