千歳市 6年度教育行政執行方針 校内支援センター 実証事業に着手 普通教室に簡易冷房など
(市町村 2024-04-04付)

千歳市佐々木智
千歳市教委・佐々木教育長

千歳市教委の佐々木智教育長は6年度教育行政執行方針を発表した。教育環境の整備に当たっては、エアコンの整備が完了するまでの間の段階的な暑さ対策として、夏までに、普通教室等にスポットクーラーを設置するほか、クーリングシェルター機能として、各校が指定する特別教室などにエアコンの整備を進める。また不登校の児童生徒への対応を新たに追加し、不登校の未然防止や、教室内に登校することができない児童生徒の学習保障などを図るため、校内教育支援センターの実証事業に着手し、別室登校の児童生徒を対象に、支援員による学習指導と教育相談を行うとした。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

【社会で生きる力を育む教育の推進】

▼学年・学級経営

 教員との信頼関係や学級内のより良い人間関係が、児童生徒を育成するための基盤であることから、ハイパーQU検査による客観的な分析を活用し、教職員による日常観察では把握し切れない児童生徒一人ひとりの状況や学級集団としての傾向を確認することで、個別支援や教育相談を充実させるなど、引き続き、互いに認め合い、高め合う親和的な学級づくりを進める。

▼確かな学力の育成

 「探究型・対話型」授業の推進のほか、基礎・基本の定着を図る「習得型・反復型」の授業として、学習支援員等による算数・数学科の習熟度別少人数指導を一層推進するとともに、電子黒板、デジタル教科書、AI搭載型デジタルドリルなどのICT機器を授業や家庭学習において有効活用し、個別学習や協働学習の充実を図る。

▼特別支援教育

 市の特別支援教育の推進に係る基本方針に基づき、一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援を受けることができるよう、引き続き、研修などの実施によって、教員の指導力向上に取り組むとともに、対象となる児童生徒の増加に応じて、児童生徒ヘルパーや特別支援教育支援員の増員を行うなど、特別支援教育の充実に努める。

▼外国語教育

 引き続き、デジタル教科書や外国人英語指導助手(ALT)の活用などによって、児童生徒の英語力の向上を図るとともに、小学校で一部導入されている英語専科教員による授業実践の成果を各校と共有することで、小学校教員の指導力向上や、中学校との英語教育の円滑な接続に努める。

【豊かな心と健やかな体を育む教育の推進】

▼いじめ・不登校

 いじめは絶対に許されるものではなく、どの学校でも起こり得るものであるという確固たる認識のもと、いじめの未然防止、早期発見・迅速な対応に努め、その根絶に向けて学校・家庭・地域等と連携し、児童生徒一人ひとりの状況に応じた個別の相談や支援などに取り組む。

 SNSの不適切な利用によって、いじめや犯罪などのネットトラブルへと発展しないよう、インターネットの安全な使い方や、家庭でのルールづくりなどに関する指導・啓発の取組を継続する。

▼不登校の児童生徒への対応

 不登校の未然防止や、教室内に登校することができない児童生徒の学習保障などを図るため「校内教育支援センター」の実証事業に着手し、別室登校の児童生徒を対象に、支援員による学習指導と教育相談を行う。

 スクールソーシャルワーカーを増員し、児童生徒・保護者の悩み、不安等の情報を教員やスクールカウンセラーと共有するなど、児童生徒の学校復帰や学びの継続に向けた、組織的な支援を行う。

▼ふるさと教育

 小学校社会科副読本「私たちの千歳」を改訂し充実するほか、市や北海道の歴史、文化、産業について、理解を深める学びや体験学習を推進するなど、郷土に対する愛着や誇りを育む機会の充実を図る。

▼読書活動

 第3次市子どもの読書活動推進計画に基づき、子どもたちの読書活動の充実を図るほか、学校図書館司書については、計画的に配置日数を増やすなど、読書相談や調べ学習でのアドバイスをはじめとする学校図書館機能のさらなる充実を図る。

▼体力・運動能力

 新体力テストの結果などを踏まえ、効果的な体育活動を普及啓発するなど、児童生徒の健やかな身体の育成に努める。

▼食育

 食に対する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けさせるため、栄養教諭を中心とした食に関する指導を推進し、食育の充実を図る。

▼学校給食

 児童生徒が必要とするエネルギー量や栄養バランスが確保された給食を安定的に提供するため、急激な物価高騰に対する市の負担を継続しながら、学校給食費を改定する。

 学校給食費の取り扱いについては、保護者の利便性向上や教員の業務負担軽減のため、6年度から公会計へ移行する。

▼新学校給食センターの整備

 より安全で安心な学校給食の提供に向け、民間事業者からのサウンディング調査結果も参考とし、建設候補地や配送計画、各室の配置や調理機器のレイアウトなどをより具体的に取りまとめた市新学校給食センター整備基本計画を策定する。

【学びを支え、つなぐ教育環境の充実】

▼学校運営

 学校組織マネジメントの充実による学校経営方針の着実な実施に向け、市教委の学校教育主事による学校訪問回数を増加し、学校改善プランの確実な実行や授業改革の推進、不登校などの課題に対し、組織的に対応するための指導助言を行うほか、教職員の働き方改革を進めるため、引き続き、業務の平準化やICTを活用した業務の効率化などに取り組む。

▼学びのセーフティネットの構築

 経済的理由で教育の機会が失われることのないよう、引き続き、就学援助制度の周知を行うなど、必要な支援に努める。

 給付型奨学金については、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して拡大した交付人数枠を維持し、修学・進学への意欲・能力がある学生生徒への支援を継続する。

▼家庭教育支援

 児童生徒の生活習慣がスマートフォンやSNSの普及によって変化していることなどを鑑み、平成26年度に策定した家庭生活宣言を改訂し、市PTA連合会との連携による家庭への普及啓発等を通じて、児童生徒の規則正しい生活習慣や学習習慣、社会生活ルールやマナーの習得を目指す。

▼学校と地域の連携・協働

 学校運営協議会(コミュニティ・スクール)において、保護者や地域住民が、学校と教育目標やビジョンを共有し、学校運営の改善を図るとともに、地域学校協働活動において、水泳、スケート、スキー等の授業を地域人材が支援するなど、地域と連携・協働した学校運営の推進に努める。

 児童生徒を犯罪や事故から守り、登下校等の安全を確保するため、千歳っ子見守り隊の取組を推進するなど、安全確保に努める。

▼学校段階等間の連携・交流

 各学校段階を円滑に接続するため、こども園等と小学校では、子どもの成長に関する情報共有や交流の機会を設けるなどの連携を図るとともに、小・中学校においては、中学校区単位で目指す子ども像を共有し、現状における課題と、それに応じた学び方やICTの活用、学習習慣の改善などの方策について協議を行うなど、小中連携・一貫の教育を進める。

【市民が活躍する生涯学習によるまちづくりの推進】

▼多様な主体の連携による学び合いと交流の場

 千歳学出前講座の仕事編など登録講座を拡充し、学習機会の充実を図るほか、生涯学習まちづくりフェスティバル「ふるさとポケット」を開催し、市民活動団体の活動成果の発表や交流の場を提供する。

▼市民活動交流センター

 市民活動講座やミナクールサロンの開催など、ニーズに合わせて、市民活動の活性化を図る。

▼地域と学校の連携による地域の教育力を高める活動

 地域学校協働活動の取組を推進するため、協働活動コーディネーターを計画的に増員し、地域と学校の連携を深め、子どもたちの豊かな学びや健やかな成長を支える環境づくりに努める。

【各世代の生活課題や地域課題に対応した社会教育の充実】

▼青少年の自立と成長を育む学び

 公益財団法人千歳青少年教育財団と連携し、自然体験教室や宿泊学習など各種教育事業を実施するほか、引き続き、指宿市との青少年相互交流事業を実施する。

▼読書環境の充実

 市立図書館の図書資料の充実に努めるほか、引き続き、移動図書館車「ブッくん」の運行、インターネットなどを活用した図書の貸し出し予約など、利用者の利便性向上に取り組むとともに、幅広い世代が読書に親しめるよう、おはなし会や図書館まつりなどのイベントの開催、ブックスタートの取組などを継続する。

【まちの魅力を高め、心を豊かにする文化芸術の更新と文化財の保護・継承】

▼文化財の保存と調査・研究および継承

 開発行為に伴う調査業務の適切な実施など、引き続き、遺跡の保護に努めるとともに、市指定無形文化遺産である「アイヌの伝統的芸能と工芸技術」や「泉郷獅子舞」の保存・伝承活動を支援する。

▼文化財の活用

 キウス周堤墓群来訪者や市民の利便性向上を図るため、昨年に引き続き、埋蔵文化財センターの休日会館を試行的に実施するほか、縄文まつりや史跡見学会、市内の遺跡等に関する企画展などを開催し、身近に文化財に触れる機会の充実に努める。

▼世界文化遺産登録と資産保護の取組

 キウス周堤募群のガイダンス施設や展示設備、園路の工事に着手し、令和7年4月のオープンに向け、着実に整備を進める。

(市町村 2024-04-04付)

その他の記事( 市町村)

清里町 6年度教育行政執行方針 子育て支援施策を検討 中高生海外派遣研修事業も

清里町野呂田成人  【網走発】清里町教委の野呂田成人教育長は、3月上旬に開会した第2回町議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。認定こども園について、課題の残る子育て支援につながる各種施策を引き続き検討...

(2024-04-04)  全て読む

中頓別町 6年度教育行政執行方針 義務教育学校 8年度開校へ 新校舎基礎や仮校舎整備

中頓別町相座豊  【稚内発】中頓別町教委の相座豊教育長は、町議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。8年度の開校を目指す義務教育学校「中頓別学園」については、義務教育学校開校に向けて「教育計画(教育課...

(2024-04-04)  全て読む

鹿部町教委 小・中5教科でデジタル教科書を導入 小では要望受け音楽科も 学習者・指導者用 6年度から2ヵ年

 【函館発】鹿部町教委は本年度からの2ヵ年で、小・中学校全学年の5教科における学習者用と指導者用のデジタル教科書を導入する。国が本年度から本格運用する英語のデジタル教科書と合わせた対応。小学...

(2024-04-04)  全て読む

様似町 6年度教育行政執行方針 スクールランチ無償化 オンライン公設塾3教科に

様似町秋山寛幸  【苫小牧発】様似町教委の秋山寛幸教育長はこのほど、町議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。民間学習塾と連携したオンライン公設塾について「国語と算数・数学の2教科で行っているが、本年...

(2024-04-04)  全て読む

日高町 6年度教育行政執行方針 厚賀中を門別中に統合 部活動の地域移行を推進

日高町武田啓嗣  【苫小牧発】日高町教委の武田啓嗣教育長はこのほど、町議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。「厚賀中学校を閉校し門別中学校への統合に向け準備を進める」との考えを示したほか「学校部活動...

(2024-04-04)  全て読む

小規模特認校制度で協議 網走市総合教育会議開く

網走市総合教育会議  【網走発】網走市は3月28日、市議会庁舎で本年度第1回総合教育会議を開いた。市立呼人小中学校への小規模特認校制度導入について協議。同校ならではの特色ある教育活動がどういうものであるのかを明...

(2024-04-03)  全て読む

新得町6年度教育行政執行方針 合同部活動 送迎で保護者支援 部活動地域移行へ検討

新得町渡會崇善  【帯広発】新得町教委の渡會崇善教育長は6年度教育行政執行方針において、中学校の合同部活動等の送迎に対して保護者支援を行うことを示した。部活動の地域移行に関しては、5年度に立ち上げた準備会で...

(2024-04-03)  全て読む

帯広市教委 全国体力等調査結果 体力合計点 中男女初の全国超 小男子 2年連続全国以上

表  【帯広発】帯広市教委は5年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を公表した。中学校男女の体力合計点が、調査開始以来初めて全国平均を上回った。小学校男子は2年連続で全国平均を超過。運動習...

(2024-04-03)  全て読む

釧路町6年度教育行政執行方針 電子教科書 指導者用を導入 小学校教科用図書導入で

釧路町辻川尚志  【釧路発】釧路町教委の辻川尚志教育長は、6年度教育行政執行方針において新たに使用する小学校教科用図書の導入に合わせ、小・中学校指導者用デジタル教科書を導入し、学習の充実を図る考えを示した。...

(2024-04-03)  全て読む

猿払村6年度教育行政執行方針 学力向上へ子ども未来係設置 部活動地域移行へ協議等

猿払村眞坂潤一  【稚内発】猿払村教委の眞坂潤一教育長は、第1回村議会定例会で6年度教育行政執行方針を説明した。児童生徒の学力向上・定着に向けては「授業改革やICT環境のさらなる活用に向けた研修機会の充実」...

(2024-04-03)  全て読む