【解説】教員不足の状況調査へ
(解説 2024-04-25付)

 盛山正仁文部科学大臣は23日の記者会見で、6年度当初における教員不足の状況を把握する調査を近日中に実施する考えを示した。全国の都道府県・指定都市教委を対象に、前年度と比較した状況をまとめる。

 国の3年度調査によると、始業日時点の全国の教員不足人数は2558人、教員不足が生じている学校の割合は5・8%だった。

 4年度当初の教員不足の状況として、前年度より状況が「悪化した」と回答した都道府県・指定都市教委の割合は全体の58・8%、「改善した」が9%だった。5年度当初はやや改善し、「悪化した」が42・6%、「改善した」が16・1%となっている。

 教員不足の要因をみると、近年の大量退職に伴う大量採用で20~30代の教員が増加し、産休・育休取得教員が急増。5年度の育休取得教員の割合は小学校が4・4%、中学校が2・6%、産休・育休代替教員の割合は小学校が4・1%、中学校が2・4%と需要が供給を上回っている。

 特別な支援を必要とする児童生徒も増加しており、学級数の見込みを立てにくい特別支援学級が増加。通級指導や日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒数の増加も要因となっている。

 教員の需給構造が大きく変化している側面もある。これまで臨時的任用教員は教員採用選考検査の不合格者から多く任用していたが、採用枠の拡大に伴い既卒受検者の正規教員に吸収され、雇用調整弁としての機能が失われている。

 文科省は、休眠免許保有者の入職促進や免許取得者・教員志願者の増加など短期・長期両面で対応策を講じる考えを示しており、6年度からは大学・教育委員会の連携による地域教員希望枠の活用や、大学・民間企業との連携による教員のなり手確保に向けた取組を支援する。

(解説 2024-04-25付)

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