【解説】最適な通信環境 全体の2割
(解説 2024-04-30付)

最適な通信環境 全体の2割に

 文部科学省は学校のネットワークの現況にかかる調査結果をまとめた。推奨帯域を満たす通信環境を確保している全国の小・中学校、高校の割合は全体の21・6%にとどまり、学校規模が大きいほど通信環境が悪化する傾向がみられた。

 文科省の4年度調査によると「動画がスムーズに再生されない」「教材に接続できない」など通信環境の不具合が解決できなかった自治体は2~3割に上る。

 調査は約1800の都道府県・市区町村教委の約3万2000校を対象に、通信契約の内容や学校における通信速度を把握するため5年11~12月に実施した。

 学校規模に応じて全学年の全ての授業でクラウドによる共同編集やデジタル教科書などを同時に活用しても支障を生じない水準を「当面の推奨帯域」として設定してシミュレーションした結果、必要な通信環境を満たす学校は21・6%、児童生徒数60人以下の小規模校では81・7%、841人以上の大規模校では2%と規模に応じて差がみられた。

 ネットワークがつながりにくい主な原因は①不具合の原因特定が不十分②通信契約の内容が不十分③自治体職員の交渉力が不足―の3点。国は自治体が実施する通信環境の診断に必要な経費の3分の1を補助しており、6年度末までに全国の学校のネットワーク診断を推進するとしている。

 各自治体が契約している回線はベストエフォート型(価格は安価だが回線混雑時に速度が低下)が約95%と大半を占めていることから、帯域確保型(価格は高価だが一定の速度を保証)を安価に調達している自治体の事例を周知するほか、広域調達・共同調達の支援について検討する。

 また、教育委員会で一定の知識を有する職員の確保が困難なケースも多いため、自治体担当者向けのガイドブックを示すなど支援するとしている。

(解説 2024-04-30付)

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