【解説】学校執務環境の改善事例
(解説 2024-05-07付)

 国立教育政策研究所は教職員スペースの在り方に関する調査研究報告書を公表した。教師の意欲と能力が最大限発揮できる執務環境を「個人作業」「協働作業」「リフレッシュ」「子どもとのコミュニケーション」の4つの観点で調査。個人席を固定しない「フリーアドレス」の職員室や教職員専用のラウンジなど全国の事例、改善を検討する際のポイントをまとめている。

 国研の調査によると、教員の1人当たりの執務面積は民間企業と比べ6割程度と少ない反面、1人当たりの書類量は1・3倍と多い。学びの多様化と働き方改革の推進によって教職員は増加傾向にあり、効率性・快適性の観点から改善を図ることが求められている。

 調査は、充実した執務環境を確保するため教職員の執務環境の在り方を検討し、各地の整備事例を通して計画のポイントを提案するため、5年5月~6年3月に実施した。

 教職員スペースの充実に必要な四つの場を分類・整理し、個人席を固定しない職員室を導入する東京都内の学校を紹介。座席にとらわれないことから多様な活動に利用できるほか、日中職員室に人が少なくなる小学校では特にスペースを有効に活用できるなどのメリットを取り上げている。

 また、教職員が協働作業できるワークステーション、コーヒーを飲みながら気軽に話し合えるフリースペースの設置、文房具等の集約配置、クラウドによる情報共有の日常化などの事例も掲載している。

 一方、多くの学校では職員室以外から校務支援システムに接続できず、教員が校務用・学習指導用の二つの端末を持つ必要があるなど、場所・システム上の制約を受けているため、ロケーションフリーで仕事をできる校務DXを進めることが不可欠と指摘している。

(解説 2024-05-07付)

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