元校長の“学校アップデート!”№6 通知表の評価で指導観をそろえる(札幌市 2024-05-15付)
通知表の評価は、目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)なので、評価規準に達していれば「大変よい」「よい」が何人でも良いのです。どの学級も「大変よい」を3割程度、「もう少し」を1割程度とするという考えは間違っています。学級差・学年差が生まれるのは当然です。教師は、どの子もB規準に達するように指導することが大切なので、Cが0人でAとBの子どものみ(それぞれの出現率に決まった割合はない)になっても良いのです。
また、指導要録の「行動の記録」の10項目も目標に準拠した評価なので、いくつ○が付いても良いのです。当然、通知表の「生活の様子」を指導要録の「行動の記録」とリンクさせている場合、評価規準に達しているのであれば○の数はいくつ付いても良いのです。「多くても三つ」ではなくても良いのです。もちろん指導要録は○が一つも付かないことがありますが、通知表は「最低でも一つは○を付ける」としていることが多いかもしれません。
学級差・学年差は生まれて当たり前ですが、教師の感性をよりどころとした評価ではなく、あくまでも評価規準に基づいた「学校としての評価の妥当性」を追究していくことが大切です。そのためには①評価規準をはっきりさせる②教師の評価観を共通にしていく取組を展開する―ことが必要不可欠です。
各担任から一覧表が提出された段階では、学年研修で評価の妥当性を検討し、学級差を調整しているかもしれませんが「学校として」学級差・学年差を調整するまでには至っていません。一覧表提出は「学校として」の評価の妥当性をつくり出すことをねらいとすべきです。全学級の各教科のABCの人数と「生活の様子」の評価項目の〇の数を一覧にした資料を作成すると、学級差・学年差がはっきりします。「生活の様子」の〇の数が1~5個の子どもの名前も洗い出し、具体的な子どもの姿を思い浮かべながら調整します。だからこそ、学級の子どものみの担任という意識ではなく「全ての教員が全ての子どもたちの担任」という意識で指導に当たることが必要です。
一覧表(1回目を仮提出日とする)をもとに作成した資料を使って、低・中・高学年のブロック研修→通知表検討委員会(各学年1人をメンバーに入れる)で妥当性を検討し、学級差を調整します。通知表検討委員会で検討・調整した結果を各学年の委員が持ち帰り、学年研修で再度検討し、一覧表(2回目を本提出日とする)を提出します。学級数が多い学校なら、ブロック研修を二つに分けたり(例:中学年ブロックA・B)中学校なら1~3年生の教員を交ぜたグループをつくったりする方法も考えられます。
このような取組を通して、評価規準を「評価する教師が代わっても評価がブレない評価基準」に高めていくとともに、教師の評価観をそろえて「指導と評価の一体化」を実現し、どの子も評価規準に達するように全力で指導していくことが大切です。
北原徹也 (北海道特別活動研究会顧問、元札幌市立平岸西小学校長)
(札幌市 2024-05-15付)
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