道教委 6年度全国学力調査結果 2教科で全国差縮まる 小学校算数 2・8P下回る
(道・道教委 2024-07-30付)

表1
道内公立学校の6年度各教科の平均正答率・数(クリックすると拡大表示されます)

 道教委は29日、6年度全国学力・学習状況調査結果を発表した。札幌市を含む道内の平均正答率は小学校国語と中学校数学において、全国平均との差を縮めた一方、小学校の算数は全国との差を広げた。授業時間以外の勉強に、ICT機器を活用している児童生徒の割合は、小・中学校共に全国よりも高い結果に。テレビゲームをする児童生徒は、依然として全国よりも高い傾向にあるものの、小・中学校いずれも前年度から改善が見られた。

 6年度調査は小学校が国語、算数、中学校が国語、数学の各2教科で実施した。調査実施日は4月18日で、本道では小学校932校、中学校566校の計1498校、小学校6年生、中学校3年生の計6万8145人が参加。実施率は99・3%となった。

 各教科の平均正答率の全国平均との差は、小学校の国語が1・4ポイントから0・9ポイントに、中学校数学が1・7ポイントから1・5ポイントとなり、前回調査と比べ全国との差が縮まった。

 一方、小学校の算数は、1・5ポイントから2・8ポイントと全国平均との差が大きく広がる結果となった。

 質問紙調査の結果をみると、学級の友達と話し合う活動で考えを深め広げている児童生徒の割合は、小・中学校共に全国平均よりも高く、前年度と比べ上昇傾向に。児童生徒自ら課題を設定し、まとめ、表現する活動を取り入れている学校の割合も小中共に全国以上を維持している。

 授業時間以外に、1日1時間以上ICT機器を勉強のために使っている児童生徒の割合も、小中共に全国平均より高かった。

 また「普段、1日1時間以上テレビゲームをする」と回答した児童生徒は、全国よりも高い傾向にあるものの、小中いずれも1・9ポイント下降するなど、改善が見られた。

 子どもの自己有用感・学習意欲の状況等の状況をみると「自分には良いところがある」と回答した児童生徒の割合は、小学校で全国よりも低く、中学校では全国よりも高い結果に。前年度比では、小中共に上昇している。

 道教委は今後、本年度の成果や課題管内別、市町村の状況などをより詳細に分析し、11月に報告書として取りまとめ、公表する予定だ。

◆検証改善サイクル さらなる充実を

 調査結果を受け道教委の中島俊明教育長はコメントを発表した。

 全ての教科で平均正答率が全国平均に達していないものの、中学校国語は全国平均とほぼ同水準で、小学校国語と中学校の数学において全国平均との差が縮まるなどの改善傾向が見られたことから「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善など、これまでの各市町村教育委員会や各学校が一体となった取組によって一定の成果が表れてきている」と述べた。

 一方で、小学校の算数では全国平均との差が広がっており「学校全体での検証改善サイクルのさらなる充実に向けた取組が必要」と指摘。

 その上で「今後も、新しい時代に生きる子どもたちに必要となる資質・能力を確実に育むため“個別最適な学び”と“協働的な学び”の一体的な充実や、望ましい学習・生活習慣の確立など、学校、家庭、地域、行政が一体となった取組を進めていく」との考えを示した。

 新たな職務級の創設は、若手教師へのサポートの充実とともに、専門性が発揮できる体制を構築して職務負荷に応じた給与体系を構築することがねらい。主幹教諭と指導教諭が制度化されて「特2級」が設けられることとなった平成19年以来の改革となる。

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表2
児童生徒・学校質問紙調査結果(クリックすると拡大表示されます)

(道・道教委 2024-07-30付)

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