高校配置計画地域別検討協議会〈日高〉 静内高学級減は慎重に 地域の実情や希望に理解を
(道・道教委 2024-07-29付)

 【苫小牧発】道教委は11日、第2回公立高校配置計画地域別検討協議会(日高学区)をオンラインで開催した。学区内の小中高校や町教委、経済団体等から48人が参加。協議では、静内高校の学級減に対し慎重な対応を求める声が相次ぎ「地域にとって高校の役割は大きい。地域の実情に理解を」「学級減となっても教員定数は減らさないでほしい」などの声が上がった。

 はじめに高校教育課の松山貴紘高校配置係長が説明。南茅部高校が2年連続で入学者が10人未満となり9年度募集停止となったことを述べたほか、日高学区の現状について「9年度に中卒者が39人減少する」「10~13年度の4年間で52人減少し、1~2学級減に相当する」「6年度の管内の高校の欠員が172人に上っている」ことなどを課題に挙げた。

 また平取高校について「本年度の入学者が1桁であり、来年度の入学者数によっては再編整備を検討することとなる」と述べた。

 協議では新ひだか町の久保田達也教育長が「人づくりは町づくり。将来の地域のためには人材の育成が不可欠」「地元の生徒のほとんどが進学している高校の役割は大きく、静内高校の学級減は慎重に検討していただきたい」と強く訴えた。

 また「6~9年度には160~170人の中卒者が見込まれている。今回の結果だけを見て学級減とするのは慎重にしていただきたい」「町ではスクールバスの運行や通学定期券の補助などできる限りの支援をしている。ぜひ地域の実情や希望をくみ取っていただきたい」と訴えた。

 新冠町立新冠中学校の日比野光洋校長は、ことし3月の卒業生の進路が静内高・静内農業高で計70%に及んでいることを紹介し「今後もできる限り地元への進学を呼びかけていきたい」と述べた。

 また「近年外国人の入学が多く、日本での高校・大学進学について相談に乗ってくれるところがないかと困っている保護者がいる。今後も外国人の増加が予想される」などと述べた。

 新冠町の奥村尚久教育長は「静内高が間口減となると教員定数はどうなるのか。定数が減ると授業や部活動、進路指導にも大きな影響が避けられない」とし「機械的な間口減ではなく慎重な検討を」と求めた。

 これに対し高校教育課は「高校の教員数は募集人員で決まる。間口減が続くと定数も減ると考えられる」などと答えた。

 続いて、高校教育課の髙田安利課長が高校の情報発信に向けた効果的な取組について説明。「中学生にとっては、目指す学校の進学先や就職先などの進路が一番の関心事であり、これらを分かりやすく説明してあげてほしい」と求めた。

 また「高校生からの情報発信は好感度が高く伝わりやすい。ぜひイベントやホームページなどで取り入れてほしい」などと述べた。

 続いて、魅力ある高校づくりや情報発信の工夫改善などについて協議。

 浦河高校の齊藤雄大校長は「地元の子が全て本校に進学するわけではなく、大きな理由は部活動。スポーツをやりたいため管外に進学するケースが多い」との実情を紹介。

 平取町立振内中学校PTAの福澤かおり会長は「中3の娘に聞いても、平取高を視野に入れている友達は少ない。平取高も魅力的だが、町の外に行くのがトレンドのようになっている」「平取高は地域みらい留学の導入で頑張っているが、生徒たちの姿を見て“平取高校ってすごいのかも。行ってみたい”となるにはもう少し時間がかかる気がする」と指摘。「来年の入学者は少ないかもしれないが、地域みらい留学を頑張ることで今以上に町内の子が平取高に入りたいという気持ちが高まるのではないか。また、町内へのアピールをもっと頑張ってほしい」などと述べた。

 平取高の鈴木浩校長は「PRには努めているが、まだまだだと思っており、SNSやその他の方法も検討し魅力を発信していきたい」などと述べた。

 新冠中学校PTAの鎌田直樹会長は「うちの息子も中学3年生だが、苫小牧高専に仲の良い先輩がいて、話を聞いてそっちが良いのではと考えている。仲が良い先輩の口コミで魅力が伝わることもあると思う」「SNSは保護者もみんなやっているので有効と思うが、こうした人間関係の活用も必要では」などと述べた。

 浦河商工会議所の上田正則会頭は「地域にとって高校は非常に大切。小・中は仕方がないが、高校は費用対効果だけではなく、地域にとってどういう役目を果たしているかをきちんと考えて」などと述べた。

 さらに傍聴者の大谷賢也北教組日高支部書記長が「静内高で間口減となれば4、5人の先生が削減され、カリキュラムや部活動など至るところでできないことが増えてくる。慎重に検討を」と求めた。

 また「学校の魅力がなくなったからではなく、子どもの数が少なくなったからこういう状況になっている。教育に予算をかけ、中学・高校とも間口が少なくなっても先生を減らさないようにしてほしい」「当事者の高校生、中学3年生もこの会に参加してもらい、意見をもらうことが大切だと思う」などと訴えた。

 最後に髙田課長は「各校では魅力満載の高校教育が行われており、何とか高校が持続可能となるよう頑張っていきたい」と述べた。

(道・道教委 2024-07-29付)

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