札幌市小学校長会5年度研究成果 研究集録から 第7回(札幌市 2024-08-01付)
「健やかな体」育成部②
【2年間の取組】
「健やかな体」育成部では①体育・保健体育等の授業の充実②授業以外で子どもの運動機会を創出する取組③健康に関する指導の充実―の三つを重視して研究を進めてきた。4年度は「すこやか部門」と「からだ部門」に分け「すこやか部門」では健康・安全に関することや食育、性に関する指導などの内容について、「からだ部門」では健やかな体育成プログラムの推進や体力・運動能力の向上等の内容について研究を進めてきた。5年度は、A・B二つのグループに分かれて提言・協議をし、まとめたものを全体の場で共有するというスタイルを取ってきた。また、関係団体等から講師を招いて講演を行い学んできた。
▼からだ部門
「健やかな体」育成プログラムを実行性のあるものにするための校長の役割と指導性に関わって提言・協議を行った。
A校では、体育の授業の中にICTを有効活用し「個別最適な学び」と「協働的な学び」の保障の一助を担った。一方で、タブレットの活用については、まずは運動量をしっかり確保した上での有効的な活用に留意しなければいけない。B校・C校では、校内ミニ研修を定期的に行い、体育の授業改善に向けた研修もあり、校長自ら講師として指導し、職員の授業力を高めていった。校長の指導性を発揮しながら、体育の授業においても「分かる・できる・楽しい」を実感できる授業に向けて、職員の研修を継続して行った。
一方、C校では、体育の授業の充実に向けて「仲間とともに行う楽しさを重点とした授業」という視点で取り組んだ。そこでは、三間の創出を意識し、遊ぶ子どもの増加につながる授業をねらった。「時間や空間の特徴を生かした遊び、そのためのルール作り等も生まれることが、子どもが自ら運動・スポーツに働きかける姿につながる」と捉え、取り組んだ。その結果、異学年交流が始まる場面も見られ「仲間」の広がりにもつながった。
D校では、外部講師を積極的に活用。コオーディネーショントレーニング、エスポラーダ北海道、レバンガ北海道、コンサドーレ札幌等が主催の講師の活用は、子どもたちが楽しみながら体を動かす様子が見られただけではなく、教職員の体育の授業改善や授業のネタを学ぶための良い機会となった。
E校では、特認校、義務教育学校の特色「自然と9年間の連続した学び」を生かし「健やかな体」の育成を目指した。3年生以上の体育では、体育の授業の専科指導を行い、専門性を踏まえた指導の充実、学びの連続性による育ちの充実を図った。
A校・D校の実践では、運動に親しむための土台づくりを目指した取組に向け、まずは校長として自校の実態把握に努めた。「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」と「学校・地域との因果関係」を捉えた上で、体育の授業以外に運動の機会を増やすことが課題として挙がった。その課題解決のための環境づくりとして、校内には常時遊べる場を整えた。休み時間においても様々な工夫をした。また、日常的に教師が子どもたちと一緒に遊ぶことは、三つの利点がある。一つ目は安全確保のための看護。二つ目は体力向上のための看護。三つ目は児童理解につながることである。
E校では、特認校、義務教育学校の特色である自然、少人数、全校合同、専科指導を生かし「健やかな体」の育成を「豊かな心」の育成とともに効果的で充実した活動を展開した。「全職員で全員の子を!」、少人数の良さを生かし「〇〇きたえーる(札幌市を全校で何周できる!)」をキャッチフレーズに、全校児童生徒一人ひとりがグラウンドをランニングした距離をトータルで測り、全校一体となった体育的行事の取組をした。その他の学校でも、縦割り活動や委員会活動とタイアップした縄跳び大会、健康増進活動、縦割り遊びの会など、子どもたちが主体となった自治的な活動を通し、一人ひとりが目標を持ち、仲間と取り組むことで、運動に慣れ親しみ、体力向上と子どもの主体的な運動習慣づくりへつながる取組を行った。
(札幌市 2024-08-01付)
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