札幌市小学校長会5年度研究成果 研究集録から 第8回
(札幌市 2024-08-02付)

「健やかな体」育成部③

 B校では「学校における運動機会の充実を図る環境整備推進事業」への参画を通しながら、子どもの体力向上に向け、学校経営方針への明確な位置付けのもと、校務分掌に委員会やプロジェクトを導入した。より実効性のある組織の変革から、学校としての方向性や具体的な取組を定め、全職員で共有化を図った上で、4点に取り組んだ。

 1点目「人材活用を積極的に取り入れた取組」、2点目「授業改善のための研修」、3点目「遊び場所の工夫」、4点目「栄養教諭や養護教諭と連携した取組」である。以上の4点を通して、学校における運動機会の充実を図る環境整備を推進していった。

 C校では、学校教育目標の一つでもある「心も体も強い子ども」の育成を目指し、中休みや昼休みを生かした日常的な体力向上を図った。運動の好き嫌いに応じた指導支援の在り方について留意し、個々の運動能力を高めていく取組を行った。

 からだ部門では、今までの実践報告の中から以下のことが明らかになってきた。小中一貫した教育において、健やかな体に関連する内容についてもパートナー校で協議し、それぞれの実態と課題を共有し、9年間を見通したプログラムにしていくことも大切であることが確認された。中学校教諭による専科指導は、継続して行うことによって児童と担任、双方にとって専門的な知識による教育的効果も大きく、今後も校長のマネジメントが大きく関わっていかなければならない。

 全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果のデータをひも付けるという視点では、データや各校の体力向上に向けた取組を進学先の中学校と共有することが重要であり、今後、グランドデザインの充実に向け、調査結果の共有や健康教育の系統性についても進めていくことが必要になってくる。

 校長の指導性と役割のもと子どもたちの実態を知りデータを整理し、ひも付けることで、全体像が見え、新たな課題が浮き彫りになる。そこから、必要な手だてを明らかにし、作成した「健やかな体」育成プログラムを全職員で共有することが学校としての戦略を持つことの第一歩と考える。

▼すこやか部門

 育成プログラムの三つの取組から「健康に関する指導の充実に向けた取組」について、各校の提言をカリキュラム・マネジメントの視点から七つのポイントに分類する。

 一つ目は「教師が連携し、複数の教科等の連携を図りながら授業を創る」取組で、F校では栄養士と養護教諭が連携して、毎月給食時に食育を行うことに取り組んだ。栄養士は基本プランを考え、養護教諭が資料等の準備や、児童への指導を行う。主な内容は、給食の食材やその料理が生まれた地域の紹介、料理にまつわるクイズなど、他教科等の内容も関連付けながら、児童が楽しく学べる工夫をしている。これによって、食べ物への感謝の気持ちを持つ児童が増えた。

 二つ目は、「地域と連携し、よりよい学校教育を目指す」取組である。F校では、学校周辺の豊かな自然環境を生かし、地域と連携した栽培活動に取り組んでいる。地元の農家に畑起こしや種まき、苗の扱いなども含め指導していただき、収穫した野菜は全校でカレーライス作りや焼き芋など、自分たちが栽培したものを調理し食べることで、食べる喜びや食べ物への感謝につながる本物の経験になっている。また、3・4年生が行う榾木に菌打ちをして育てるシイタケ栽培もキャリアパスポートに位置付け、食育として計画から振り返りまで行う特色ある活動の一つとなっている。

 三つ目は「専門家の指導により意識の向上を図る」取組である。G校では、ゲストティーチャーの活用を積極的に行っている。3、5年生では、食品を扱う民間企業に協力していただくことで、健康と食や自分の体について考える機会となっている。

 また、6年生では、保護者の医師を招き、がん教育を行うことで、心身の健康を保つ態度や姿勢を身に付けるための貴重な学びとなっている。さらに、歯科衛生士による歯磨き指導では、口腔衛生や歯周病予防、そして食事の楽しさについて知るための大きなきっかけとなっている。

(札幌市 2024-08-02付)

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