札幌幌南小　第４６回教育研究大会　子が創る学び目指して　自己選択・決定促す関わり研鑚

（札幌市 2024-08-01付）

教員７００人が２４授業を参観した

　札幌市立幌南小学校（大宮健一校長）は７月２６日、同校で第４６回道小学校教育研究大会を開いた。研究主題「Ｉ（アイ）を磨く子ども～子どもが創る学び」のもと、国語や社会、算数、理科など２４授業を公開。全道から約７００人が参加し、子どもを主語とした授業づくりに向けた自己選択・自己決定を促す教師の関わり方を研鑚した。

　同校は、前年度までの研究で「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を推進。幅を持たせた題材・環境構成によってこだわりを持って追究したり、意図的な資料提示で問いを引き出し、主体的に考えたりする姿が見られた一方で「課題が与えられたもので、子どもの目標になっていなかった」「交流の目的意識が見えず、子ども自身が交流したいと思えるようにする必要がある」という課題があった。

　このため、本次研究では「子ども主語」の学校を目指した研究主題を設定。「“学び”において、子ども自身が“自分が主体である”と実感していること」を実現するため①教材の吟味②自己選択・自己決定③追究と立ち位置―の３要素を重視した授業の構築に取り組むこととした。

　５年１組算数「整数の見方」（田中尚宏教諭、児童数３４人）は、１１時間扱いの１０時間目。単元を通して、整数の弁別の観点を子ども自らが見いだし、数の感覚を豊かにする学びを目指した。

　田中教諭は冒頭、４×４㌢㍍の正方形を提示し「１辺が何㌢㍍の正方形だとうまく敷き詰めることができるか」と問いかけた。児童たちは「２㌢㍍」「１㌢㍍」と回答。田中教諭は「まだある？」と投げかけると、別の児童が「４㌢㍍」と答え、前時までに学習した４の約数を確認した。

　続いて、田中教諭は４×１２㌢㍍の長方形を提示し、同様の問いかけを行った。児童たちは「１㌢㍍」「２㌢㍍」「４㌢㍍」と答えた。田中教諭が「どうして？」と問いかけると、ある児童が「（４と１２の）公約数を使った」と述べ、全員で公約数の考え方を確認した。

　その上で、田中教諭は「横１２㌢㍍、縦○㌢㍍の四角で、縦はそれぞれで決めよう」と呼びかけ。児童たちは１㌢㍍から１１㌢㍍までの長さをそれぞれ選んで考察した。

　１２の約数を確認した上で、選んだ児童が多かった８、６、１０をピックアップ。全員でそれぞれの数字の約数を挙げ、１２との公約数を考えた。

　最後に、田中教諭が「横２４㌢㍍、縦□㌢㍍を考えよう」と問いかけ、次時の学習につなげた。

　授業後には、分科会を開き、各教科における３要素の在り方を深め合った。

　このあと、京都大学大学院教育学研究科の石井英真准教授が「Ｉを主語とした“学び”や“学校文化の創造”～次期学習指導要領改訂を見据えて」をテーマに講演した。

(札幌市 2024-08-01付)