北数教中学校部会札幌支部が学習会 考え方高める指導追究 札幌大会へレポート精査等(札幌市 2024-08-23付)
道算数数学教育会中学校部会(石井貴司部会長)札幌支部は16日、札幌市立栄南中学校で夏の学習会を開いた。市内の教職員約30人が参加。7年度に予定されている第80回札幌記念大会を見据え、各グループで研究レポートを精査したほか、分科会を実施。生徒の数学的見方・考え方を高める効果的な指導方法を追究した。
同会では新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、前年度から対面形式の研修機会を拡充した。開会に当たり石井部会長は「オンラインを併用することで全道の教員ともつながりを深められるようになった。5年度発足した授業研究プロジェクトは道外からの教員参加も増えている。つながりを生かし、授業力の向上を図っていきたい」と研究の深化に向けて意欲を示した。
7年度の第80回札幌記念大会に向け、同支部の各グループではレポート研究の準備を進めている。学習会の分科会では研究内容の精査のほか、会員ではない教職員を囲み、日頃の指導改善に関する悩みを話し合う場を設けた。
会員が3グループに分かれて取り組む研究レポートの発表では、各グループそれぞれ①日常の事象や社会の事象から問題を見いだし解決する授業の創造②論理的に説明できる生徒の育成③他者との見方や考え方とつながり、数学的な教え方を高められる授業づくり―をテーマに、生徒の思考力の活性化などに焦点を当てた研究成果や課題を共有した。
うち②では札幌市立八軒東中学校の波田科子教諭と陵北中学校の奥野巧人教諭が「論理的に説明できる生徒の育成~対話を意識した指導の在り方に着目して」と題し、論理的に説明することが求められている中学校数学において、生徒との日頃の対話を積極的に設ける「対話型授業」の指導の在り方に関する研究を発表した。
目的を持った話し合いを進めるため「参加者全員が当事者意識・共創意識を持ち、多様な見解・対立などのずれを生かし、様々な見解や感想を分類・整理しつつ、解や智慧を共創していく」を最高ステージとして設定。授業アンケートを通して学習者の状況把握に努めた。
授業では他者との対話を意図的に増やす場面を展開したことを説明。生徒アンケートから「自分の考えを記述したり発表したりすることが難しい」「できる人だけが発表している」などの課題を分析し、授業の冒頭に前時の内容についてペアで対話したり、学習到達度を確認するための口述試験を年2回導入したりする取組に着手した。生徒は日頃の授業で取り組んだ内容や問題に対する正しい解の導き方を他者に説明するなどの機会が増えたことで「時間内に要点をまとめて話したり、友人の発表を補足説明をしたりする生徒の姿が見られた」との成果を報告した。一方、思考の深化には至らなかった点を課題と捉え、対話のテーマの種類を増やしていくことを今後の目標に据えた。
各グループの発表後は参加者による質疑応答を行い、数学科の授業力向上を目指した。
◆数学科オンライン授業研究会 教材研究力高めるには 道教大札幌・中逸氏が講義
夏の学習会と兼ねて行われた第4回数学科オンライン授業研究会では、道教育大学札幌校講師の中逸空氏が「日々の授業を充実させるために~教材研究と形成的評価」と題して講義した。オンライン参加を含め、道内の教職員約70人が参加し、教材研究力を高めるための視点を明らかにした。
授業研究会は専門的な視点で指導研究を深めようと、前年度から大学と連携して実施している。
講師を務めた中逸氏は東京学芸大学附属小金井中学校などで9年間教鞭を執ったあと、本年度から道教育大札幌校に講師として着任した。
自身の教員経験から、中学1年生「比例・反比例」の単元を例に授業研究に効果的なプロセスを説明。研究授業を通して仮説を検証し、周囲と議論を深めた上で再度仮説を立てる過程について「問い」に焦点を当てることが重要であるとした。
例として「1次関数の変化の割合が一定ではない場合、比例ではなく反比例の観点を“問い”として用意する」など、別の角度から数学的な意味を考えさせる指導方法を提示。様々なパターンに触れさせることで生徒の知識を増やすとともに、数学的見方・考え方を豊かにさせる可能性を高められると指摘した。
中逸氏は生徒の理解度をもとに指導を振り返る形成的評価から問いを見いだし、教材研究につなげるサイクルについて「単元6時間のうち、1時間を徹底的に教材研究に当てるなど、長い目で教材研究力を上げてほしい」と呼びかけ、指導改善だけではなく、会員同士で教材研究力を向上させる取組を推奨。「目の前の生徒に合わせて授業をするために、教材研究力を向上させることが良い授業をつくるポイント」と締めくくった。
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(札幌市 2024-08-23付)
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