札幌中央小　ＬＤＸサマーセミナー　“ズレ”を自覚させて　生成ＡＩ活用で実践発表や講演

（札幌市 2024-08-22付）

　文部科学省のリーディングＤＸスクール事業に指定されている札幌市立中央小学校（冨波修校長）は１９日、札幌ＬＤＸサマーセミナーをオンライン開催した。中央小の２教諭が生成ＡＩを活用した授業実践を発表したほか、放送大学の中川一史教授が講演。中川教授は、生成ＡＩの活用に当たって「“ズレ”を自覚させることが大事」などと説いた。

　１９日ときょう２２日の２日間日程で実施。１日目のテーマは「生成ＡＩ活用の未来」となっている。

　はじめに、中央小の中里彰吾教諭と仲川和磨教諭が生成ＡＩを活用した授業実践について発表した。

　中里教諭は、国語と音楽の実践を紹介。国語では、生成ＡＩが創作した詩と作家の作品を比較し「読み手に考えさせる詩を作るにはどうすれば良いか」という課題につなげたと説明した。

　「教師が使ってみる」「児童と一緒に使ってみる」「児童の活動を見守る」の段階を踏まえ、教科・領域を越えて活用していると伝えた。

　仲川教諭は、国語の俳句を創作する単元の実践などを説明した。児童の中には「この俳句に点数を付けて」など生成ＡＩとの対話を繰り返し、表現に磨きをかけていく姿が見られたという。

　包括的・補完的な関わりの重要性を示し「児童の考えを広げたり、深めたりするためのよりどころの一つとして活用していきたい」と述べた。

　続いて、中川教授が講演。

　生成ＡＩを授業で活用するに当たって、出力結果は「“答え”ではなく問いを深めるための“プロセス”」と説明。違和感を抱かせたり、自分の考えを補完させたりするなど「“ズレ”を自覚させることが大事」と強調した。

　全国の活用事例を紹介した上で、優れた実践を学校全体に広げていくためのポイントとして「情報活用能力の段階の見通しをどうつけていくか」「ほかの場面へどのように適用・発展させていくのか」「生成ＡＩの活用の主導権をどのように子どもたちに移していくのか」を考えていく必要性を伝えた。

　最後に、情報活用能力について「“その時代に合った適切な情報の扱いに対応できる力”と捉えている」と説明。この力を身に付けた子どもたちの育成に期待を寄せた。

　きょう２２日は「学習ログ　生成ＡＩ」をテーマに、中央小の佐藤佳明教諭と中央中学校の山口匠教諭が実践発表するほか、広島工業大学の安藤明伸教授が講演する。

(札幌市 2024-08-22付)