文科省 7年度予算概算要求案 教職調整額 13%に引上げ 教科担任や生徒指導定数改善
(国 2024-08-28付)

 文部科学省は7年度予算概算要求案をまとめた。教師の処遇改善に232億円を試算。教職調整額を4%から13%に引き上げるとともに、学級担任手当や管理職手当の加算・改善を要望する。小学校中学年における教科担任制、中学校における生徒指導担当教師の全校配置を4ヵ年計画で進めるほか、副校長・教頭マネジメント支援員の配置人数を3倍に拡充するなど、働き方改革をサポートする人員の充実を目指し、財務省との折衝を進める。 

 7年度予算の要求・要望額は前年度比11・5%増の5兆9530億円。このうち文教関係予算が8・1%増の4兆3883億円、科学技術関係予算が20・8%増の1兆1820億円。

 教職員定数の改善では、小学校中学年の教科担任制の拡充に2160人、不登校生徒への支援などに対応する生徒指導担当教師の中学校の配置に1380人を要望する。いずれも7~10年度の4ヵ年で改善を図り、生徒指導担当教師は全中学校での配置を計画する。定数の改善は次年度で完了する小学校35人学級の拡充などと合わせ、計7652人を見込んでいる。

 教職の魅力向上と優れた人材確保のため、教職調整額を現行の4%から13%に改善。職務・職責の重要性から校長・教頭などの本給も改善する。職務・勤務の状況に応じた手当の改善も図り、学級担任手当は月額3000円、管理職手当は5000円~1万円の支給水準の改善を求める。

 スクール・サポート・スタッフの補助単価は前年度の約1・3倍に引き上げ。配置人数は前年度と同数の2万8100人を見込む。副校長・教頭マネジメント支援員は3倍となる3000人の配置を目指している。

 ICT関連の新規事業では、GIGAスクール構想支援体制整備事業に88億円を要望し、学校の通信ネットワーク改善、都道府県単位での共同調達を前提とした次世代校務DX環境の整備支援に着手する。生成AIの利活用に関する実証研究にも取り組み、教育・校務における取組事例の創出、外国にルーツを持つ子ども・保護者への対応など、教育分野における生成AIの可能性を検証する。

 不登校・いじめ対策では、校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)における支援員の配置支援を開始するほか、警察のOB・OGなど他職種の専門家を「いじめ対策マイスター」として配置するモデル事業への着手を計画している。

 幼児教育の推進体制を整備するため、新規となる幼保小架け橋プログラム促進事業に7億円を要望。5歳児から小学校1年生までの架け橋期におけるカリキュラムの策定、コーディネーターの育成・派遣など自治体への支援を開始する計画。

 特別支援教育では、医療的ケア看護職員の配置人数の拡充、災害時対応を含む医療的ケアのガイドライン作成に向けた調査研究のほか、発達障がいのある幼児児童の就学前の早期発見・早期支援に向けた事業に着手する。

 部活動の地域移行に向けた実証事業には前年度の約3・8倍となる46億円を要望。運営団体の整備や指導者の確保などの支援を継続するとともに、課題の解決策の具体化や持続的・安定的な運営に向けた仕組みづくりに取り組む。

 夜間中学の設置促進に向けては1億6000万円を盛り込み、協議会の設置準備や学校開設後の円滑な運営に必要な経費を最大5年間措置するほか、夜間中学における日本語指導ガイドライン作成の調査研究に着手する。

 高等教育では半導体人材の育成拠点の形成に18億円を計上。大学の拠点校を新設して標準で学ぶべき半導体コアコンピテンシーと地域共通の教育プログラムを作成するほか、5ヵ年計画で半導体人材育成の拠点としての活動を開始する。

(国 2024-08-28付)

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