文化庁　地域文化クラブ移行実証　札幌市など６市町を採択　受け皿整備、指導者確保など

（国 2024-08-21付）

　文化庁は、地域文化クラブ活動への移行に向けた実証事業の６年度採択自治体を公表した。道内からは札幌市、蘭越町、登別市、白老町、厚岸町、標茶町の６市町を採択。吹奏楽部や合唱部などの文化部部活動の受け皿となる運営団体の体制整備、地域における指導者の確保など、持続的に文化・芸術に親しめる環境の構築に向けた実証に取り組む。

　国は５～７年度を推進期間と定め、中学校部活動の地域移行を段階的に進めている。事業は子どもたちが文化・芸術に継続して親しむ環境整備の課題解決に取り組み、成果を全国に普及することで文化・芸術活動の最適化と体験格差の解消を図ることがねらい。コーディネーターの配置を含む地域クラブの体制整備、指導者の確保、参加費用負担の支援、関係団体・分野との連携強化、学校施設の活用などが支援の対象となる。

　６年度の採択自治体数は前年度の９３市区町村から１６２市区町村へと拡大。道内からは６市町が採択となり、このうち蘭越町を除く５市町が新規となる。

　２年連続の採択となった蘭越町では、札幌大谷大学の協力のもと、蘭越中学校の吹奏楽部での遠隔指導を継続して実施しており、補助金を事業費として活用する。遠隔指導以外にも大学生との対面指導や成果発表の演奏会を１０月に実施する予定。

　登別市では本年度からスポーツ・文化部活動の受け皿となる「登別市地域クラブ」の活動を本格的に開始しており、文化部活動では合唱部の活動を試行している。実証事業の採択を受け、地域クラブの総括コーディネーターの人件費や、生徒が移動する民間バス貸し切りの費用に充てる。

　白老町では８月から白老吹奏楽団による吹奏楽部の指導を開始しており、指導者への謝礼として補助金を活用する。中学校２校のうち１校の吹奏楽部が廃部予定であることから、次年度に向けて生徒が吹奏楽に親しむことができる環境整備の方策を検討する。

　厚岸町では５月に吹奏楽部の受け皿となる「厚岸Ｊｒ.ウィンドバンド」を設立し、外部指導者による指導を試験的に実施しており、地域指導者の謝礼として補助金を活用する。町は陸上部の地域移行も進めていることから、次年度に向けて対象部活動の拡大を検討する方針。

　標茶町では５月から休日の陸上部、卓球部、吹奏楽部での地域移行・地域連携を進めており、指導者の謝礼や外部指導員のスポーツ保険のほか、地域移行の方向性を検討する関係会議の経費に活用する。

(国 2024-08-21付)