札幌手稲西中　生徒の学習支援に　卒業生の大学生が協力　双方が多様な学び得る機会

（札幌市 2024-08-30付）

学生から苦手な教科の対策や宿題を教わる生徒たち

　札幌市立手稲西中学校（田丸明史校長）が行う生徒の学習支援に、同校を卒業した大学生が協力している。ＰＴＡの呼びかけによって本年度は北海道大学、道教育大学札幌校、小樽商科大学の３人の学生が集まり、生徒と学生の双方にとって多様な学びが得られる機会となっている。

　　「主語と動詞を分けると考えやすいよ」「つぎはこの問題に挑戦してみよう」―。

　２０日、同校の図書室で行われた夏休み中の学習会。ワークシートの問題に頭を悩ませる１０人の生徒たちを大学生３人が机間指導し、一人ひとりにアドバイスを送っていた。

　夏休みの宿題を持ち寄った同校の丹野新太さん（３年）は「自宅だと勉強が進まないと思い、学習会に参加した。教科を担当する先生の授業の話など、大学生と共通の話題もあって新鮮」と学習意欲が湧いた様子。

　教職を目指す学生にとっても利点が大きい。道教育大札幌校の齋藤柊哉さんは「１年生の段階では児童生徒に勉強を教える機会が少なく、実践を踏める貴重な機会だった。中学生の視点に立つ難しさを知ったので、今後に生かしていきたい」と振り返った。

　取組は学校を核とした地域づくりを目指す地域学校協働活動推進事業の一環。市内の近隣小・中学校で構成する「パートナー校区」を中心に、本年度から導入が広がるコミュニティ・スクール（ＣＳ）との一体的な充実を目指している。

　市教委によると、現時点で市内小・中学校４０校が地域と連携したキャリア教育などの活動を進めているという。

　同校では、こうした取組の一環として、３年度から取り組んできた生徒の学習支援「まなぼぅ」を、本年度から長期休業期間は大学生に協力を依頼。これまで放課後に教職員が分担して実施していたが、本年度はＰＴＡのつながりによって同校を卒業した北大、道教育大、小樽商科大の１年生３人の協力を得ることができた。

　ＣＳを導入している同校では、パートナー校の手稲西小学校との連携も進む。部活動以外の運動機会として行っている「バドミントン教室」のほか、ことしは小学校の暖房工事の影響で、スポーツ少年団等に通う児童が同校の校舎を利用する機会が多い。

　同校によると今回、学習会に参加する生徒の姿を見た児童から「自分たちもやってみたい」との声があったといい、今後は図書室で実施している学習サポートに小学生が参加できるようにする環境も視野に入れている。

　田丸校長は「生徒が地域の多様な大人と関わり、憧れを抱くことで学ぶ意欲が高まると思う。地域と連携した取組を切り口に、社会につながる学びを展開したい」と話している。

(札幌市 2024-08-30付)