札幌市教委 全国学力調査報告書 中学校 国数で全国超 小学校 やや下回る数値に
(札幌市 2024-09-02付)

表8
札幌市立学校の各教科平均正答率(クリックすると拡大表示されます)

 札幌市教委は、6年度全国学力・学習状況調査の実施報告書を公表した。平均正答率は、中学校が国語、数学共に全国平均を1ポイント以上上回った。小学校は全国平均をやや下回る数値となった。質問紙調査では「自分には良いところがある」「授業では、課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組んでいた」などの割合が前年度より上昇した。市教委は今後、人間尊重の教育や学ぶ力の育成などを推進する考え。

 調査は4月18日に実施。小学校199校の6年生1万3491人(92・4%)、中学校100校の3年生1万2749人(89・1%)が参加した。

 教科に関する調査結果は、独自に小数点第1位まで算出した平均正答率を公表。

 小学校では、国語が全国平均と比べ0・5ポイント低い67・2%、算数が0・9ポイント低い62・5%となった。

 領域別にみると、国語では「我が国の言語文化に関する事項」が74・9%(全国74・6%)、「読むこと」が71・6%(同70・7%)と全国平均をやや上回った。

 一方、「学年別漢字配当表に示されている漢字を文の中で正しく使うこと」「資料を活用するなどして、自分の考えが伝わるように表現を工夫すること」などに課題が見られた。

 算数では「図形」が全国平均を0・3ポイント上回る66・6%だった。「除数が小数である場合の除法の計算」「速さの意味について理解していること」などは課題となった。

 中学校は、国語が1・8ポイント高い59・9%、数学が1・2ポイント高い53・7%と、いずれも全国平均を上回った。

 国語では、全ての事項・領域で全国平均をやや上回った一方、「表現の効果を考えて描写するなど、自分の考えが伝わる文章になるように工夫すること」「文章と図を結び付け、その関係を踏まえて内容を解釈すること」などは改善の余地があるとした。

 数学では、特に「図形」が全国平均を3ポイント以上上回る43・7%となった。課題は「等式を目的に応じて変形すること」「複数の集団のデータ分布から、四分位範囲を比較すること」などだった。

 質問紙調査の結果をみると「自分には良いところがある」と答えた児童生徒の割合は、小学校で82・4%、中学校で83・1%。前年度よりそれぞれ2・0ポイント、4・8ポイント上昇した。

 調査が始まった平成19年度と比べると10ポイント以上上昇しており、市教委は「“人間尊重の教育”を推進してきた成果が表れてきている」と実感する。

 「課題探究的な学習」に関わる質問では「授業では、課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組んでいた」と回答した割合が、小学校で前年度より1・6ポイント上昇し79・0%、中学校で3・0ポイント上昇し77・2%となった。

 一方「先生は、授業やテストで間違えたところや、理解していないところについて、分かるまで教えてくれている」と答えた割合は、小学校で前年度より6・5ポイント、中学校で2・8ポイント減少している。

 市教委は「子ども一人ひとりの学習状況を丁寧に捉えるとともに、個に応じた指導を一層充実していく必要がある」とした。

 結果を踏まえ、今後は「人間尊重の教育」を推進していくとともに「課題探究的な学習」「自治的な活動」を2本柱として「学ぶ力~自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら問題を解決する資質・能力」の育成を図っていく。

(札幌市 2024-09-02付)

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