札幌市学校教護協　理事幹事研修会　生徒の感情受け止めて　思春期対応でＳＣの滝川氏

（札幌市 2024-09-03付）

札幌市教護協会

　札幌市学校教護協会（大道弘孝理事長）は８月２９日、ホテルライフォート札幌で第２回理事幹事研修会を開いた。スクールカウンセラーの滝川秀子氏が思春期を過ごす生徒と、その保護者に対する望ましい対応を講演。生徒が自身の思いを“言語化”できるよう「じっくりと話を聴き、感情を受け止めることが大切」と呼びかけた。

　研修は関係機関等の情報を整理し、日常の生徒指導に役立てることが目的。会員約１２０人が参加した。

　滝川氏は市のスクールカウンセラースーパーバイザーのほか、北広島市教委の子どもサポートセンター相談員、自身の私設相談室を兼務。各地域で多様な悩みを抱える子どもの相談に応じている。

　講演では「相談室から見えること～思春期の子どもたちを支えるために」と題し、コロナ禍に小学校中学年期を過ごした子どもへの影響を解説。一斉臨時休業によってＳＮＳに触れる時間が増えたこと、制限の多い学校生活や行事の規模縮小などによって「本来受けるはずべきだった体験が不十分なまま、現在、思春期を迎えている」と説明。こうした生活環境から困難に立ち向かう意識が低下しつつあるとした。

　心情理解に向けた教員の関わり方については、生徒が自分の抱える問題やつらさを意識化できていないケースがあると指摘。「大人が生徒の感情を受け入れ、じっくりと話しを聴くことが大切」と言語化を促すカウンセリング力の必要性を強調し「つらさを相手に言葉で共有することで、解決に向かうことができる」と呼びかけた。

　保護者も同様に、コロナ禍の情報提供の減少から不安を抱えている傾向にあると説明。「情報や知識を提供すること、つながりやサポートを深めることが安全・安心に変わっていく」と初期対応の重要性を説明した。

　生徒と保護者それぞれの対応に関する注意点も解説。

　生徒に対しては「感情を否定せず受け入れることは大事だが、ネガティブな感情を行動に移そうとした場合は止めなければならない」、保護者に対しては「できない約束をしない」「別の生徒の話をしない」などを挙げ、信頼を損なわない対応を求めた。

　このほか、発達障がいや自傷行為に関する説明は具体的な事例を交えて説明。滝川氏は「チーム学校という言葉が叫ばれて久しいが、スクールカウンセラーとしても仲間の一員として子どもたちの役に立つことができれば」と呼びかけた。

(札幌市 2024-09-03付)