札幌あやめ野中 校内サポートルーム 安心して登校できる環境を 学習室など 見えない動線確保
(札幌市 2024-09-17付)

あやめ野中校内サポートルームの取組
同校のプレイルーム。カーペット敷きで、座って交流できるスペースも設置

 学校の空き教室を活用し、不登校の児童生徒の居場所として設置している校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)。札幌市教委は本年度、全小・中学校、義務教育学校、中等教育学校に対し、1校当たり15万円を上限に教室環境の整備に向けた予算を配分した。各校で児童生徒のニーズに応じた環境の構築を進める中、あやめ野中学校(大髙雅子校長)では、学習活動を中心としたスタディルームと、卓球台等を配置したプレイルームの2教室を設置。サポートルームまでの経路は、ほかの生徒から見えない動線を確保した。多様な生徒のニーズに配慮し、登校を支える環境を創出している。

 同校3階に隣接する二つのサポートルーム。教室に面していない側の玄関から階段を上ると、ほかの生徒からは見えない経路でサポートルームにたどり着くことができる。

 かつてのコンピューター室に設けているのは、学習に集中するスタディルームだ。軽運動や読書、絵画などをして過ごすプレイルームは元のLL教室で、卓球台もある。二つの教室は隣接し、生徒たちはその日の気分に応じて勉強をしたり、友人や教職員と卓球をしたりして過ごす。窓用エアコンを完備し、一定程度の涼しさを保つ快適な空間となっている。

 こうした環境は、教育支援センター白石を参考に整備した。大髙校長は「軽運動での交流や体を動かす際に声を出すことで、気持ちの活性化につながる。リラックスできる環境で安心して過ごしてほしい」と願う。

 文部科学省が昨年3月にまとめた不登校対策「COCOLOプラン」では、児童生徒が安心して学習に取り組める環境として、校内教育支援センターの設置促進を示している。

 方針に先駆け、市教委は平成27年度から児童生徒一人ひとりの状況に応じてきめ細かな支援を行う「相談支援パートナー事業」を開始。元教員や地域人材などの有償ボランティアを配置し、教職員と共に別室登校の生徒を支えている。

 本年度からは全小・中学校、義務教育学校に配置を拡大。このため、各校では本年度限りで配分された15万円の予算を活用し、校内教育支援センターの開設や充実に向けて空き教室の環境整備等を進めている。

 同校は、不登校支援の視点に立ちつつ、どの学校でも展開できる提案性のある環境整備を目的とした予算活用に努めたという。ソファや卓球台は校内に眠っている調度品を利活用。カーテンレールなどの物品は閉校となる学校から調達した。生徒のニーズに応じて絵画やパズル、読書をするスペースと、卓球をするスペースを仕切ることも可能だ。

 事業を担当する市教委の佐野恭敏教育相談担当課長は「小集団の交流を希望する子や個別にサポートが必要な子など、多様なニーズに対応できる環境は非常に先進的な取組」と話し、各校のニーズに応じた環境整備を期待する。

(札幌市 2024-09-17付)

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