奥尻町教委 DX・Step―Up 説明会 離島の課題解消へ 7年度以降本格化 STEAM本部機能を整備(市町村 2024-10-16付)
奥尻町ステップアップ事業
【函館発】離島が抱える地理的ハンディキャップを解消し、教育活動の幅を広げようと、6年度から「奥尻町教育DX・Step―Up事業」が始まった。町教委はデジタル田園都市国家構想交付金の採択を受けて全国12の企業や教育機関と連携し、ウェブ教育DX支援センターの開設やウェブAI塾の導入など四つの取組を検討している。9日、ウェブSTEAM学習の本部機能を担う「OKUSHIRI STEAM Lab」の整備完了に伴い、奥尻高校で現場説明会を実施。協力者や教職員が設備に触れ、7年度以降の活用本格化に向けてイメージを膨らませた。
事業は、町が直面する環境課題をデジタルで解消し、外部支援を獲得することで地域活性化を目指す取組。人口減少が著しく進む中、キャリア教育や交流の規模が限られ、学習塾がない現状など、離島が抱える教育課題は山積しており、ICT活用によって子どもたちの学びの幅を広げるために計画された。デジタル田園都市国家構想交付金(Type1)の採択を受け、3ヵ年計画で事業を推進している。
過去に文部科学省ICT活用教育アドバイザー派遣事業で、町の教育DXに係る助言に携わった佐賀未来塾の福田孝義氏を筆頭に、ネットワークサービスの提供や教育DXを専門とする企業、教科書出版会社、ICT活用の実践が進む九州文化学園など、12の企業および教育機関が協力。月に1度オンラインで開催する事業推進協議会に加え、分野に応じた組織編成をもって各種検討を進めている。
具体的には①ウェブ教育DX支援センターの開設②ウェブSTEAM学習を活用した確かな情報活用能力の育成③ウェブAI塾による小中高一貫した学力向上対策の強化④ウェブキャリア教育による発達段階に応じた進路意識の醸成支援―の4点。
うちウェブSTEAM学習の本部機能は奥尻高のパソコン教室に「OKUSHIRI STEAM Lab」として整備した。プログラミングロボットや3Dプリンター、VR、eスポーツに対応するゲーミングパソコン3台等を配備し、グラフィックアート、メタバース等の活用にも対応できるよう高機能タブレット型パソコン40台を導入。画像・音声処理速度が高く、遠隔交流や遠隔プログラミング学習などへの活用も考えられている。ネットワークアクセス管理装備「NetSHAKER」によって校内ネットワーク環境を強靱化した。
奥尻高および奥尻中学校は併設型の中高連携校で、渡り廊下で校舎がつながっている。小学校2校は奥尻中・奥尻高を中心に南北に分かれた立地のため、校種にかかわらない教室の利用が期待されている。
9日の現場説明会では、新機能を体験した中学校教員が、数学で3Dプリンターを活用した空間図形の学習や、プログラミングロボットによる英会話学習など、教科指導などへの利活用にイメージを膨らませた。探究学習を含め、教科等横断的な活用にも期待が寄せられ「様々な体験を通して学習や将来への興味・関心を持つきっかけにつながりそう」と話した。
環境整備を先行し、今後は多様な学習プログラムを検討していく。7年度以降に設備利用を本格化し、アクセス数等の算出・分析等を通して検証・改善を重ね、機能利活用の定着を図る。
交付金は設備導入等に係る費用が主で、事業統括を務める佐賀未来塾の福田氏は「3ヵ年計画を終え、国の予算が外れてもカバーできる予算設計で進める」としている。来年1月中旬には保護者を含めた説明会の実施を予定している。
(市町村 2024-10-16付)
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