生成ＡＩ利活用ガイドライン　主体別に要点を整理　年内改訂目標に文科省が検討

（国 2024-10-21付）

　文部科学省は１８日、初等中等教育段階における生成ＡＩの利活用に関する検討会議の第５回会合を開き、生成ＡＩのガイドライン改訂に向けた検討のポイントを示した。教職員、児童生徒、教育委員会の各主体別に基本的な考えや押さえておくべき要点を整理。委員からは教員のＡＩリテラシーを高める大学の役割や、実践の格差が生じないよう先行事例や教材・ノウハウを共有する重要性が指摘された。ガイドラインの改訂時期は年内を努力目標に準備を進める。

　生成ＡＩサービスは急速に進歩し、米国の司法試験に合格するなど高性能なサービスも現れている。生成ＡＩを搭載した学校向け教育サービスも出現し、学校内外での利用が加速化。一方、機密情報や個人情報の流出、著作権侵害、人権侵害などのリスク・懸念もあり、生成された内容の誤り（ハルシネーション）を完全に防ぐことは困難とされる。会議では技術的な対応やＡＩに関するルール作りの進展などを踏まえ、ガイドラインに盛り込むべきポイントを議論した。

　学校現場での活用に当たっては、教材・テスト問題や保護者向け文書のたたき台など授業・校務での利用のほか、今後蓄積されていく校務系・学習系データとの連携・分析も視野に入れ活用を想定。

　教育委員会では一律な禁止・義務付けなどの硬直的な運用ではなく、学校の状況を踏まえた柔軟な対応が必要とし、個人情報など重要性の高い情報の取り扱いに関する留意点を示した。

　児童生徒の活用に当たっては「生成ＡＩ自体を学ぶ」「使い方を学ぶ」「各教科の学習や探究的な学習での活用」などの各段階を意識して学びに生かす力を高める必要性や、利用に当たってのリスク、教育活動・学習評価の目的を達成する上での効果を確認する必要性を示している。

　意見交換では、教師のＡＩリテラシーを高める教員養成大学・大学院の役割や、養成から研修までの一貫した流れで授業で利活用する力を育成する重要性を指摘。自治体・学校間で実践の格差が生じることが懸念されることから、域内の先行事例や教材・ノウハウの共有、事例を深める研修の重要性を確認した。

(国 2024-10-21付)