教師取り巻く環境整備へ　阿部文科相が就任会見　定数改善など財源確保に決意

（国 2024-10-04付）

阿部文科大臣

　石破茂新内閣の発足に伴い１日付で就任した阿部俊子（あべ・としこ）文部科学大臣は２日、文部科学省で就任に当たっての記者会見に臨んだ。文科副大臣や看護師として経験を積んだ立場から、一人ひとりの子どもを大切にする「誰も取り残さない」教育の重要性を強調。教職員定数改善や教職調整額の引き上げなど教師を取り巻く環境整備に全力で取り組む決意を示した。

　阿部大臣ははじめに「教育、科学技術、学術、スポーツ文化、芸術それぞれの分野の課題に向き合い、文部科学行政を前に進めていきたい」と抱負を。

　副大臣として様々な学校現場を訪問した経験や看護師としての立場も踏まえ、障がいのある子ども、学校に行けない子ども、増加する外国人の子どもなど「誰も取り残さない」教育の重要性を強調し「（文部科学行政は）個人と社会の未来を切り開く極めて重要な分野と感じている。教師を取り巻く環境整備、わが国全体の研究力の向上、スポーツ立国・文化芸術立国の実現をはじめとする重要課題に一つ一つ丁寧に取り組み、国民の皆さんが夢や希望を持つことが実現できる社会を目指していきたい」と語った。

　また「学校の先生は学校教育の充実・発展に欠かせない存在。厳しい勤務実態が確実にあり、教師を取り巻く環境の整備がまずは重要」と強調。８月の中教審答申を踏まえ、学校における働き方改革の加速化、教師の処遇改善、学校の指導運営体制の充実を一体的・総合的に推進する必要性に言及した。

　その上で、教職員の定数の改善、支援スタッフの配置充実、処遇改善に向けた７年通常国会における給特法改正案の提出など今後の展望を示し「必要な予算の確保を含め、学校現場で子どもたちのために努力している教師を取り巻く環境の整備に向けて全力で取り組んでいく」と述べた。

　職務負荷に応じた新たな体制を構築する必要性にも触れ「財源だけではなく、質も含めためりはりをつけた形で頑張っている先生をしっかりと応援できる体制をつくっていきたい」との考えを示した。

　阿部大臣は宮城学院女子短大卒業後、平成９年米国の州立イリノイ大シカゴ校大学院博士課程修了。１５年日本看護協会副会長就任。１７年衆議院議員初当選、３０年外務副大臣、令和５年文科副大臣を経て、１日付で大臣に就任した。

　昭和３４年５月１９日生まれ、６５歳。宮城県石巻市出身。

(国 2024-10-04付)