文科省指定の中札内高養と更別農高 共に学び合う場創設へ インクルーシブな学校運営(国 2024-10-23付)
インクルーシブな学校運営モデル共に学び合う場創設
【帯広発】文部科学省の「インクルーシブな学校運営モデル事業」の指定を受けている中札内高等養護学校(太田千佳子校長)と更別農業高校(室伏諭校長)は、同じ課題意識を持つ両校の教員を情報提供・意見交換の場として「共に学び合う場」を創設する。教員アンケートを踏まえたテーマ設定をもとに、月に1、2回程度オンラインを基本に共同研修の機会を設けていく。
事業は、インクルーシブ教育システムの推進に向け、特別支援学校と小・中学校等を一体的に運営するためのモデルを構築し、全国に発信するもの。文科省から全国14地域が委託を受け、道教委は七飯養護学校と七飯中学校、中札内高等養護と更別農業高を指定した。広域分散で小規模校の多い本道の特徴を踏まえ、隣接型の研究を通して「交流・共同学習を発展させた柔軟で新しい授業」「現行の教員配置にこだわらない教職員の専門性を高めた授業実施に向けた体制構築」について3ヵ年計画で実証研究を進めている。
中札内高等養護と更別農業高は、両校の関係者や村教委らを構成員とした協議会を設置。両校の教育課程等について調整を行うカリキュラム・マネージャーには、長年教育行政に携わり、特別支援学校の経験を持つ寺田弘文氏を配置している。
事業推進に当たって実施した意識調査から確認できた課題解消に向けて、コアチームを構築。教員の思いを考慮して自主的な活動につなげることを目指し「交流・共同学習」「連携校の教育資源を活用した教育活動」の2点を推進する。
4日に開かれた第2回連携協議会では、共同学習のより一層の推進に向けて成果や課題を調査するため行った生徒・教職員のアンケート結果や連携校の教育資源の活用に関わる要望等を報告。来年度以降における交流機会の拡充に向けて、協議を交わした。
このほか、2村にまたがる学校配置であることから課題として生徒・教員の交通手段の確保や始動する各取組の持続性を持たせる工夫の実現などが検討事項として挙がった。
◆共同研修の場 きょう初回開催
インクルーシブ教育の理念や各種調査結果を踏まえ「共に学び合う場」として共同研修の機会を創設する。更別農業高の教員からの要望「場面緘黙の状態の生徒の関わり方」「専門スキルを持つ先生の継続的支援」などを踏まえたテーマを各回で設定し、中札内高等養護のコーディネーターがファシリテーターを務め研修を行う。
9月に実施した教職員アンケートの結果から、両校の教員が抱えている指導上の課題は概ね同様だった。同じ課題意識を持つ教員間において情報提供・意見交換を図るために、オンラインで月に1、2回程度の頻度で実施していく。初回はきょう23日に開催する。
共同研修の始動について委員からは「先生の要望に応える頃で交流の意義が明確になる」「先生の主体性・要望に応えた上でその効果を授業に還元できることがゴール」「相互関係構築の兆しが見えてきたのでは」などの期待の声が上がった。
◆12月20日に公開研 授業公開や報告会
12月20日には中札内高等養護で公開研究会を開催する。テーマを「生徒の主体的にかかわる力の育成を目指した授業実践~単元の計画・中長期的な取組を明確にした授業づくり」と設定。
国立特別支援教育総合研究所の丹野哲也情報・支援部上席総括研究員を講師に招き講演会を行うほか、授業公開や分科会、事業の活動報告会等を行う予定。
(国 2024-10-23付)
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