当別町教委 西当別中女子バレー部 部活動地域移行へ 実証事業を展開 アルテミスの選手が指導(市町村 2024-10-28付)
レシーブやスパイクなどプロの技術を学んだ
当別町教委は12日、町総合体育館で女子バレーボールVリーグに所属するアルテミス北海道の選手を招いて部活動地域移行の実証事業を開いた。西当別中学校(森聰校長)女子バレーボール部の生徒8人が参加。レシーブやスパイクなどの指導を受けながら、プロの技術を学ぼうと汗を流した。活動を見守った三澤吏佐子教育長は「部活動地域移行のメリットを周知する契機になれば」と話した。
部活動地域移行を巡って町教委は3年度、スポーツ庁・道からの委託を受け、野球部、バスケットボール部、陸上部の3種目を対象に実証事業に着手。4年度には、さっぽろ連携中枢都市圏の事業を活用した陸上部と共に、文化庁補助を活用した美術部で地域移行に取り組んだ。
2年間の事業を踏まえて「教員の兼職兼業によって意欲ある教員が継続して指導できる環境を提供できた」「外部指導者の知識・技能が教員の指導力向上や生徒の士気向上につながった」などとする成果を得た。
一方で「指導者に対する謝金や保険料等の予算確保」「事業の受け皿となる団体や指導者の確保」「指導方法の一貫性の確保」などの課題が浮き彫りになった。
本年度、町における部活動地域移行の意義を①スポーツ・文化活動を通した地域で子どもを育てる機運醸成・持続可能な地域づくり②学校における働き方改革を推進し、教員の負担軽減と学校教育の質向上―の2点を設定。6月以降、3回にわたって推進協議会を設け、町の実情に即した望ましい在り方の検討を進めている。
今回、町民に地域移行のイメージをつかんでもらおうと、実証事業を計画。西当別中女子バレーボール部を対象に、アルテミス北海道によるバレーボール教室を開いた。
生徒たちは、選手と共にウオーミングアップやダッシュ、ラダーを使ったトレーニングなどに取り組んだあと、ボールを使った基礎トレーニングに臨んだ。
選手たちから「レシーブでは腕を振らずに固定すると安定する」「ボールを返したい方向に体を入れると良い」などのアドバイスを受けながら練習。レシーブしたボールがそれると「諦めずに追いかけて!」「ナイスガッツ!」などと声がかけられ、懸命に技術力向上に励んだ。
生徒たちは「つぎのプレーを意識することの大切さをあらためて学んだ」「プロの技術を間近で見ることができた」などと汗を拭った。
練習を見守った三澤教育長は「プロなどの高度な技術を持った人たちから刺激を受けることは、生徒たちにとって素晴らしい経験になる」と目を細めた。
部活動地域移行の実現に向けて「地域の方々に、事業の良さを知っていただくきっかけになれば」と期待した。
◆部活動地域移行アンケート調査結果 小学生 多様な活動希望 保護者 費用負担など懸念
当別町教委は、部活動地域移行に関する小中学生とその保護者、教員に対するアンケート結果をまとめた。小学生への質問では、多様なスポーツ・文化活動を希望する傾向が顕著に。保護者に対する質問では、送迎や会費等の負担、地域指導者の資質・技量などを懸念する意見が上がった。教員では、部活動指導にやりがいを感じる教員が約7割に上った一方で、地域クラブでの指導を望む声は3割だった。
町教委は本年度、学校部活動のより良い地域移行に向けて推進協議会を設置。併せて、今後の地域移行の課題、方向性に関する検討の参考にするため、町内の小学5・6年生および中学1・2年生とその保護者、中学校教員を対象にアンケート調査を実施した。
アンケートは、小学生156人、中学生180人、保護者336人、教員29人の計701人を対象に実施。24・4%から回答を得た。
小学生の回答をみると、中学校でしてみたい種目については、バドミントンが最も多かった一方で、eスポーツや手芸、バスケットボール、スキー、美術、吹奏楽など多様な種目に分散する傾向が明らかになった。
地域クラブの種目にどのように取り組みたいかを尋ねると「スポーツ・文化系を両方体験したい」という回答が最も多かった。
地域クラブでの活動の目標については「楽しむこと」が最も多く、以下、「体力や技能の向上」「良い人間関係をつくる」と続いた。
中学生の回答をみると、地域クラブ活動に求めることについては「大会やコンクールなどで良い成績を取る」「体力や技能の向上」「人間として成長し自信を持てるようにする」「良い人間関係をつくる」「スポーツ・文化に親しみ、楽しむ」にほぼ同数の回答が集まった。
地域クラブ活動に参加したいかについては、58%が「参加したい」と答えた一方で、42%が「参加したくない」と回答。その理由をみると「学校の部活動ではないから」が最も多く、以下、「先生が指導しないから」「移動が大変だから」などの声が上がった。
小学生の保護者の回答をみると、地域クラブ活動に期待することでは「友達と楽しく活動」が最も多く、以下、「社会性を身に付ける」「チームワーク、協調性、共感を味わう」「興味・関心事に取り組む」などと続いた。一方、心配な点として「活動場所への送迎」が最多。「休日の大会等への付き添い」「会費等の経済的負担」「地域指導者の資質・技量」などに懸念が集まった。
中学生の保護者では、地域クラブについて「部活動を地域移行せず、外部指導者を確保し、教員と連携して部活動の枠組みで行うのが良い」とする回答が最も多かった。一方「部活動を地域移行し、教員や外部指導者を入れて運営するのが良い」という声もあった。
教員の回答をみると、担当する部活動にやりがいを「かなり感じる」「少し感じる」と回答した割合が67%を占めた。
一方で、負担については「帰宅時間が遅くなる」「休日の指導や大会の引率」「授業準備等の本務の時間がなくなる」などに回答が集まった。
地域クラブへの期待をみると、「教員の負担軽減」「専門的な指導」「技術力の向上」などが挙がった。不安については「指導者と生徒の人間関係」「情報共有の方法」「けがやトラブルへの対応や補償」「運営を含めた大会への参加」などが見られた。地域クラブでの指導について「希望する」と答えた割合は30%だった。
(市町村 2024-10-28付)
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