部活動地域移行の課題解決へ 北空知で広域モデル検討 11月に地域協議会初会合
(市町村 2024-10-30付)

 【岩見沢発】北空知の1市5町(深川市、妹背牛町、秩父別町、北竜町、沼田町、雨竜町)は、広域連携による部活動の地域移行に向けて検討を開始した。地域クラブの運営や指導者確保などの課題に共同で取り組み、持続可能なスポーツ・文化環境を構築する「北空知広域モデル」の実現を目指す。11月にも域内の関係者で構成する地域協議会全体会議の初会合を開催し、具体的な検討を開始する予定。

 

北空知は水稲、畑作、園芸、果樹園などの農業を中心とした農村地域。全ての市町の人口を合算しても3万人を切っており、児童生徒数は小学生1085人、中学生583人で、中学生の部活動加入状況は411人となっている(6年度5月現在)。

 深川市以外の町では小・中学校がそれぞれ1校しかなく、合同部活動を行っている学校が多数存在。豪雪地域であることや公共交通路線の廃止・縮小もあり、送迎を担う保護者負担や子どもたちの体験格差が懸念されている。

 5~6月、域内の中学生を対象にアンケート調査を実施した結果「やりたい部活動がない」「部活動に所属したくない」と回答した割合が41%を示した。参加希望種目はeスポーツとバドミントンが同率で最も高く、美術、ダンス、サッカーなど子どもたちのニーズが多様化していることが分かった。

 10年後を見据えたスポーツ・文化芸術環境を実現するため、1市5町は新たに地域協議会を設置して広域連携に向けて検討を開始。協議会は各市町における小・中学校の校長や部活動顧問の教員、PTA、行政、スポーツ・文化団体の関係者らで構成し、情報交換を重ねて合意形成を図っていく。

 今後、「北空知広域モデル」を構想していくため、運営主体、財源モデル、指導者確保、移動交通手段の確保に向けた調査や、実証事業を検討していく考え。各市町の体育館や野球場、テニスコート、カーリングホールや、スキー場併設の体育館など充実した北空知の体育施設を効果的な活用を検討する。

 今後行う実証事業として、既存部活動の地域クラブ化やニーズの高い種目についても検討していく予定となっている。

 沼田町教委の赤井圭二教育課長は「これから道内の部活動は、複数自治体による広域連携が当たり前になってくる。子どもたちのスポーツ文化活動を“地域(広域)”で支え、市町村が協力し合って知恵を絞らなくてはならない」と述べ、持続可能な将来を見据えたロードマップ、エビデンスに基づいた構想、そして地域における合意形成の必要性を訴える。

 また、子どもたちの体験格差が地域全体の子育て・移住定住策に影響を及ぼす可能性を懸念し「地域と教育部局、自治体の首長部局との両輪で解決しなければならない。北空知広域モデルでこれからの社会を担う子どもたちを育てる責務が私たちにはある」と語る。

(市町村 2024-10-30付)

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