全校に大型電子黒板とAIドリル配備 新機能活用し授業改善 森町教委 推進教員と共に
(市町村 2024-10-29付)

森町教委・教育DX
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 【函館発】森町教委は6年度、デジタル田園都市国家構想交付金を活用し、全小・中学校に大型電子黒板とAIドリルを配備した。導入から数ヵ月、道教委「新しいかたちの学びの授業力向上推進事業」の推進教員2人と共に、各校教員が新機能を活用した授業づくりに励んでいる。推進教員によるフィードバックの共有など、町内全域で研修の日常化が図られており、日々新たな実践が生まれている。 

 森町は5年度から道教委「新しいかたちの学びの授業力向上推進事業」の推進地域に指定され、小学校を中心に効果的なICT活用の実践を積み重ねている。指定2年目を迎え、1人1台端末のさらなる利活用や個別最適な学びを実現しようと、町教委はことし4月にAIドリル・キュビナを導入。8月には大型電子黒板を全小・中学校の普通教室および特別支援教室等に計62台配備し、指導者用デジタル教科書の有効活用などによる授業のデジタル化を推進している。

 事業連携校のさわら小学校において、一人の教員は導入時に「キュビナタイム」と称した復習時間を設定。AIドリルに搭載された学習履歴機能から、過去に誤答した問題を解き直し、学習の定着を図っている。教員が搭載機能をよく理解し「不正解の時こそ、解説をよく読むことが大切だよ」と児童たちに声をかけていた。

 また、電子黒板を正面に、黒板を側面にする教室配置によって、黒板には学習の見通しや既習事項を提示し、電子黒板にデジタル教科書や児童の提出物を共有。板書を書き写す時間が考える時間へと変わり、児童たちは教室内や教科書、端末等からあらゆるヒントを得て、学習方法を自由に選択しながら学びを深めている。

 実技教科においても電子黒板が効果的に活用されており、美術科授業では教員が巡視しながら児童の作品を撮影し、電子黒板に提示。児童たちが制作に熱中する中、全体で他者の作品を共有することで、本来のテーマに立ち返る時間を設けた。

 いずれの実践もベテラン層の教員が考案した指導方法。同校は教員歴の長い教諭も多く、管理職面談でICT機器への苦手意識を吐露する声もあった。

 推進教員は個人の目標設定や授業のフィードバック、研修の充実を図ることで授業改善への意識を醸成。フィードバックは電子掲示板アプリで共有され、日頃から教員間で好事例を話し合うなど、研修の日常化が進んでいる。

 推進教員の中嶋亮太教諭(森小)は「身近な実践を日々共有し、スモールステップでICT活用の良さを実感してもらうことを心がけている」と話す。

 AIドリルに関して、同校は教員の活用率100%を達成した。推進教員の長谷川峻教諭は「家庭との連携が大きなテーマ」とし、家庭学習等へのさらなる活用にも意欲を示す。

(市町村 2024-10-29付)

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