3定札幌市議会決算特別委(28日)(札幌市 2024-10-30付)
◆新規募集へ周知機会増 スクールガード増員
札幌市教委の喜多山篤児童生徒担当部長は28日の第3回定例市議会決算特別委員会で、スクールガードの増員に向けて、新規募集の周知機会を増やすなどして確保に努める考えを示した。
児童生徒の登下校を見守るスクールガードについては、年間で約200人の新規登録を受け付けており、計1200人程度が各担当地域で活動している。
一方、年齢等の事情によって、年度末には新規登録者数と同程度の辞退者が生じていることが課題となっている。
現在、1年間を6期に分けて登録機会を設定しているが、新規募集の周知は年度初めの1回のみとなっている。
周知機会を増やすとともに「スクールガードの活動や役割等を記載した募集チラシ等を新たに作成し、保護者や地域に配布することで、地域における交通安全や防犯に対する意識を一層高める」と述べた。
竹内孝代委員(公明党)の質問に対する答弁。
◆要望等踏まえ増設や洋式化 大規模校トイレ
池田秀利学校支援担当部長は、大規模校におけるトイレの増設や洋式化について、学校の実情や要望を踏まえながら検討していく考えを示した。
市教委が策定した「市立小中学校の学校規模の適正化に関する基本方針」では、適正な学校規模を小学校で18~24学級、中学校で12~18学級と定めている。一方、一部の学校は30学級を超え、適正な学校規模を上回っている。
こうした学校に対し市教委は、児童生徒数の増加に応じて転用が可能な部屋を普通教室に改修してきたほか「学校行事やカリキュラムの創意工夫によって子どもたちの活動に支障のないようできる限りの対応をしていただいた」と述べた。
トイレについては、必要数は満たしているものの「フロアごとの整備数は万全とは言えない」と認識。「学校には、着席時間の工夫などによって対応していいただいているのが実態。もう少しトイレの数を増やしてほしいという声があるのも事実」と報告した。
太田秀子委員(日本共産党)の質問に対する答弁。
◆モデル事業実施し望ましい在り方を 部活動地域移行検討
佐藤圭一学校教育部長は、部活動の地域移行に向けた検討状況について報告した。
市教委は昨年7月、検討委員会を設置し関係者から意見を聴取している。
本年度は、市スポーツ協会と連携した多種目体験型スポーツ活動、民間企業と連携したプログラミング、eスポーツの地域文化クラブ活動のモデル事業を展開している。
生徒の多様なニーズに応じた活動の場の創出や持続可能な地域クラブ活動のモデルを構築する必要性を考慮し、本年度のモデル事業では、前年度実施したアンケートで小学生から希望の多かった、従来の部活動にはない種目について検証を進めている。
検討に当たっては「競技・種目ごとに競技人口や課題等が異なることから、地域の関係団体と個別に調整しながら実現が可能な地域移行の在り方について検討するということが必要」との認識を示した。
今後は「地域の関係団体等と連携のもと、地域の専門的人材の活用によって実践的な部活動地域移行のモデル事業を実施し、成果や課題の検証等を進めながら札幌市における望ましい活動の在り方について引き続き検討していきたい」と述べた。
藤田稔人委員(自民党)の質問に対する答弁。
◆入札不調48件発生 6件契約締結せず 5年度学校施設整備
池田部長は、5年度の学校施設整備について48件の入札不調が生じ、うち6件は契約締結に至らなかったと明らかにした。
契約締結とならなかったのは、2校のリニューアル改修に係る建築、電気、機械工事の計6件。この2校については「5年度中の実施を見送り、翌年度以降に工事内容を含め、早急に再検討することとした」と伝えた。
今後の対策については、改定予定の学校施設維持更新基本計画において、リニューアル改修の内容を見直す考えを示した。子どもたちを仮設校舎に移動させ、工事を通年化することで、今までできなかった配水管や電気設備工事が追加できるとし「事業者にとっても参入しやすい工事になるのでは」と述べた。
うるしはら直子委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。
◆過年度債権 法的措置へ 学校給食費未納対策
池田部長は、学校給食費の新たな未納対策として、過年度債権については裁判所に支払督促を申し立てるなど法的措置を講じる考えを示した。
学校現場の負担軽減に向け、市教委は5年度から学校給食費を公会計化している。
初年度となった5年度の未納率は1・02%で、前年度より0・67ポイント上昇。未納額は約4800万円増の約7300万円に上る。
未納対策としてこれまで、市債権管理条例に基づき、市教委から督促状や催告書の送付、電話による送付案内などを行ってきたことを伝え「今後も適切な債権管理を行っていきたい」と述べた。
うるしはら委員の質問に対する答弁。
◆サミット成果踏まえ支援へ 子の自治的な活動
佐藤部長は、本年度初開催した「さっぽろっ子サミット」の成果を踏まえ、児童生徒の自治的な活動をさらに支援していく考えを示した。
自治的な活動を中心的に進めている子ども運営委員会の取組としては、各学校の好事例を表彰し全校に啓発するとともに、年間を通じた活動成果や課題を教職員向けに発表する機会を設けることなどを予定しているという。
「子どもが成し遂げたいことに向けて試行錯誤する経験を重ねる中で、大人の協力も得ながら、自分たちの手で学校生活や地域社会をより良いものにしようと行動する力を一層育んでいきたい」と述べた。
また、人間尊重の教育の充実につなげていくため、子ども同士が各学校の取組を1人1台端末で交流できる仕組みを整えたり、コミュニティ・スクールを活用し子どもが地域の人々と共により良い学校づくりに向けて対話する場を設けたりするなど「学校や世代を超えた多様な人々との交流を通じて学びを深める取組を進めていく」との方針を示した。
熊谷誠一委員(公明党)、山田洋聡委員(自由民主党)の質問に対する答弁。
(札幌市 2024-10-30付)
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