3定札幌市議会決算特別委(25日)
(札幌市 2024-10-29付)

◆訪問支援事業 2世帯が利用 ヤングケアラー

 札幌市子ども未来局の浅山信乃子ども育成部長は、25日の第3回定例市議会決算特別委員会で本年度開始したヤングケアラー世帯訪問支援事業の実施状況について報告した。

 事業は児童福祉法の改正を受けたもので、訪問支援員が対象世帯を訪問し、原則3ヵ月以内、週2時間を上限に食事の準備、家事支援、幼いきょうだいの育児サポートなどを無料で実施。このほか、不安や悩みを傾聴し、必要に応じて情報提供を行っている。

 6月に事業を開始し、今月現在2世帯が利用している。浅山部長は、今後の課題として「ヤングケアラー当事者が将来、世帯から独立したことを見据え、家族が利用可能な福祉サービスにつなげていく必要がある」と強調。「まずは同事業で支援を受けることに慣れてもらい、ほかのサービスの利用を働きかけていきたい」と述べた。

 うるしはら直子委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。

◆警察と連携深め子の安全を守る 児童虐待防止

 飯田敏之緊急対応担当部長は、児童虐待防止に向けて「警察との連携をより深め、子どもたちの生命や安全を守る体制を強化していきたい」と述べた。

 市内における児童虐待の対応件数は増加傾向にあり、5年度には過去最多の2677件に上った。

 飯田部長は「核家族化の進行や、市民意識の高まりによる虐待通告の増加など様々な要因が考えられ、児童相談所の重要性はますます増している」と認識。本年度から、道警と市職員の相互派遣を行っている。「迅速かつ効果的な情報共有や連絡調整が可能となり、より適切な対応が図られるようになった」と成果を示した。

 7年度の第2児童相談所開設を見据え「警察からの派遣職員の知見を2所体制でも生かせるような体制づくりが重要」と述べた。

 竹内孝代委員(公明党)の質問に対する答弁。

◆児相等人事ローテ 関係職員研修充実 親子支援担当係長職

 宮本まゆみ児童相談所長は、親子支援担当係長職について、児童相談所と家庭児童相談室の人事ローテーションや関係職員の研修を充実する方針を示した。

 市は本年度、中央区、北区、東区のこども家庭センターに親子支援担当係長を新たに配置。特に支援が必要な世帯訪問に同行するとともに、母子保健と児童福祉の面から専門的助言を行い、的確な個別の支援計画の策定につなげている。

 各区の実情に応じて、産婦人科などの医療機関と情報共有を行うとともに、虐待の未然防止に向け、困難世帯を見守る地域ネットワークを構築するなど連携をさらに強化している。

 宮本所長は、母子保健および児童福祉の両分野を経験した保健師を係長職として配置していることを踏まえ、両部門の専門的知識を有し、的確な判断を行える人材育成にも努めると強調。また、児童相談所と家庭児童相談室との人事ローテーションや関係職員への研修を充実させ、専門性の高い支援体制をさらに強化していくとした。

 藤田稔人委員(自由民主党)の質問に対する答弁。

◆9年度までに40人に拡大へ 病児・病後児保育

 渡邉昌輝支援制度担当部長は、病児・病後児保育事業の定員を9年度までに40人に拡大する考えを示した。

 本年度現在の受け入れ可能施設は7施設で、定員は各施設で原則4人。まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023の計画期間中に受け入れ可能施設を10施設まで拡大する方針を示している。

 保護者が必要な時に事業を利用できるよう、受け皿の拡大のほかにも「現在の施設を効率的に活用し、より多くの児童を受け入れられるよう、運営方法についても検討していきたい」と述べた。

 波田大専委員(日本維新の会)の質問に対する答弁。

◆自己肯定感向上と社会生き抜く力に 次期さっぽろ子どもプラン

 浅山部長は、7年度開始の次期さっぽろ子ども未来プランで、子どもの多様な体験機会の充実などを盛り込み「豊かな心と様々なスキルを育み、自己肯定感の向上と社会の中で生き抜く力につなげる」と述べた。

 次期プランの策定に向けて、10~18歳の子どもの意識調査、0~5歳児がいる保護者のニーズ調査およびヒアリング、18~39歳の若者の意識調査を実施。

 子どもへの調査では「自己肯定感の低下」「社会の仕組みを学ぶ体験機会が不十分」などの課題が明らかになったと報告した。

 和田勝也委員(自由民主党)の質問に対する答弁。

◆冬季休業期間から弁当価格引き上げ 児童クラブ昼食提供

 浅山部長は、児童クラブにおける長期休業期間中の昼食提供事業について、冬季休業期間から実施頻度を増やすことに伴い、提供する弁当価格を引き上げる方針を示した。

 市は、子育て世帯の家事負担軽減に向け、3年度から児童クラブの長期休業期間の昼食提供事業を試行的に実施。今夏に実施した利用者アンケート調査では、利用者の7割から実施回数増を求める声が上がった。

 浅山部長は、本年度の冬季休業期間から全ての児童会館で実施頻度を高める意向を表明。一方、全館で毎日昼食を提供することから、事業費の増大が想定されるため、配送費相当分の80円を弁当価格に転嫁し、弁当代を従来の390円から470円に設定したと報告した。

 アンケートでは約9割の利用者から「弁当代金の負担が一定程度増えてもやむを得ない」と肯定的な回答が寄せられているため、今後は市場価格の動向なども勘案し、引き続き持続可能な事業展開を追求していく。

 林清治委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。

◆8月末まで利用者584人 病児・病後児保育

 渡邉部長は、本年度の病児・病後児保育事業の利用状況を報告した。

 市は、病気回復期にある生後5ヵ月から小学6年生までの子どもを預かる保育事業を平成11年度から市内7施設で展開。

 本年度から、急な発熱時などに子どもを預かることができるよう、症状ごとの目安を定めるなどの環境を整備し、既存施設のうち5施設が病児の受け入れを可能としている。

 渡邉部長は、ことし8月末までの利用実績について、利用の予約があった子どもの人数は1084人と、前年同月と比べ約1割程度増えていると説明した。

 一方、子どもの体調が回復したなどの理由によって、当日に予約をキャンセルしたケースも4割程度あったとし、実際に利用した子どもの数は584人だったと報告した。

 ふじわら広昭委員(民主市民連合)の質問に対する答弁。

(札幌市 2024-10-29付)

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