第45回道国際理解胆振・苫小牧大会 世界に関わる行動力を 向き合いつながり合う学びに(関係団体 2024-11-06付)
【苫小牧発】全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会、道国際理解教育研究協議会(井上博文会長)は10月31日から2日間、苫小牧市教育・福祉センターなどで第45回道国際理解教育研究大会胆振・苫小牧大会を開催した。オンラインを含め全道から114人が参加し、大会主題「多様な世界に関わり続ける行動力を身に付けた児童生徒の育成~目の前にある世界と向き合い、つなぐ、つながり合う学びを求めて」のもと、四つの公開授業などをもとに研究実践を深めた。
第45回全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会北海道ブロック大会、第41回胆振国際理解教育研究大会を兼ねて開催した。
2日目に苫小牧市教育・福祉センターで開催した開会式では井上会長らがあいさつに立った。井上会長は、混迷を深める世界情勢に触れ「多様な社会の中で平和な世界を築く資質・能力が求められている」と指摘。「当研究会では多様性を尊重し、粘り強く他者と関わり、対話と行動を通して他者理解・自己理解を深めることを目指している」などと述べ「国際理解教育は、多様性の尊重という教育の根幹に関わるもの」と訴えた。
続いて胆振教育局の髙橋宏明局長と苫小牧市教委の福原功教育長が祝辞。
髙橋局長は「グローバルな社会において国際的なルールの形成をリードしたり社会経済的な課題解決に参画したりするグローバルリーダーの育成が求められている」、福原教育長は「グローバル化の反面、環境や貧困、紛争、人権などの問題を解決する、異なる文化や価値観を尊重しつつ自分の意思や考えを表現できるコミュニケーション能力が求められる」などと述べた。
全体会では、道国際理解教育研究協議会の関本勝幸研究部長が基調提言、胆振国際理解教育研究会の三上僚研究部長が研究発表。
関本部長は、第14次3ヵ年継続研究の2年目に当たり、目指す授業の姿を「児童生徒が対話を通して生き生きと学び合う授業」とし、視点を①問題解決的な学習②対話を通して価値に迫る―の2点としたことなどを説明した。
三上部長は「世界と関わり続けるためには対話と行動力が必要であり、授業では多様な人や価値観との出合いの場をできるだけつくり出すことが大切だ」としたほか、多様な振る舞いや考え方を知り、受け入れる児童生徒の育成等を目指し、子どもの主体的な行動を促す単元構成や、対話を通して価値に迫る学習場面の構成を研究の視点としたことなどを説明した。
このほか、初日はオンラインを併用して三つの課題別分科会などを実施。2日目は授業公開、授業別分科会などを行った。
◆子の主体的行動促す単元・場面構成 対話を通し価値に迫る 小・中3校が4授業公開
第45回道国際理解教育研究大会胆振・苫小牧大会では2日目、苫小牧市内の小・中学校3校が四つの授業を公開した。いずれも子どもの主体的な行動を促し、対話を通して価値に迫る学習を目指したもの。
日新小学校は佐藤淳哉教諭が6年生の総合的な学習の時間、明野小学校は6年生の外国語科の授業を公開。授業者は教科担任を務めている明野中学校の根岸清人教諭が行う乗り入れ授業として実施した。
大成小学校は大串和弘教諭が2年生の生活科の授業を公開。明倫中学校は阿部雄太教諭が1年生の道徳の授業を公開(会場は日新小)した。
このうち明野小6年1組の外国語科では「Check Your Steps1 発信!私のニュースあれこれ」の授業を公開した。
メキシコの小学生に日本の文化や学校行事、日常生活をビデオで伝える活動で、8時間扱いの6時間目。
前時までに撮影したビデオをより気持ちや考えが表れるよう表現方法を見直す場面で、子どもたちは班ごとに話し合い、声の大きさやジェスチャー、笑顔、ゆっくりしゃべるなど、よりビデオがレベルアップするための改善点を確認した。
実際に撮影に入り、京都の金閣寺や団子、着物、東京タワーなどを映像と共に紹介する班や、実際にかるた遊びを行っている様子を映す班など、自分たちの考えたビデオがよりメキシコの小学生に伝わるよう「もっと声を大きくした方がいい」「撮影はこっちからの角度で」「ゆっくり分かりやすく話そう」などと工夫を重ね、動画のアップロードまでを行った。
根岸教諭は折に触れ使用しやすい単語や注意点(Be kind、Be friendly)などを伝え、活動のヒントを与えたほか、最後に「コミュニケーションで大切なことって何かな?どうしたらメキシコの友達が理解しやすく、興味を持ってくれるかな?」と投げかけ、次回各班のビデオの検証とともに考えていくこととした。
また、明倫中1年1組の道徳「異文化の人々と共に生きる」の授業では、日本の文化と外国の文化の違いについて簡単に考えた上で「マンションに住んでいる外国人が頻繁に夜中にパーティーを開き、騒音で困っている」「ごみ出しもルールを守らない」という設定で、マンションの住民としてどう行動するかを考えた。
対決、協調、妥協、回避、服従、第三者介入の六つのカテゴリーに分け、具体的にどうしたら良いかを班ごとに考えタブレットに入力した。
生徒たちは「その国に住むならルールを守るべき」「日本のことを調べてから来るべき」「弁護士を通して解決してもらう」などと考案。
しかし考えが深まるにつれ一方的なやり方ではなく「言葉やルールが分からないかもしれないから、スマホで各国の言葉に翻訳し教えてあげる」「月2、3回なら夜に騒いでもいいなどのルールを決める」「周りの迷惑を考え音を小さくしてもらう」「少しの間一緒に住んで日本のルールを直接教えてあげる」など、外国人に寄り添う意見が増えていった。
また「パーティーに参加するなど、外国人といったん仲良くなってから話し合えばもっとスムーズに話が進むのではないか」といった意見も出された。
阿部教諭は、浦河町の牧場にインド人が多数働きに来て、人手不足の中「救世主」と呼ばれていることや、苫小牧市内でも現在、中国、アフガニスタン、パキスタン、スウェーデンなどから11人の小中学生が在籍していることを紹介し「外国人は今や遠い国の人ではなく、すぐ身近にいても、あす教室にいてもおかしくない。そういう現状で、外国人と共生するために必要なことは何かな?」と投げかけ、それぞれに思ったことなどを入力させた。
この記事の他の写真
東京タワーなどの画像を紹介しながら明るく分かりやすいビデオになるよう工夫した
外国人と共生するための方策を検討した
(関係団体 2024-11-06付)
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