札幌市学校教護協会が理事幹事研 “ほっ”とするまで聴く 自殺対策センター・佐藤氏講演(関係団体 2024-11-08付)
札幌市学校教護協会(理事長・大道弘孝札幌市立北野台中校長)は10月31日、ホテルライフォート札幌で第3回理事幹事研修会を開催。市内公・私立の中学校、高校から約110人の教員が参加し「自殺予防と中・高生徒の生きる支援」をテーマとする講演を通じ青少年の健全育成に向け知見を深めた。
同協会は市の青少年の健全育成を目的として市内および近郊各学校の生活指導上の連携を図るために発足したもので、多方面にわたる関係機関とも連携し、時代に即した健全育成活動を進め、中学生、高校生の非行防止や未然防止に努めている。
研修会では、はじめに能登啓児副理事長(札幌丘珠高校長)があいさつ。厚生労働省が発表した5年中における自殺の概況から、全国で小中高生513人が自殺している状況を示し「最も多かった2年前に比べ1人減だが、高止まりになっているという表現が使われている」と説明。
「コロナ禍が明けて、人間関係づくりに苦慮する子どもたちが本当に増えている印象がある。最悪なケースに至らなくても悩みを表明する子どもたちが多くなっている」と指摘し「こうした状況の中で、われわれ教職員がしっかりとカウンセリングマインドを持つことが必要。しっかりと学習を重ねた知識をもとに子どもたちに対応する力を身に付けたい」と述べた。
続いて、あきた自殺対策センター特定NPO法人蜘蛛の糸理事長で、厚生労働大臣指定法人いのち支える自殺防止推進センター理事の佐藤久男氏が「自殺予防と中・高生徒の生きる支援~自殺予防の相談現場からのレポート」と題して講演した。
自殺対策基本法について解説し、自殺対策は「社会的な取組として実施されなければならない」「単に精神保健的観点からのみならず、自殺の実態に即して実施されなければならない」「各段階に応じた効果的な施策として実施されなければならない」「国、地方公共団体、医療、事業主、学校など関係する者の相互の密接な連携のもとに実施されなければならない」ことを伝えた。
また、自殺者数の年次推移等について説明するとともに「三つのクライシス」として金融破綻等の1998年問題、2008年のリーマンショック、2020年からのコロナ問題を挙げ、社会問題が自殺の背景にあることをあらためて強調した。
北海道から沖縄まで延べ1万人以上の相談に応じてきたという豊富な経験を持つ佐藤氏は、特に「傾聴」の方法について言及。相談者の話を受け止め「共感」「共有」することで相談者が「心の中にたまったものを表出する」といった解決までの流れを説明した上で、「悩みは静かに聴く。すると、ほとんど相談者が話をしてくれる」と留意点を伝えた。
「相談者がいくつ悩みを抱えているか、悩んでいる期間は、緊急性の程度はどのくらいかなどを聴き出すこと」「下から目線で支え、相談者が“ほっ”とするまで聴き続ける。明るい雰囲気をつくることも大切」などと傾聴のポイントや心構えについて説明した。
児童生徒の自殺対策に触れた佐藤氏は、厚労省のデータを示しながら自殺の低年齢化を指摘。不登校との関係に「不登校防止のための魅力ある学校環境づくり、不登校の子どもに応じた個別支援」の必要性を訴えた。
(関係団体 2024-11-08付)
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