北海道 教育・こども政策連携へ 7年度 総合教育大綱を改定(道・道教委 2025-01-01付)
道の改定北海道総合教育大綱が7年度からスタートする。改定素案では「学び」に係る教育政策と「育ち」に係るこども政策の相互連携を掲げ、本道における教育の方向性を四つの基本方針と43の施策項目で設定。新しい時代の北海道を担う子どもたちの成長を社会全体で後押しする方向性を示す予定。
大綱は本道の教育、学術、文化の振興に関する総合的な施策の目標や方針を示すもの。知事と教育委員会が連携し、幼児教育機関、学校、高等教育機関、家庭、地域、行政、産業界、各種団体等が一体となってライフステージの各段階に基づく施策を進める。
教育を取り巻く環境や社会情勢の変化などを踏まえ5年ぶりに改める。改定素案の基本理念では少子高齢化の進行や小規模校化を踏まえた教育の機会均等や学びの質の保障への対応、グローバル化やAI技術の進展を見据えた「前例にとらわれない新たな発想と行動力を持つ人材」を育成していく重要性を示した。
国のこども大綱の理念を踏まえ、求められる人間像では「自らの意見を表明し、社会づくりに参画する人」を追加。子ども・若者の意見を表明しやすい環境を整備し、社会の一員として主体性を高める取組を進める。
改定素案は四つの基本方針のもと、個別施策の方向性を整理。項目数を前大綱の32項目から43項目へと大幅に増やす。
主な変更内容をみると、基本方針I「持続可能な社会の創り手を育む」の前文で北海道を特色付ける歴史的・文化的価値を伝える教育の重要性を記載。豊かな自然環境、食、縄文文化やアイヌ文化、国内最古の国宝「北海道白滝遺跡群」に代表される旧石器文化など道独自の歴史・文化の理解を促し、北海道への誇り、ふるさとへの愛着を育む取組を推進する。
「新しい時代に必要な資質・能力の育成」では、言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力などを育むため個々の子どもたちの状況に応じた「個別最適な学び」、多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」を一体的に進め、ICTを活用し高度な情報社会に主体的に参画する態度を育む。
暑さ対策、バリアフリー化、災害に備えた耐震化・長寿命化など子どもたちの「安全・安心な学習環境の確保」、成年年齢の引き下げによる「消費者教育・金融経済教育・主権者教育」を新たな施策項目に位置付ける。
特別支援教育では、障がいのある子どもとない子どもが互いに理解を深める環境づくりや、合理的配慮に基づく「インクルーシブ教育システム」の理念の重要性を記載する。
基本方針Ⅱ「誰一人取り残されない子どもの学びと育ちの環境を整える」の施策では「教育DXの推進」を追加。小規模高校の教育課程の充実に重要な役割を果たしている道高校遠隔授業配信センター(T―base)の成果を踏まえ、遠隔教育を進める。
増加傾向にある不登校児童生徒への支援に向けては、教育支援センター・民間施設などと連携し、ICTを活用して教育機会を確保する取組を実施。ICTによる校務効率化や保護者・地域との連携・協働など学校の働き方改革の取組を進め、教職の意義・魅力を発信して教員の確保を図る。
また「医療的ケア児への支援」「ヤングケアラーの早期発見・支援」を新たな施策項目に設定し、教育・こども政策の担当部局や関係機関が連携し、支援体制を充実させる方向性を示す。
パブリックコメントの結果をもとに、1月に開く第4回総合教育会議で改定案を協議、3月に決定する。
(道・道教委 2025-01-01付)
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