早期離職の防止へ企業の取組事例 若年者の雇用対策で労働政策局長が答弁(道議会 2015-09-30付)
二十八日の三定道議会予算特別委員会第二分科会では、若年者の雇用対策について質疑が行われた。松下和生経済部労働政策局長は「職場に定着している先輩社員の声、企業が行った職場定着の取組事例を新たに取りまとめて広く発信する」と述べ、若者の早期離職を防ぐ方策を示した。柿木克広委員(自民党・道民会議)の質問に答えた。
佐藤隆久経済部労働政策局就業支援担当課長は、道内の高校生および大学生の卒業三年以内の離職率について、高卒就職者は五〇・五%、大卒就職者は三八・二%であることを報告。産業別では、宿泊・飲食サービス業が高卒者で七三%、大卒で五五・七%となっており、建設業が高卒で六〇・一%、大卒で四五%であることを示した。また、高卒では情報通信業が五六・三%、大卒では医療福祉が四〇・七%と高い状況であることを提示した。
事業所の規模では、高卒・大卒ともに従業員規模が小さくなるほど離職率が高い傾向にあり、従業員が四人以下の企業では高卒で七三・一%、大卒で六九・九%となっていることもふれた。
道内の離職率が高い現状については、サービス業、建設業、医療福祉に従事する人の割合が高いこと、非正規社員の割合が高いこと、小規模の事業所が多いことを理由に挙げた。
さらに、道が実施した若者と企業への離職状況調査の結果によると、学卒就職者は「仕事上のストレス」「休日・休暇が少ない」「労働時間が長い」などの職場環境にかかわるものや、「将来のキャリアデザインが見えない」などを離職理由の上位に挙げており、企業は家庭の事情や職場の人間関係を上位に挙げていることを提示。「若者が離職理由に挙げている労働条件に関することを、企業側では離職理由ととらえていないことから、道では若者の職業理解に加え、労働条件の改善や職場のコミュニケーションの確保など働きやすい魅力ある職場環境づくりに向けた企業側の理解や取組を進めることが重要」と答弁した。
内定した生徒学生に就職活動を終えるよう迫る「オワハラ」が早期離職につながることも懸念し、オワハラの事例を周知し、学生の意識を高めることも示した。
松下労働政策局長は、離職した若者の意識の把握について、ハローワーク等に相談に来た若者に、聞き取りで調査していることを説明し、「若者の意識、若者と企業の双方の理解の不足など背景を把握・分析していくため、今後は、今の調査内容に加えて若者の仕事観、就業意欲、労働の実態など詳細に把握していく」と答えた。
さらに、「職場に定着している先輩社員による就職後の悩みとその解決策や応援メッセージの声、企業が行った職場定着の取組事例を新たに取りまとめる」とし、それらを道の支援策とともに広く発信して、早期離職の防止に努めていくことを述べた。
ニートの就業促進とともに、受入企業の開拓も進めることとした。
(道議会 2015-09-30付)
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