札幌市教育センター課題研修コース講座　専門的な力量を高めて　小学校理科実験の基礎学ぶ

（市町村 2015-08-10付）

札幌市教育センター小学校理科研修

　札幌市教育センターは五日、市内のちえりあで「小学校理科実験の基礎～実験が苦手な先生のために」教育課題研修コース講座を開催した。塩酸にアルミニウムを溶かす実験や、振り子の運動周期を調べる実験などを通して、実験を含んだ授業を展開する際の要点などについて研鑚を積んだ。

　同講座は、教職員の資質向上と専門的な力量を高めることを目的に開催。当日は、札幌市青少年科学館での勤務経験がある、札幌市立美香保小学校の岩野晃教諭が講師を務めた。

　岩野教諭は、塩酸によるアルミニウム溶解実験において、塩酸の取扱い方法を説明。塩酸は温度によって反応時間が変わることにふれ、「授業スピードをコントロールするには温度管理が必要」と強調した。

　また、塩酸は時間の経過とともに反応が薄くなることから、作り置きは控えるよう呼びかけた。

　振り子の運動周期を測定する実験では、実験器具の個体差に応じてずれが生じやすいことに言及し、「差異が発生しないような実験器具の工夫が大事」と解説。たこ糸ではよじれが生じやすいことから、デンタルフロスを用いるなどの実践例を示した。

　この実験では、基準となるデータの作成が難しいとしつつ、「しっかりとした基準データが取れるかどうかが、実験成功への鍵」と述べ、丹念な検証が肝心とした。

　また、小数点以下の違いに言及する児童への対応についても解説。糸の長さなど条件を変えて実験を重ねていくことで、一番大きな影響を与える要素は何かを考えさせ、誤差を認識できるように展開する工夫を話した。

　後半では、電気を使って何ができるのかを調べる目的で、手回し発電機を使った実験を実施。受講者たちが協力してＬＥＤ電球を点灯させるなどした＝写真＝。

　岩野教諭は、この実験を通して、「ハンドルが重く感じるときは消費電力も大きい」と説明。ハンドルの手応えから省エネを体感できる実験として紹介した。

　このほか、塩酸によるアルミニウム溶解実験で生じた溶解物から塩酸を蒸発させる実験では、換気や火の取扱いにおける注意点などを伝えていた。

(市町村 2015-08-10付)