2定道議会一般質問(6月26日)質問・答弁の概要(道議会 2015-08-31付)
二定道議会本会議(六月二十六日開催)における吉川隆雅議員(自民党・道民会議)、久保秋雄太議員(自民党・道民会議)、川澄宗之介議員(民主党・道民連合)、浅野貴博議員(北海道結志会)の一般質問、および柴田達夫教育長、窪田毅道総合政策部長の答弁の概要はつぎのとおり。
【聴覚障がいの子どもへの支援】
吉川議員 障がいのある子どもへの教育を掲げ、特別支援教育が十九年に始まった。障がいを早期に発見し、対応していくことは、その種類や程度にかかわらず、重要なことであるが、とりわけ、聴覚に障がいのある子どもについては、早期からの補聴器、人工内耳の装用とともに、医療と教育の連携によって、早期からの療育や学校教育の充実を進めていく必要がある。乳幼児期の療育、教育の支援について、どのように取り組んでいくのか伺う。
柴田教育長 聴覚障がいのある子どもたちへの支援に関し、早期からの支援について。聴覚障がいのある子どもの健やかな成長のためには、その状態に応じて、就学前の早い段階から、保護者に対し、きめ細かな教育相談や十分な情報提供を行う必要があると認識している。
道教委では、昭和六十三年度から保健福祉担当部局と連携して、幼稚部を設置する聾学校に乳幼児相談室を設け、聞こえや言葉の発達に心配のある子どもや保護者に対して、聞こえの状態や発達に応じた子育てや親子の接し方に関する助言、聴覚の活用や手話など多様なコミュニケーション手段の選択や活用に関する情報提供などを行い、早期からの相談や支援に取り組んでいる。
さらに、こうした乳幼児相談室を利用する子どもはもとより、聴覚障がいのある子どもが、発達段階に応じて、適切な医療や福祉等の支援を受けることができるよう、学校が医療機関や保健センター等と連携し、教育相談や保護者教室など様々な機会を通じて、情報提供するなどの取組を行っており、今後とも、理解啓発用リーフレットを配布するなどして、こうした乳幼児相談室などの取組の周知に一層努めていく。
吉川議員 子どもたちが成長し、小・中学校へ入る時期になると、特別支援学校のほか、地域の小・中学校に在籍しながら特別支援学級や通級指導教室で指導を受けるなどの選択をすることになる。
二十五年に学校教育法施行例の一部改正によって、聴覚障がいの程度が重い子どもについても、本人や親の希望を最大限尊重しつつ、市町村教育委員会が総合的な判断で就学を決定することになり、今後、地域の小・中学校に在籍する聴覚に障がいのある子どもが増えていくことが考えられ、小・中学校における子どもへの支援や指導の充実がますます重要となる。
道教委として、これまでどのような取組を行い、今後どのように充実を図っていくのか伺う。
柴田教育長 小・中学校における支援について。道教委では、これまで、聴覚障がいを含む、障がいのある児童生徒が在籍する小・中学校の教員や保護者等に対し、特別支援学校において、教育相談を行うとともに、要請に応じて、特別支援学校の教員を派遣し、学習指導の進め方や指導計画の作成等について、担当教員への助言などを行ってきた。
道教委としては、今後とも、各学校における児童生徒の障がいの状態や指導・支援の状況、さらには、担当教員の専門性に関する状況などをより丁寧に把握をし、聾学校教員の派遣や指導主事の学校訪問等を通じて、指導方法や授業改善等について、きめ細かな指導・助言を行うなど、障がいの程度にかかわらず児童生徒の就学希望に対応できるよう、小・中学校における聴覚障がい教育の一層の充実に努めていく考えである。
―指摘―
吉川議員 障がいの早期発見と早期対応の大切さ、有用性がこれだけ分かっているにもかかわらず、道内の新生児聴覚スクリーニング検査の実施状況をみると、公費負担の在り方も含め、市町村の理解は、まだまだ進んでいないと言わざるを得ない。道の軽中度難聴児への補聴器助成がやっと始まるが、現在、補助制度をもつのは十市町村にとどまっており、これらの啓発について、道の積極的な取組が求められる。
人工内耳手術の適用年齢が一歳以上に引き下げられ、両耳同時の手術が認められた。
私が出会った、人工内耳を装用したある少女は、こちらの話をしっかり聞き取ることができ、返事も明瞭で、一見して難聴であるとは分からないくらいである。しかし、軽中度難聴の子どももそうであるが、一対一の会話なら聞き取れるが、複数がいっぺんにしゃべると聞き分けができない、あるいは、音楽の種類によっては聞き取りにくいなどの状況が生まれてくる。
子どもが成長し、普通学級に通うことになれば、それがもとでいじめにあうこともあり得る。学校、教師には、より大きな責任と、的確に対応するための知識と意識が求められる。
聴覚に障がいのある子どもたちが、自己を肯定し、社会性を身に付け、健やかに成長していくため、道教委には、その先頭に立っていただかなくてはならない。難聴の子どもが産まれてくる割合は、およそ一千人に一人。その宣告を受けたとき、親は大変なショックを受け、それを受け入れるまでには時間がかかるし、これからどうしたらいいかと不安が頭をもたげるであろう。
しかし、聴覚に障がいがあったとしても、その子は、必ず幸せな人生を送ることができると私は思う。必要なのは、私たち一人ひとりがもっと理解を深め、障がいのある側も、ない側も、互いを思いやること。そのために、障がいの発見から、子どもの成長過程を通じ、本人、家族も含めた、きめ細かなフォロー体制を築いていくことが重要であり、行政と政治が果たさなくてはならない役割であると考える。
今後、制定を検討している手話に関する条約を実効性のあるものとすることも含め、聴覚に障がいのある子どもたちが、健やかに成長できる北海道づくりを進めていくことを強く求め、また、私自身もしっかり協力させていただく。
【体力向上について】
久保秋議員 知事は、公約に「世界に飛躍するスポーツ王国・北海道の実現」を掲げ、国際舞台で活躍することのできるトップアスリートの育成などを進めるとしたが、そのためには、道内の子どもたちの体力や運動能力の向上を図る必要があると考える。
ところが、本道の子どもたちの体力は、文部科学省が実施している全国調査の結果をみると、残念ながら芳しいものではない。
そのため、教育長は、教育行政執行方針の中で、各学校において、体育の授業改善を図ることなどと合わせ、家庭や地域、プロスポーツ団体等と連携した、運動習慣の定着などに向けた取組を進めるとした。
具体的には、どのような取組を進めるのか、教育長の見解を伺う。
柴田教育長 体力向上に向けた取組について。道教委においては、全国調査における子どもたちの体力合計点を全国平均以上にすることなどを目標に掲げ、学校における体力づくりの推進とともに、家庭・地域における運動や外遊びの促進に取り組んできている。
本年度においては、地域の社会教育団体等と連携した各種スポーツ教室の実施や親子でスポーツに親しむ機会の提供などに引き続き取り組むとともに、新たに、道内四つのプロスポーツクラブや大学、さらには、道体育協会などから、それぞれの専門性を生かして開発をした子ども向けの運動プログラムの提供を受け、モデル校での実践研究や道内四会場での教員研修を実施するなどして、体育授業の改善や運動機会の拡充に取り組むこととしている。
今後とも、こうした取組を通じ、学校、家庭、地域、行政が一体となった「ほっかいどう〝学力・体力向上運動〟」を一層加速させ、本道の児童生徒の体力向上に向けて努めていきたいと考えている。
【SSW配置について】
川澄議員 学校において、スクールソーシャルワーカーは児童相談所等の関係機関、教職員との連携、子どもの保護者との懇談など、コーディネーターとしての役割がある。国の大綱においても、スクールソーシャルワーカーの充実が挙げられている。
学校は教育の場であり、ソーシャルワークも、カウンセリングも、あくまでも子どもの支援が目的であり、スクールソーシャルワーカーの配置に関しては、学校が抱えている教育課題に対して十分に理解している人物が配置されるべきと考える。
貧困解消大綱では、スクールソーシャルワーカーの増員が盛り込まれているが、増員を含め、配置についての道教委の見解を伺う。
柴田教育長 一人親、貧困家庭に対する支援に関し、スクールソーシャルワーカーの配置について。道教委では、国のスクールソーシャルワーカー活用事業の実施要項に基づき、社会福祉士や精神保健福祉士等の福祉に関する専門的な資格を有する者や、元教員など、教育や福祉の分野において専門的な知識・技能を有する者をスクールソーシャルワーカーとして任用しており、現在、道教委に五人、市町村教育委員会に三十八人の計四十三人を配置している。
今日、いじめの問題や不登校等の背景には、児童生徒の心の問題とともに、家庭、友人関係、地域、学校など児童生徒の置かれている環境にも問題もあることから、家庭、学校、地域の関係機関をつなぐスクールソーシャルワーカーは、問題の解決に重要な役割を果たしているものと考えている。
このため、道教委としては、今後とも、市町村教育委員会や学校の要請に応えられるよう、スクールソーシャルワーカーの専門性の向上を図り、学校の教育課題に対する理解を深める研修を実施するとともに、配置の拡充に努めていく考えである。
【学力向上施策について】
川澄議員 教育行政執行方針の重点政策の中に「社会で活きる実践的な力の育成」として、「確かな学力をはぐくみ、自立した生き方を支える教育の推進」とある。しかし、これを達成するために基本的な知識・技能の習得が重要であると短絡的に結びつけていると感じている。
本来、学ぶという行為は、子どもたちの学習権に基づき、教職員がそれらを実現できるために力を尽くすことである。基礎・基本の力を付けることは当然重要ではあるが、それであるにもかかわらず、今、全国学力・学習状況調査、または、新体力テストの結果向上を意識した各種事業が展開・継続されている。このことが学校を学びの場から、点数を上げること、体力向上を大きな目当てとした場に大きく変わっていくと感じている。
こういった点について、以下、教育長の見解を伺っていく。
教育長の考える教育の機会均等、そして、子どもの学習する権利の保障をどのように考えているのか見解を伺う。
柴田教育長 教育の機会均等などについて。小・中学校は義務教育であり、また、公の性質を有するものであることから、全国的に一定の教育水準を確保し、全国どこにおいても同水準の教育を受けることのできる機会を保障することが要請されるものと認識している。
こうしたことから、道教委としては、生まれ育った場所によって学力、体力などに違いが生じることは本来あってはならないことであり、子どもたちに学ぶ意欲はもとより、基礎的・基本的な知識・技能、思考力、判断力、表現力など社会で自立するために必要な力を確実に身に付けさせることが重要であると考えている。
川澄議員 全国学力・学習状況調査の結果公表について。昨年度は、管内別の結果公表と合わせ、八十六市町村の同意を求めて結果公表を行っている。このことが、さらに序列化につながると懸念する声があるが、その見解を伺う。
柴田教育長 全国学力・学習状況調査における市町村別の結果公表について。国の実施要領では、調査結果の公表に関して、「序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要である」としている。
道教委としては、こうした配慮事項に基づいて、市町村別の公表に当たっては、単に平均正答率などの数値のみの公表を行うのではなく、教科の領域別の状況を分かりやすく示すことができるレーダーチャートを基本としつつ、市町村教育委員会がこれまで取り組んできた施策等の成果が現れている教科や児童生徒等に対する質問紙調査のデータ、さらには、これらの分析結果に加え、今後、重点的に推進する施策等を示すこととしている。
こうした掲載内容は、平均正答率の数値等を単純に並べ、優劣を付けるといった、いわゆる序列化につながることがないよう、市町村教育委員会に丁寧に説明しながら作成してきたものであり、今後とも、各市町村において、報告書を有効に活用して、保護者や地域住民と課題を共有し、一体となった学力向上の取組を推進するよう働きかけていく考えである。
―再質問―
川澄議員 教育の機会均等、子どもの学習権を保障する場である学校には、学力や体力の向上を目指す役割と同時に、多様な学びの場であり人格形成の場、関係性をつくる場であると考えるが、教育長の認識を再度伺う。
柴田教育長 学校教育について。学校教育は、子どもたちに確かな学力、豊かな心、健やかな体など「生きる力」を育むことを目的としており、学校においては、学習指導要領に基づき、各教科、道徳および特別活動など、教育課程全体を通して、学ぶことの大切さを実感でき、知・徳・体のバランスのとれた教育活動を行うことが重要である。
道教委としては、子どもたちに学ぶ意欲はもとより、基礎的・基本的な知識・技能、思考力、判断力、表現力など社会で自立するために必要な力を確実に身に付けさせることが重要と考え、学力、体力の向上をはじめ、豊かな心を育成する取組を進めており、学習指導要領に基づくバランスのとれた教育課程のもとで、こうした教育活動を行うことが学校教育の基本であると考えている。
川澄議員 市町村別の結果公表について。序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要であるとしてはいるが、実際には、他校または他自治体との比較につながり、特に、小さな自治体においては、結果の公表が個人の特定につながり、子どもたちの優劣に直接つながるとの声も出てきている。
こういった観点からも、あくまでも調査は教育の機会均等のために行うべきであるものと考えている。であるから、競争や序列をあおることにつながる結果公表は行うべきではないと考えるが、教育長の見解を伺う。
柴田教育長 市町村別の結果公表について。道教委では、全国学力・学習状況調査結果の公表に当たり、これまで、学校・家庭・地域・行政がそれぞれの地域の学力の課題を共有し、教育施策の改善や児童生徒の学習状況の改善に一丸となって取り組むことができるよう、できるだけきめ細かく分かりやすい調査結果を示す観点から、報告書の内容を工夫・改善してきた。
こうした中、市町村別結果の公表内容については、平均正答率の数値等を単純に並べ、優劣を付けるといった、いわゆる序列化につながることがないよう、市町村教育委員会と十分協議を行いながら作成しており、今後とも、各市町村において、報告書を有効に活用して、保護者や地域住民と課題を共有しながら学力向上の取組を推進するよう働きかけていきたいと考えている。
―指摘―
川澄議員 学校教育に関する教育長の見解を伺ったが、一般論としてお答えいただいたものと理解する。
学校の役割は、先ほども申し上げたように、多様な学び、人格形成、関係性をつくる場としての役割がある。学力、体力向上にシフトするだけではなく、全人格の形成としての役割があることも十分理解し、これからの北海道の教育行政に臨む必要があることを指摘しておく。
市町村別の結果公表について。
今の答弁では、公表をするかしないか非常にあいまいなものである。やはり、結果を公表することに対する懸念はぬぐい去ることはできない。子どもたちが学ぶ意欲を高めるためには、結果の公表ではなく、豊かな学びを実現する施策こそが最優先であることを指摘しておく。
【高校配置計画について】
川澄議員 知事の掲げる地方重視の姿勢と現状の高校配置計画については、相反するものであると理解せざるを得ない。これまで配置計画案が出るたびに、地域からは落胆の声が出ている。本来、配置計画は、高校進学を目指す子どもたちの教育の機会均等や学習を保障する権利、学校がある地域にとっては未来につながる内容にならなければならないと考えている。
道教委は、最終的に地域を支える人づくりの役割もある高校の統廃合をどこまで進めようとしているのか、すでに八年も経過した、実態とかい離した現在の配置計画を白紙に戻し、学校現場・地域・保護者・自治体関係者の意見をしっかりと取り入れる場を計画策定前に実施し、学区ごとに配置計画を策定すべきと考えるが、その見解を伺う。
柴田教育長 高校配置計画について。中学校卒業者数が減少する中、教育水準を維持し、活力ある教育活動を展開するためには、再編整備を計画的に進める必要があるが、その際、地域の方々に教育的観点からの望ましい学校規模の考え方などを丁寧に説明するとともに、意見を伺うことが何よりも大切であると考えている。
そのため、配置計画の策定に当たっては、通学区域ごとに開催する地域別検討協議会において、三年間の具体的な計画とその後の四年間の将来的な高校配置の見通しなどを示し、市町村関係者や学校関係者、PTAなどから直接意見を伺うとともに、地元の検討の場などにおいても、再編整備の必要性などについて説明し、意見をいただいている。
今後とも、道内のそれぞれの地域の実情等を十分考慮するとともに、地域別検討協議会はもとより、様々な機会を通じて、保護者や地域の方々の意見を十分に伺いながら、適切な高校配置に努めていきたいと考えている。
―指摘―
川澄議員 これまでも地域の実態とかい離している高校配置計画を白紙に戻し、見直しを、わが会派では求めてきた。人口減少が進む地方をしっかりと支えていく人づくり、または、子どもたちが地域で学ぶ環境をしっかりと維持していくために、近いうちに指針の見直しに踏み込むべきと強く指摘をしておく。
【教職員の超勤・多忙化解消】
川澄議員 学校が教職員の熱意と際限なき超過勤務によって成り立っているのは周知の事実であると考えている。
しかしながら、教育行政執行方針の中では、その点についての言及は、ほとんどない。
部活動休止日の設定や管理職員の意識改革などを進めるなど、行数にすればたった二行ふれたのみである。
文部科学省の調査では、教職員の時間外労働は月五十時間を超えている。教職員組合等の調査においても、小学校教員ですら月八十時間、中学校教員に至っては百時間を超えている状況にある。
道教委は昨年度、「時間外勤務等縮減推進会議」の意見などをもとに、「修学旅行の引率業務等に従事する道立学校職員の勤務時間の割振等に関する要領」を改正し、登校時の通学指導や校区内の巡視業務、現場実習の引率を新たに対象業務に加えたが、家庭訪問や保護者との教育相談、進路委員会、入試選考業務、部活指導等、様々な業務が勤務時間外を前提として行われている現状がある。
こうしたことから、道教委における超過勤務・多忙化の解消に向けた実効ある具体的な取組について、その見解を伺う。
柴田教育長 教育職員の時間外勤務等の縮減に向けた取組について。道教委では、「時間外勤務等の縮減に向けた取組方策」に基づいて、様々な取組を進めてきているが、いじめ、不登校など学校教育をめぐる課題が複雑化、多様化する中、縮減に向けた取組を一層強化することが必要であると考えている。
こうしたことから、市町村教育委員会や学校関係者、PTAなどで構成する「時間外勤務等縮減推進会議」での議論や時間外勤務にかかる聴き取り調査などの意見を踏まえ、本年度、部活動休止日などの取組の充実、週休日の振替や定時退勤日の定期的な実施、管理職員による業務管理の充実など、四つの項目を重点取組として設定し、各学校、市町村教育委員会に通知した。
今後、各学校の取組を検証・分析するとともに、課題や方向性などについて検討し、教育職員の時間外勤務等の縮減に向けた取組が実効性の高いものとなるよう努めていきたいと考えている。
―再質問―
川澄議員 超勤縮減対策として、先ほど「修学旅行の引率業務等に従事する道立学校職員の勤務時間の割振等に関する要領」に、今回新たに対象業務が加わったことは、一定程度評価する。
しかしながら、いまだに家庭訪問や進路指導、入試選考業務等などが時間外勤務を前提として行われている。
これらも、本要領の対象業務とするなど、超勤縮減対策を検討するべきと考えるが、教育長の見解を伺う。
柴田教育長 時間外勤務等の縮減に向けた今後の取組について。正規の勤務時間の割振を弾力的に行う取扱いの対象業務については、その業務が児童生徒に直接指導を行うもの、計画的に行われるものであるかなどを、総合的に勘案し、修学旅行の引率業務や、文化祭・体育祭等の業務、さらに、本年度からは、通学指導業務などに対象を拡大してきた。
今後は、新たに対象とした通学指導業務などの活用状況を確認するとともに、時間外勤務等縮減推進会議での議論なども踏まえ、対象業務が適切なものとなるよう、引き続き検討を行い、縮減に向けた取組がより実効性の高いものとなるよう、努めていきたいと考えている。
―指摘―
川澄議員 今後も、対象業務が適正なものとなるよう検討する。そのような見解を述べていただいたが、検討するまでもなく、先ほど挙げた業務を含め、学校が大幅な超過勤務で成り立っているという状況をしっかりと直視していただき、本当に実効ある取組にすべきことを強く指摘する。
【総合教育会議について】
川澄議員 先日開かれた総合教育会議は、私も傍聴してきた。前教育長の任期が残っていたにもかかわらず、あえて新教育委員会制度に移行したのであるから、知事は、本道の教育に対する強い思いをもっていると理解している。
しかし、第一回総合教育会議の内容は、各教育委員の一方的な思いを語り、およそ、総合的に北海道の教育を考える場になっているとは言えなかった。
これから、国の教育振興基本計画等を参酌し、北海道にふさわしい大綱を策定していくことになるが、子どもたちに向き合う教職員の声も当然反映されるべきだと考えている。
大綱の策定に当たり、教職員の意見をどのように反映していくのか、見解を伺う。
窪田総合政策部長 総合教育会議に関し、大綱の策定について。北海道が抱える教育課題については、道教委においても、職員が定期的に学校訪問を行うことはもとより、教育委員も積極的に地域を訪れて、地元の教育長や教職員と意見交換するなど、常日ごろから、様々な機会をとらえ、学校や地域の声の把握に努めていると理解している。
大綱については、総合教育会議において議論を積み重ねるとともに、パブリックコメントなどによって、道民の意見を幅広く伺うこととしており、道教委と連携・協力して、これからの北海道における教育施策の基本となるものとして策定していく考えである。
【留萌管内の高校の在り方】
浅野議員 今月、二十八年度から三十年度における公立高校の配置計画案が示された。留萌管内に関しては、留萌市内の二高校の統合が示されたものの、ほかの四高校については、引き続き存続させられる方針が示された。
一方で、人口減少が今後も進み、生徒数も減少傾向が続くとみられる当管内においては、学級数の減少によって、高校の統廃合が進められるのではとの懸念がぬぐい去れない。
普通科である留萌高校、天塩高校、羽幌高校、そして、職業学科である留萌千望高校、苫前商業高校、遠別農業高校は、地理的にみても、学校の特色からみても、全道的観点からも十分に意義のある配置であると考える。
また、管内で唯一、定時制課程を設置する町立の天売高校は、地域ボランティアや島の特色を生かした水産の学習に取り組んでいる。
こうした留萌管内の高校の在り方について、どのような評価をしているのか、教育長に伺う。併せて、このような地域の努力を十分にかんがみ、生徒数の減少だけをもって、今後、道として機械的に統廃合を進めることはやめていただきたいと考えるが、教育長の見解を伺う。
柴田教育長 高校の配置について。留萌管内の高校では、それぞれ普通科や農業・工業・商業などの職業学科の特性を踏まえ、地域の自然や産業等の教育資源を生かした特色ある教育活動を推進するなど、魅力ある高校づくりに取り組んでおり、こうした高校の取組に対して、市や町をはじめ、地域の方々から様々な形で支援をいただいていることは、私としても心強い思いをしている。
道教委としては、中学校卒業者数の減少が続く中、高校の教育水準の維持向上を図り、活力ある教育活動を展開する観点から、本道の広域性や地域の実情を考慮しながら高校の再編整備を進めているが、人口減少社会を迎える中、地域の教育機能を維持・向上させることは極めて重要な課題であると認識しており、高校の配置が地域に与える影響、高校に対する地域の期待や取組などに十分意を用いて、適切な高校配置に努めていきたいと考えている。
(道議会 2015-08-31付)
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