2定道議会一般質問(6月29日)の質問・答弁概要
(道議会 2015-09-01付)

 二定道議会本会議(六月二十九日開催)における阿知良寛美議員(公明党)、大越農子議員(自民党・道民会議)、宮川潤議員(日本共産党)の一般質問、および柴田達夫教育長の答弁の概要はつぎのとおり。

【高等支援学校について】

阿知良議員 先般、道教委から「二十八年度公立特別支援学校配置計画案」が公表され、この計画案では、札幌市を含む道央圏について、二十八年度は三学級増が示され、その対応策として本年三月に閉校した道立札幌拓北高校の校舎を活用して新設校を開校することとされている。

 このような中、二十九年度には、札幌市が真駒内に新設校を開校する予定であり、昨年の第一回定例会におけるわが党の代表質問において、札幌市のこの方針決定について、道教委の考え方を伺ったところ、教育長から「札幌市と連携しながら、計画的な整備を進める」との答弁があった。

 近年、札幌市を中心に小・中学校の知的障がい特別支援学級や自閉症・情緒障がい特別支援学級の在籍児童生徒数が増加しており、今後も、高等支援学校への進学希望者数は増加するものと考えている。

 道央圏、特に高等支援学校への進学希望者が著しく増加している札幌市の児童生徒の受入体制の整備について、一定程度、政令指定都市である札幌市が果たすべき役割もあると考える。

 道教委として、札幌市が果たすべき役割をどのように考え、今後どのように対応していくのか、教育長の所見を伺う。

柴田教育長 道央圏における高等支援学校の整備について。高等支援学校への進学希望者は年々増加しており、特に、道央圏では、札幌市を中心に、今後も大幅な増加が続くことが見込まれている。

 こうした中、道教委では、出願者数の急増期における札幌市内に居住する進学希望者の受入体制を確保するため、市の協力が不可欠であると考えており、このたび、札幌市において学校新設の考えが示されたが、既存校の現行間口の維持など市内の受入体制の確保について、市に働きかけをしている。

 道教委としては、今後も、高等支援学校への進学を希望する生徒が、できるだけ身近な地域において教育を受ける機会を確保できるよう、道央圏においては、札幌市との連携をより一層密にし、計画的な受入体制の整備を進めていきたいと考えている。

【学力向上について】

大越議員 本道の未来を担う子どもたちに、確かな学力を身に付けさせることは、将来の本道の発展に結び付く重要な課題である。そのためには、学力調査の結果を積極的に公表し、家庭や地域がその結果を受け止めた上で、道民全体で学力向上に取り組むことが重要であると、わが会派は従来より主張してきた。

 道教委から提出された学力調査の結果報告書によると、北海道の子どもたちは、「家で予習や復習はしている」と答えた子どもは多いものの、「一時間以上家庭学習をしている」子どもは全国より少ないことなど、生活習慣に課題があることが分かる。こうした生活習慣の改善は、学校と家庭、地域、行政が一体となって取り組むべきことであると考える。

 そこで、以下、教育長に伺う。

 道教委は、昨年度の報告書において、公表することに同意した八十六市町村の結果を新たに掲載した。この報告書は、掲載した市町村の詳しい状況が分かるようになっており、保護者にとっては、自分の町はもちろんのこと、ほかの町の学力や学習状況も知ることができ、実態を知る上で大変参考になるものと考えている。

 本年度の調査結果の公表について、どのように進めるのか伺う。

柴田教育長 全国学力・学習状況調査結果の公表について。道教委では、本年度においても昨年度と同様、国の実施要領に基づき、できるだけきめ細かく分かりやすい調査結果を示す観点から、教科の領域別の状況を詳細に示すことができるレーダーチャートを基本としつつ、市町村教育委員会がこれまで取り組んできた施策等の成果を示すことができるようにしたフォーマットを市町村教育委員会に提示し、同意が得られた市町村の結果を道教委が取りまとめる調査結果報告書に掲載することとしている。

 昨年度、報告書に掲載した市町村からは、学校と地域住民が地域の課題や成果を共有でき、地域住民の学校への支援が促進された、また、掲載市町村間で視察を行い、成果を上げている地域の取組を共有できたなどといった道教委による公表が、地域の学力向上に向けた取組の充実につながったという報告を受けており、本年度は、こうした事例も紹介しながら、より多くの市町村の同意が得られるよう、働きかけていきたいと考えている。

大越議員 わが会派は、市町村や学校も独自に分かりやすく公表することが大切であることを主張してきており、道教委は、市町村や学校の公表の状況を把握し、必要な指導助言をするとの答弁をしている。

 市町村や学校による結果公表の把握状況について伺うとともに、今後、不十分な市町村等に対してどのように指導していく考えなのか伺う。

柴田教育長 市町村や学校による公表について。道教委が行った二十六年度の公表状況に関する調査では、市町村、学校ともに約八割が独自の公表を行っており、保護者や地域住民に直接説明する機会を設定したり、道教委が配布した分析ツールで作成した資料を広報紙や学校だよりに掲載したりするなど、より分かりやすいように公表の内容や方法を工夫している市町村や学校がある一方で、対象が一部の保護者に限定されていたり、教科の結果が「全国平均よりやや高い」といった表現にとどまるなど、より丁寧な説明が求められる市町村や学校もみられる。

 道教委としては、引き続き、分析ツールを市町村教育委員会や学校に配布するとともに、教員等を対象に、分かりやすい公表の在り方などに関する研修会を開催するなどして、学力向上につながる、より効果的な公表が行われるよう、市町村教育委員会や学校の取組に応じた指導助言を行っていきたいと考えている。

大越議員 全国でも学力が高い秋田県では、低学年から家庭学習の取組に力を入れており、子どもの家庭学習に学級担任が必ずコメントを入れて励ましながら、保護者にも伝え、子どもが自分で勉強する態度を学校、家庭が連携して育んでいると聞いている。

 道教委の報告書に掲載された市町村の中にも、釧路管内鶴居村のように、家庭学習に力を入れて、学校が出す宿題だけでなく、子どもが自分でテーマを決めて学習する家庭学習ノートを使った取組や、親子で生活リズムをチェックして家での過ごし方を一緒に考える取組を進め、成果を上げているところもある。

 家庭の状況は様々であり、親が勉強の面倒をみることができない家庭も多くあるが、家庭学習の大切さを保護者にも伝えながら、望ましい家庭学習の習慣を身に付けさせる取組を進めることが大切と考える。

 道教委では、こうした家庭学習の習慣化を図るために、どのような取組を進めているのか伺う。

柴田教育長 家庭学習の習慣化を図る取組について。道教委では、これまで、親子で望ましい学習習慣などについて考えることができるよう、家庭学習等の時間の目安を示した資料を作成し、すべての家庭に配布するとともに、各学校に対して、家庭学習の内容や分量などを充実するよう指導助言を行ってきた。

 また、昨年度からは、保護者や地域の方々と教員等が一堂に会して、学力向上や学習習慣の確立などについて共通認識を深める「子どもたちの学力について考える会」をすべての管内で開催し、本年度も継続して行うこととしている。

 さらに、道教委が独自の問題として作成している「ほっかいどうチャレンジテスト」をウェブページに掲載し、家庭や放課後子ども教室等でも活用できるようにしており、このことを広く保護者の皆さんや地域住民に周知するため、本年一月にチラシを作成し、各市町村の広報窓口やPTAに配布しており、道教委としては、今後とも、家庭学習の習慣化を図る取組を学校、家庭、地域、行政が一体となって進めていきたいと考えている。

大越議員 家庭学習が習慣化されない理由の一つとして、近年、急速に普及するインターネット利用による様々な課題も指摘されている。この問題は、一過性の取組等では単純に解決できるものではなく、学校での取組はもとより、保護者を中心とした家庭における取組も重要であり、これらの取組は継続的に実施していくべきと考える。

 このことについては、わが会派として一昨年来、ネット利用も含めた望ましい生活習慣の定着の必要性について指摘してきている。道教委は、子どもたちのネット利用にかかわる課題解決に向け、今後、学校や家庭での取組をどのように促す考えか、見解を伺う。

柴田教育長 ネット利用にかかわる取組について。子どもたちのインターネット利用に関しては、長時間の使用による学力や健康面などへの影響が懸念されており、こうした課題の解決には、学校や家庭が主体となった指導やルールづくりが重要であると考えている。

 このため、ネット利用も含めた望ましい生活習慣の定着に向け、「ノーゲームデー」の推進や保護者等への啓発資料の配布など、「どさんこアウトメディアプロジェクト」を展開しているが、市町村等における取組は、緒に就いたばかりであり、今後、一層の普及が必要であると受け止めている。

 道教委としては、地域における取組状況の把握に努めるとともに、取組がさらに広がるよう、先進的な実践を普及するフォーラムを全道各地で開催するほか、国の二ヵ年事業の活用によって、道内の協力校において、生活習慣の改善を促すプログラムを新たに実施し、専門家による検証を行い、その成果を全道に発信するなど、PTAや市町村教育委員会等と連携し、学校・家庭・地域が一体となった取組を継続的に進めていきたいと考えている。

【再生エネルギーの導入】

宮川議員 「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例」第三条第三項は、「道は、その施設の建設および維持管理その他事業の実施に当たっては、自ら率先して省エネルギーの推進および新エネルギーの導入に努めるものとする」とされている。

 道立学校は二百六十四校あるが、太陽光発電と、ペレットボイラー・ストーブは、それぞれ何校に設置されているのか伺うとともに、導入促進の目標について、教育長に伺う。

柴田教育長 道立学校への太陽光発電などの導入について。現在、道立学校においては、二百六十四校のうち、二十六校に太陽光発電設備を設置しているが、ペレットボイラー・ストーブについては、未利用の木材資源を有効に活用できるものの、学校施設における設置・運用状況を把握する必要があることから、いずれの学校にも設置していない状況にある。

 道教委としては、「北海道省エネ・新エネ促進条例」の趣旨を踏まえ、これまでも、太陽光発電をはじめ、桧山北高校の風力発電や岩見沢農業高校の資源循環型バイオ設備など再生可能エネルギーを導入してきており、今後とも、CO2の削減や電力量の節減、さらには、環境教育での活用など環境を考慮した学校施設の整備に努めていきたいと考えている。

―指摘―

宮川議員 学校への太陽光パネルの設置は、札幌市立学校では百三十六校、対して北海道は二十六校にとどまり、ペレットボイラー・ストーブは札幌市立九校に対して、北海道はゼロとのことであった。

 昨年の第四回定例会で真下議員の質問に対して、高橋知事は「今後とも、道有施設への新エネルギーの導入を着実に進めていく考えである」と答弁している。

 着実に進んでいるというよりも、遅れをとっているというのが率直な印象である。

 一気に札幌市との差を解消し、逆転することを求めておく。

(道議会 2015-09-01付)

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