札幌市教委　研究開発事業「道徳教育の充実」協力校・西園小で授業公開　生命尊重する態度育む

（市町村 2015-10-29付）

札幌市研究開発事業「道徳教育」授業公開―西園小

　札幌市教委は二十二日、札幌市立西園小学校（梶浦尚身校長）で札幌市研究開発事業「道徳教育の充実」にかかる授業公開を実施した。同校五年二組の道徳「人類愛の金メダル」（多田公洋教諭、児童数二五人）の授業を公開＝写真＝。多田教諭は、オリンピックでの実話を通して、自他の生命を大切にしようとする態度を育てる学習を展開した。

　ことし三月の学習指導要領の一部改訂によって、「特別の教科　道徳」が小学校で三十年度、中学校で三十一年度の実施が公示された。このため、市における道徳教育のさらなる充実を図るため、小学校五校と中学校五校の研究協力校において、道徳の時間の多様で効果的な指導方法の工夫に向けた授業実践を公開するほか、学習会を計画。これらの成果を普及・啓発することによって、各学校の実態に応じた道徳教育の充実を図る取組を推進することを目指している。

　今回は、西園小で授業公開を実施。五年二組の道徳「人類愛の金メダル」では、本時のねらいを「資料を通して、かけがえのない生命は何よりも尊いものであることに気づき、自他の生命を大切にしようとする態度を育てる」とした。

　多田教諭は導入で、オリンピックに出場するために選手はどのような努力をしているか考えさせ、「一生懸命練習する」「たくさんの我慢をしながら、頑張っている」など認識させた。

　続いて、資料『人類愛の金メダル』を使い、ヨット競技でオリンピックに出場したキエル兄弟が、競技中に海に投げ出された他国の選手を発見するところまでを朗読。「キエル兄弟はこのあと、どうしただろうか？」と問いかけた。

　多田教諭は、導入のオリンピックに出場するだけでもどれだけ大変かなどを思い出させ、キエル兄弟の葛藤なども共感できるよう指導。児童は「助ける。命のほうが大切」「人の命は一回限り。次のオリンピックを目指せばいい」などと発表した。

　このあと、キエル兄弟が他国の選手を助けた後半部分を朗読。兄弟が何よりも先に人の命を大切にしたことを確認したほか、勝負はあきらめたが完走をあきらめなかった兄弟についても考えさせ、児童は「自分を応援してくれる人がいるから、あきらめずに最後まで頑張った」などと答えていた。

　最後に、当時の新聞記事を提示し、キエル兄弟が勝敗よりも命を優先した報道を伝え、生命を大切にしようという気持ちを高めさせた。

(市町村 2015-10-29付)