東神楽町で「新しい学び」の授業研 「協調学習」の実践学ぶ 小・中学校で各1授業公開(市町村 2015-11-06付)
東神楽町「新しい学び」授業研・小学校公開授業
【旭川発】東神楽町教委と町「新しい学び」研究会(古木勉三会長)は十月三十日、町立東聖小学校、東神楽中学校などで二十七年度授業研究会を開いた。東京大学の大学発教育支援コンソーシアム推進機構が提唱する「協調学習」を取り入れた授業を、両校で一授業ずつ公開。約四十人の参加者は、同学習に基づいた授業実践について理解を深めた。
同機構が全国市町村教委および学校と連携して推進する協調学習は、児童生徒が協調的に問題を解くことで、主体的に生きる力を育むもの。主な授業型として、お互いが説明し、考えを深める「知識構成型ジグソー法」がある。
具体的には、①問いを設定②分かっていることを意識化③同じ資料をもとにグループで話し合い理解を深める「エキスパート活動」④違う資料を読んだ人同士で新しいグループをつくり、分かったことを伝え合う「ジグソー活動」⑤発表⑥一人で答えを記述―の六ステップで構成されている。
同町では、協調学習を取り入れた同研究会が二十六年に発足。指導力および町の学校教育の向上発展を図ることを目的に活動している。
授業づくりのテーマは、小学校が「児童が周りとのかかわりを通して自分の考えを深める授業」、中学校が「生徒が学び合いを生かして判断する力を育てる授業」となっている。
◆東聖小の飯田教諭が道徳指導
小学校の公開授業において、三年道徳「主として自分自身に関すること(3)正しいと判断したことは、勇気をもって行う」(児童数三七人)は、飯田茉衣教諭が指導=写真=。資料『時計係』を教材に使った。
資料は、いちょうチームとしらかばチームのポートボールの試合で、主人公のあきらが時計係を担当。接戦となった試合で終了の合図を出すのが遅れ、三十秒が過ぎたときに決勝点が入ってしまい、みんなに言うべきか迷う話となっている。
本時は、あきらの立場になって考えることで、正しいと思ったことを実行するには勇気が必要なことに気づかせることをねらった。
導入では、休み時間に配布した資料の概略を、飯田教諭が黒板に整理して説明した。その上で、「あなたが、あきらだったらどうするか」と課題を提起。児童に自分の考えを学習シートに書かせた。
つぎに、エキスパート活動として、「しらかばチームの練習量を知ったあきら」「努力が実り勝利したしらかばチームの様子を見たあきら」「負けてしまったいちょうチームの立場を思ったあきら」の三視点ごとに、児童をグループ分けし、あきらの行動と気持ちを考えさせた。
ジグソー活動に移り、エキスパート活動で話し合ったことを交流。あきらの立場になって、自分が取るべき行動を考えさせた。
公開授業後、町役場を会場に全体会を行い、同機構特任助教の杉山二季氏、上川教育局義務教育指導班の石山輝指導主事の助言のもと、研究協議を深めた。
◆東神楽中数学科で比例・反比例指導
東神楽中の公開授業では、一年数学「比例・反比例」(生徒数二六人)を、青木俊也教諭が指導した=写真=。メーン課題を解くため、三グループの生徒で小問題に取り組ませ、違うグループをつくり、生徒同士で分かったことを交流。比例や反比例のグラフから三角形の頂点の座標と面積を求める授業を行った。
全十六時間扱いのうち、十三時間目に当たる本時では、「比例や反比例のグラフから三角形の頂点の座標を求め、余剰分を引くことや三角形を分割することで、三角形の面積を求めることができる」を目標とした。
メーン課題は、①y=12x②y=ax③y=b/xの三つの式のグラフで、①と③の交点をA(x座標は1)、②と③のグラフの交点をB(y座標は3)とCとなっている。点A、Bを結んだ直線とy軸の交点をDとし、Dの座標は(0、9)。△AOBと△ACOの面積の比を求めることとしている。
はじめに、メーン課題を出題したあと、生徒を三グループに分け、配布された資料をもとにエキスパート活動に移行。それぞれ、小問題に取り組み、「比例と反比例の式の交点」、底辺も高さも分からない「△AOBの面積」および「△ACOの面積」を求めた。
つぎのジグソー活動では、生徒同士で各資料の内容を説明し合った。生徒は「比例と反比例の交点は、原点について対象の関係」「三角形を四角で囲み、四角形の面積から分かった三角形の面積を引く」「x軸で三角形を二分し、それぞれで面積を求めて足す」などと発表していた。
これまでの活動で分かったことを活用して、メーン課題に挑戦。二つの三角形の比が一対一であることを確認した。
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(市町村 2015-11-06付)
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