函館市教委が道徳教育推進教師研究協議会 特性生かし授業づくりを 鍛神小5年生の授業公開(市町村 2015-11-20付)
函館市教委道徳教育推進教師研・授業
【函館発】函館市教委は十二日、函館市立鍛神小学校(片桐由博校長)で二十七年度道徳教育推進教師研究協議会を開催した。市内の小・中学校教師約百人が参加。五年生の公開授業を通じて道徳教育の指導の在り方等について協議したほか、文部科学省初等中等教育局の赤堀博行教科調査官を講師に迎え、道徳教育の充実に向けて研鑚を積んだ。
研究協議会は、函館市南北海道教育センターとの共催。
開会式であいさつに立った小山みゆき学校教育部長は「特別の教科・道徳」の特質を生かした授業づくりの必要性等を示し、「道徳教育の充実に努めていかなければならない。ぜひ、その舵とりをやっていただきたい」と述べ、各学校での実践活動に期待を寄せた。
公開授業では、同校の小酒忠義教諭が「思いやり」をテーマにした五年生の授業を指導した。
同校五年生は、各種学校行事等を通じて、視野を広げた行動がみられるようになってきた。日常生活においても周りのことを考えて行動する場面や、相手のことを考えた言動もみられる一方で、同級生や上級生に対する際には、その傾向が少なくなる状況もみられている。
このため小酒教諭は、誰に対しても思いやりの気持ちをもって接していこうとする道徳的実践力の育成を目的に授業を進めた。
授業では前半、登場人物に共感し、自分とのかかわりで登場人物の気持ちを想像させ、考えた理由を問いかけることで、人間理解、他者理解を深めることを心がけた。
小酒教諭は「思いやりって何だろう」と問いかけた。児童たちは、「おぼれたときにおねえちゃんに助けてもらった」「重い荷物をもっているときに手伝うこと」と思いつくことを発言した。
小酒教諭は、読みもの『最後のおくりもの』を読み聞かせ、登場人物の気持ちや相手に対する思いについて考える発問を重ねた。
後半では、相手の立場で行動することについて考えることを促し、四~五人編成のグループに分かれての話し合い活動につなげ、「思いやり」「助け合い」「支え合う」をキーワードに、道徳的価値について多様な感じ方があることに気づかせることに努めた=写真=。
小酒教諭は「算数の答が分からない友達に、答えを教えることもあれば、ヒントを教えることもある」「相手のことをみて、助ける方法もいろいろある」「自分自身の思いやりって何だろう、振り返ってみて」と助言に気をつかいながら、子どもたちが思いやりの心をもち、親切な行為をしようとする意欲を喚起することに集中していた。
◆育てたい子ども像明確に 文科省・赤堀氏が講演
道徳教育推進教師研究協議会では、文科省の赤堀教科調査官が「今、求められている道徳教育の充実」と題して、道徳の教科化をめぐる論議や、教育活動全体を通じて行う道徳教育の進め方などについて、分かりやすく解説した=写真=。
赤堀教科調査官は「本当に道徳教育の特質を生かした授業をやっているのか。不十分な状況があれば早急に改善していかなければならない」とし、道徳の教科化が求められてきた背景を説明した。
「手段が目的となることはあってはならない。道徳教育の特質が失われる」と述べ、学校が主体的に子どもの実態や地域の実情などを把握した上で、育てたい子ども像を明らかにして目標を設定し、計画を立て、教職員が共通理解、共通実践できるようにすることを求めた。
中では、学校の「カリキュラムマネジメント力」「組織力」「校長のリーダーシップ」―の三点が重要とし、しっかりとした指導計画づくりを期待した。
この記事の他の写真
函館市教委道徳教育推進教師研・講演
(市町村 2015-11-20付)
その他の記事( 市町村)
留萌市教委が学力向上サポートセミナーを開催 8校の成果と課題共有 全国学力調査結果踏まえ
【留萌発】留萌市教委は十六日、留萌市内の港西コミュニティセンターで学力向上サポートセミナーを開催した=写真=。市内の小・中学校八校の校長および教頭が参加。全国学力・学習状況調査の結果を踏ま...(2015-11-30) 全て読む
帯広市エリアファミリー南町中エリア 自学する子を地域で育成 旭川美術館・菅沼館長が講演
【帯広発】帯広市エリアファミリー南町中エリアは十三日、帯広市立稲田小学校(斉藤昌之校長)で教育講演会を開催した。学校関係者やPTAなど約百二十人が参加し、道立旭川美術館の菅沼肇館長が「自学...(2015-11-30) 全て読む
石狩市教委が学校整備の具体案示す 小中一体型施設建設へ―厚田区 本町・八幡地区は将来的な小中一貫校化も
石狩市教委は、小中一貫校整備計画などを盛り込んだ学校整備の具体策(案)を公表した。少子化が進む厚田区および本町・八幡地区において、今後の適切な教育環境の整備についてまとめたもの。厚田区では...(2015-11-27) 全て読む
比布町教委が全国学力調査結果を公表 中学全科目で全国上回る 一層の学力向上へ取組充実
【旭川発】比布町教委は、二十七年度全国学力・学習状況調査結果をまとめた。小学校では、全科目で全道平均を上回り、国語Bと算数Bおよび理科で全国平均を超えた。中学校は全科目で全道・全国を上回っ...(2015-11-26) 全て読む
札幌市教委が教育研究推進事業校内研究推進会議 校内研究推進に向け研鑚 市立小・中から300人が参加
札幌市教委は二十四日、札幌市生涯学習総合センターで二十七年度札幌市教育研究推進事業校内研究推進会議を開催した=写真=。市立小・中学校の校内研究推進委員ら約三百人が参加。校内研究の円滑な推進...(2015-11-26) 全て読む
27年度再任用は新規134人、計490人に 23年度の1・75倍―札幌市教委まとめ
札幌市教委が本年度再任用した教職員の任用状況がまとまった。新たに百三十四人が再任用となり、合計人数は四百九十人。年金支給年齢の引き上げが一因となって再任用職員が増加しており、二十三年度の二...(2015-11-20) 全て読む
認知症キッズサポーター養成講座 理解深め優しく接して 札幌市上野幌東小6年生が参加
札幌市立上野幌東小学校(小笠原康友校長)で十月下旬の二日間、認知症キッズサポーター養成講座が開催された=写真=。六年生六十六人が参加。講座や紙芝居を通して、認知症の知識を得るとともに、認知...(2015-11-20) 全て読む
上富良野町の全国学力調査結果 中学が全科目全国以上 今後も授業改善へ―町教委
【旭川発】上富良野町教委は、同町における二十七年度全国学力・学習状況調査結果をまとめた。中学校は全科目で全国平均正答率を上回った一方、小学校では全国を割った。上富良野町教委では、結果をもと...(2015-11-19) 全て読む
太陽光パネル活用等に関する学習活動研究 観察・実験生かした学習展開 札幌市北白石中で授業公開
札幌市教委は十七日、札幌市立北白石中学校(小関弘昭校長)で二十七年度札幌らしい特色ある学校教育推進事業「太陽光パネル活用等に関する学習活動研究実践校事業」にかかる授業公開・意見交換会を実施...(2015-11-19) 全て読む
函館市が教育大綱(27~29年度)決定 学校教育子の自立・自己実現へ 3つの基本目標実現目指し
【函館市】函館市は、教育大綱を策定した。六日に開かれた第二回総合教育会議で決定したもの。計画期間は、本年度から二十九年度までの三年間。①子ども・子育て支援の充実②学校教育の充実③生涯学習の...(2015-11-18) 全て読む