3定道議会代表質問の質問・答弁概要(9月11日)(道議会 2015-12-18付)
三定道議会代表質問(九月十一日開催)における山崎泉議員(北海道結志会)、荒当聖吾議員(公明党)、宮川潤議員(日本共産党)の質問、および高橋はるみ知事、山谷吉宏副知事、柴田達夫教育長、室城信之警察本部長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆国土強靱化について
山崎議員 ハードな整備に目が行きがちな防災、減災の取組だが、ハード整備には際限がない。災害をかわし、災害からまちや暮らしを修復し、立ち直る、まさに打たれ強く「強靱な」人とまちづくりへの取組が急務であると考えるが、何をすべきかを日ごろから学び、実践的な訓練等を重ね、はじめて「人の強靱化」は意味をもつと思う。ただいま申し上げてきたことを踏まえ、災害に対する基本認識を災害に向き合うその姿勢、「人の強靱化」に向けた取組の現状を伺う。
また、学校現場においては、どのような教育が行われているのか、所見を伺う。
高橋知事 災害に対する基本認識などについて。近年、東日本大震災をはじめ、局地的な豪雨や暴風雪、さらには、火山の噴火など、甚大な被害をもたらす自然災害が多発しており、想定外の事態も常に意識しながら、ソフト、ハード両面で万全の備えを怠らないよう、臨まなければならないと考える。
このため、市町村をはじめ、関係各機関とも連携し、道民の命と暮らしを守る強靱なまちづくりを着実に進めるとともに、防災に対する強い意識を住民一人ひとりにもっていただくことが大変重要だと考える。
道では、昨年六月に、ほっかいどう防災教育協働ネットワークを設立し、道内各地での防災イベントの実施や、研修会への講師派遣、教材の提供等を行っているほか、地域の防災活動のリーダー的役割を担う北海道防災マスターの育成や活用などに取り組んでおり、今後とも、こうした活動を通じ、地域防災力の向上に一層努めていく考えである。
柴田教育長 防災教育について。道内の各学校においては、児童生徒が地震や風水害などの様々な災害について正しく理解し、適切な行動を取ることができる能力を身に付けさせるため、理科や社会科、保健体育などの教科において、自然災害の特性や防災への努力、災害時の適切な行動の在り方などについて指導しているほか、特別活動等において、小学校では、地域住民から過去に起きた災害の話を聞く活動、中学校では、地域と連携した避難所運営の模擬体験、高校では、小学生を誘導しながら行う避難活動などを取り入れ、地域社会と連携した避難訓練等が行われている学校もある。
道教委としては、今後も、引き続き、先進的な事例を取りまとめた『安全教育実践事例集』の活用を促すなどして、教員の指導力の向上を図り、力強く生き抜こうとする児童生徒の育成を目指し、自他の安全に配慮して安全な行動をとることに重点を置いた防災教育の充実に努めていく。
◆総合教育会議について
山崎議員 地方教育行政の組織および運営に関する法律の一部を改正する法律によって、二十七年四月一日以降、すべての地方公共団体に、首長と教育委員会で構成する「総合教育会議」の設置が義務付けられたことから、道においても、知事と教育委員会で構成する「北海道総合教育会議」を設置したと承知している。
総合教育会議において協議および調整する事項は、教育、学術および文化の振興に関する総合的な施策の大綱の策定や児童、生徒等の生命または身体に現に被害が生じ、または、まさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合等の緊急の場合に講ずべき措置などの大きく三項目とされている。
改正では、教育の政治的な中立性は担保しつつ、民意を反映した首長の責任と役割が明確になるとともに、課題に対しての迅速な対応、調整を図ることが可能となっている。
例えば、いじめ問題が生じた場合、これまでは首長は関与することができず、教育長も教育委員会を主催することができず、非常勤の教育委員長が教育委員会を招集し、教育長を中心に対応が図られてきたが、改正によって、常勤の教育長が速やかに教育委員会を招集し、対応を図るとともに、首長の判断によって総合教育会議を設置し対応を検討するという迅速な対応が図られることになる。
総合教育会議の特性を生かしながら、本道の教育行政の推進や諸課題の対応にどのように取り組むのか、所見を伺う。
高橋知事 総合教育会議について。道では、本年四月施行の改正地方教育行政法に基づき、知事と教育委員会で構成する北海道総合教育会議を六月に設置し、北海道の教育を取り巻く課題を踏まえ、新たな教育大綱の策定に向けて、これまで、二回の会議を通じ、地域社会と学校との連携の促進などについて、意見交換を行ってきている。
私としては、総合教育会議は、自治体の長と教育委員会が、教育政策の方向性を共有し、一致して推進していくための仕組みであると考えており、今後、教育大綱を踏まえ、この会議を有効に活用しながら、児童生徒の教育環境の充実も含め、教育委員会との連携をこれまで以上に深めて、本道の教育行政の推進に役立てていく考えである。
柴田教育長 総合教育会議について。総合教育会議は、学力・体力の向上、いじめの解消など、様々な教育課題の解決に向けて、知事と道教委が教育政策の方向性を共有し、一致して、教育行政を進めていくための仕組みであると考えている。
例えば、地域社会と学校の連携や、地元企業と協力したキャリア教育の充実、複雑な人間関係や心の問題から起こるいじめ問題の解決などのためには、地域振興、経済・産業、保健福祉などの行政を担う知事と道教委が密接に連携することによって、総合的、効果的な取組が可能と考えている。
今後も、知事との連携をさらに深めるとともに、教育大綱の策定に向け、総合教育会議において十分に協議しながら、様々な課題に適切に対応できるよう教育行政を推進していく。
―再質問―
山崎議員 先般、総合教育会議に示された「北海道総合教育大綱」素案では、本道の教育、学術および文化の振興に関する総合的な施策について、目指す姿や施策の根本となる方針が示されている。総合教育会議自体は、知事と道教委が教育政策の方向性を共有し、一致して、教育行政を進めていくための仕組みである。
教育長の責任が明確にされるとともに、知事と教育委員会が連携を強化することで、人口減少、少子高齢化という厳しい状況下において、将来を担う子どもたちに対して学校教育や家庭教育の充実を図り、人材育成、社会教育活動、生涯学習の振興などを通じ、持続可能な北海道づくりに向けた取組が期待される。
また、八月二十六日に開催された第二回北海道総合教育会議で、地域社会と学校との連携の促進が議題となり、コミュニティ・スクールについて意見が交わされたと承知している。過去には、文部科学省のコミュニティ・スクールの拡大・充実策を検討している「コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議」において、市町村間、学校間の学力格差の解消にも成果がみられると報告されている。
現在のところ、本道における公立小・中学校のコミュニティ・スクール設置状況は二十九年までに百四十校という目標に対し、三十五校で二・五%、全国の七・五%と比較しても低調である。
「北海道総合教育大綱」素案では、「学校と地域社会との連携・協働体制を構築し、地域全体で子どもたちを育成するとともに、学校を核とした地域づくりを進めるため、北海道の全地域において、保護者や地域などの意見を学校運営に反映させるコミュニティ・スクールの導入を進める」と明記されている。大綱の対象期間は、「北海道教育推進計画」の期間を考慮して、二十九年度までの三年間となっている。
コミュニティ・スクールは、今後の地域づくりの核となることからも、早急に設置に向け取り組むべきと考えるが、所見を伺う。
高橋知事 コミュニティ・スクールについて。地域住民や保護者等が協働して学校運営に参画するコミュニティ・スクールは、教育環境の充実や地域の活性化に効果的であることから、先般、地域と学校の連携を一層進める方策について、知事部局と道教委が協働して検討するためのチームを庁内に設置した。
私としては、学校と地域のつながりを深め、地域社会全体で子どもたちの学びを支援する取組を進めることが大切であるなどの、総合教育会議での議論を踏まえ、コミュニティ・スクールの導入促進についても、当該チームを中心に、教育委員会と連携して、積極的に取り組んでいく考えである。
柴田教育長 地域社会と学校との連携について。コミュニティ・スクールは、地域住民が学校運営に参画し、学校と地域が力を合わせて子どもの成長を支えることによって、「地域とともにある学校づくり」や地域コミュニティーづくりを進める上で、有効な手立てであると認識しており、社会全体で子どもの学びを支援する取組の中心となるものと考えている。
今後においても、道教委としては、少子化が進む中、本道の未来を拓く人材を育成することができるよう、知事部局との連携を深め、コミュニティ・スクールの全道的な導入促進に向けた取組を強化していく考えである。
◆学力向上について
山崎議員 先月、発表された二十七年度全国学力・学習状況調査において、北海道は、全国の平均正答率との差が五教科で縮まり、中学校国語A、中学校理科は全国平均以上となるなど、「前年度に引き続き改善の傾向がみられ、教育委員会や学校、家庭、地域の取組が一定の成果として着実に現れてきたものと受け止めている」との教育長コメントが発表されている。しかしながら、いまだ多くの教科で全国平均を下回り、北海道は五科目平均正答率が、中学校が三十位、小学校が最下位であり、そのうち、三教科では、全国との差が広がったことが明らかになった。
中学校は、理科の平均正答率が公立校の全国の平均を超え、国語Aも前年度と同様に全国平均と同じとなるなど、学力が全国中位に近づいていると言えるが、小学校は、国語Bと算数Bが全国との差が縮まった一方、算数Aが全国平均との差が広がり、最下位となっている。
教育長は、こうした状況について、どのように認識しているのか。また、これまで道教委が取り組んできた改善方策について、どのように総括をしているのか伺う。
柴田教育長 全国学力・学習状況調査の結果等について。二十七年度の本道の状況は、全国の平均正答率との差が、前回と比べて二教科で同じ、五教科で縮まり、そのうち、中学校国語A、中学校理科は全国平均以上となるなど、前年度に引き続き、改善の傾向がみられるが、一方で、いまだ多くの教科で全国平均を下回り、特に、小学校国語A、算数Aで全国平均との差が大きくなったという状況については、厳しく受け止めている。
道教委では、これまで、社会で自立するために必要な学力をすべての子どもたちに身に付けさせる必要があるとの考えのもと、授業の改善と望ましい生活習慣の確立を車の両輪と位置付け、市町村教委や学校、家庭、地域の協力をいただきながら取組を進めてきており、こうした取組が一定の成果として、着実に現れてきていることから、今後も一層、徹底していくことが重要と考えている。
―再質問―
山崎議員 答弁では、小学校国語A、算数Aで全国平均との差が大きくなり、厳しく受け止めているとのことである。
本道の児童生徒の素質が劣っているとは、私は考えられない。全国学力・学習状況調査において、秋田県など、毎年、上位に位置している県と本道では、何が違っているのか、教育長の考えをお聞かせいただきたい。
柴田教育長 学力向上に向けた取組について。本年度の全国学力・学習状況調査の結果については、今後、詳細に分析することとしているが、過去の分析においては、例えば、上位県である秋田県と比較すると、本道では、ノート指導や宿題の取組をしっかりと行っている学校や、学力調査の問題を授業で生かしている学校の割合が低く、また、規則正しく朝食をとる子どもや適切な睡眠をとる子ども、一日一時間以上、家庭学習をする子どもの割合なども低いことが明らかになっている。
道教委としては、これまでも、上位県の様々な取組を参考としながら、授業の改善と望ましい生活習慣の確立を車の両輪と位置付けた取組を進めてきており、今後においても、その取組を一層徹底していきたいと考えている。
◆高校配置計画について
山崎議員 道教委が九月一日に決定した二〇一六年度から二〇一八年度の公立高校配置計画では、二百三十五校ある現行の道内公立高校が二〇二〇年度に十一校減の二百二十四校となる見通しであり、自治体に公立高校のない、いわゆる「公立高ゼロ地域」は四町増の五十四市町村となり、道内百七十九市町村の実に約三割となる。
人口減少問題を抱える中、地域の活力を維持するためには、高校の存続が必要との声は道内各地に根強いものと受け止めている。
また、計画では、留萌市にある留萌と留萌千望が統合し、同市も二〇二〇年度からは自治体に公立高が一校だけの「ワン地域」になり、二〇二〇年度のワン地域は九十四市町村で、「ゼロ・ワン地域」は計百四十八市町村となり、道内自治体の八割を超すことになる。
道教委では、高校の教育水準の維持向上を図り、活力ある教育活動を展開する観点から、高校の配置を検討していると承知しているが、人口減少が続き、現状の方針で配置計画を進めていけば、地域から公立高校がさらに減少していくことが避けられないと考える。
持続可能な北海道を創造するためにも、人材育成は最も重要な要素の一つであり、地域と連携し特性を生かしながら、社会的、職業的自立に必要な能力や態度を育成するキャリア教育に取り組み、本道の発展に主体的に貢献できる人材を育成するという視点を加え、配置計画を考えていくべきと考えるが、今後、道立高校の配置計画の在り方をどう考えていくのか伺う。
また、今後の可能性の一つとして、地域資源の活用や住民ニーズを反映した公立高校の複合施設化などを含め、施設の在り方そのものを大胆な発想のもと検討してはいかがか。所見を伺う。
高橋知事 高校教育の在り方などについて。人口減少が急速に進行する本道において、住民の方々が安心して暮らせる環境を確保するとともに、地域の未来を支える人材を育成する観点からも、地域における高校の果たす役割は大切であると認識する。
こうしたことから、生徒一人ひとりの個性と多様な能力を最大限伸ばすことができるよう、地域の実情を考慮しながら、生徒の興味・関心や、進路希望等に応じた魅力ある高校づくりを進めることが大切であり、道としては、道教委と連携しながら、教育環境の整備に取り組んでいく考えである。
柴田教育長 高校配置計画などについて。道教委としては、人口減少社会への対応や地域を支える人材の育成の観点から、地域の教育機能を維持・向上させることは、重要な課題であると認識している。
道立学校では、これまでも、市町村や地元企業とも協力しながら、地域を支え、地域の産業を担う人材の育成に努めてきており、今後とも、本道の発展に主体的に貢献できる人材を育成するため、地域の産業や自然環境などの教育資源を活用し、特色ある学校づくりに取り組むとともに、高校の配置については、地域の教育機能を確保する観点から、特に、ほかの学校への通学が困難な地域にある小規模校の在り方や教育環境の充実に向けた検討を進め、年度内を目途に方向性を取りまとめる考えである。
また、高校施設とほかの施設との複合化などについては、生徒の学習環境や学校生活に支障のないことはもとより、相互利用による学習・生活環境の高機能化および多機能化を図るといった観点も重要であることから、今後、全国の事例などを収集し、効果や課題などを分析していきたいと考えている。
―再質問―
山崎議員 小規模校では学習効果が上がらないとして、進学への教育体制を望む保護者のニーズや、行政側の効率化の発想などを軸にして、検討、実行が進められてきた。
人口減少社会を迎え、必要とされるのは、北海道の特色を生かし、どのような人材を育成すべきか、また、その地域のコミュニティーにとってどのような高校が必要なのかという観点であり、基本的な考え方としては、知事、教育長も同意いただけると思う。
複合化を含めた施設の在り方について、教育長は、分析していく旨、答弁したが、知事は、道教委と連携しながら、教育環境の整備に取り組んでいくとの、主体性に欠ける答弁をした。
地方教育行政制度の改革の趣旨や総合教育会議の位置付けにかんがみたとき、人口減少やグローバル化の進展などによって、地域産業を支える人材や本道の国際競争力の向上に資する人材の育成確保を図る上で、教育施設そのものが地域の核になると知事が考えているのなら、自身の政策判断で、地域特性を生かした新たな教育施設の在り方を打ち出すべきと考えるが、所見を再度伺いたい。
高橋知事 教育施設の在り方について。地域における教育施設は、その活用によって、地域と学校の連携の強化、さらには、地域での様々な活動の活性化に貢献できるものと認識する。
教育施設の在り方については、今後、学習・生活環境の高機能化および多機能化といった観点も含め、道教委と連携しながら、様々な事例の収集や、効果、課題の調査分析などを行っていく考えである。
◆献血の推進について
山崎議員 高齢化社会の進展に伴い、病気の治療などで輸血を必要とする人が増えると予想される中、日本赤十字社が実施した献血需要に関する将来推計シミュレーションでは、現在の献血率のまま、少子・高齢化が進展した場合、需要がピークを迎える二〇二七年には、約五百四十五万人の献血が必要になり、献血者数で約八十五万人分の血液が不足すると予測されており、輸血用血液製剤が確保できないため、必要な手術や治療が行えないという事態が生じるおそれもあることから、将来を見据え、献血が命のリレーであることを道民に訴えていかなければならない。
昨年の第四回定例会で、私の一般質問に知事は、「これまでの取組に加え、若年層の人たちに対して、命の大切さや献血の意義を伝え、献血意識を一層高めるため、道教委と連携して、小学校をはじめ、中学校、高校において、血液センターと協働して献血セミナーを開催するなど、道民の命を守るという強い決意をもって、献血の普及拡大に取り組んでいかなければならないと考える」と力強く答弁した。
しかしながら、小・中学校の義務教育の学習指導要領には、献血に関する項目はないことなどから、二十六年度に献血セミナーが開催された公立小学校は十七校、公立中学校では十校となっている状況にある。
献血の普及拡大に取り組む有識者は、小・中学校などで献血の大切さを学ぶ事が極めて重要であると述べている。
小・中・高校での献血に関する学びの現状をどのように認識し、今後、学ぶ機会の確保にどのように取り組んでいくのか、見解を伺う。
柴田教育長 献血にかかわる学習について。現在、高校の教科「保健」において、献血制度などの保健・医療制度の仕組みや、日本赤十字社などの保健活動等について理解させる学習が行われているほか、一部の小・中・高校において、献血セミナーの実施など、児童生徒が献血の意義について理解を深める取組が行われている。
道教委としては、少子高齢社会が進展する中、将来の献血を支える高校生等の若年層に対し、様々な機会を通じ、献血の意義や制度などについて、理解を深めさせていくことが重要であると考えており、献血にかかわる学習についての事例集を作成し、各高校に対して情報提供するとともに、本年十月から新たに、知事部局や日本赤十字社と連携し、小・中・高校の教職員を対象とした、献血制度等に関する研修会を開催するなど、今後とも、献血にかかわる学習の充実に取り組んでいく考えである。
◆不登校児童生徒への対応
荒当議員 今日、不登校児童生徒が全国で十二万人、本道においても、四千人を超える中、国においては、学校以外の施設や家庭などにおける不登校児童の学習機会の確保に向け、様々な議論が行われている。
こうしたことを踏まえ、不登校児童に対し、多様な教育機関を確保することが重要であると考えるが、教育長の所見を伺う。
また、もとより、不登校を未然に防ぎ、すべての児童生徒が学校に通えることが一番望ましいことであることは言うまでもない。
道教委として、どのように認識し、対応しようとしているのか、併せて、教育長の所見を伺う。
柴田教育長 教育機会の確保と不登校対策について。義務教育においては、教育の機会均等という理念のもと、将来自立するために必要な生きる力をすべての子どもたちに身に付けることが必要であると考えており、様々な事情によって、やむを得ず不登校となった児童生徒に対して、現在、国などにおいて、子どもたちの社会的自立のために、多様な教育機会の確保についての検討が進められていることは、大切なことであると考えている。
道教委では、こうした不登校を未然に防ぐために、各学校において、教育活動全体を通じ、児童生徒の自己存在感や自己有用感を高める取組の充実や、学ぶ楽しさを実感できる授業の実施、さらには、きめ細かな教育相談体制の充実などを図るため、指導主事による学校教育指導はもとより、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置や派遣、不登校を解消した対応事例集の作成・配布などに取り組んできており、今後とも、市町村教委や学校に対し、不登校の未然防止や解消に向けた適切な対応が行われるよう指導助言に努めていく。
◆少年の犯罪防止について
荒当議員 北海道の未来を担う少年が、心身ともに健やかに、たくましく成長することは、道民すべての願いであり、少年が健全に育成される社会の実現に向けて取り組むことは、我々の責務であると考える。
一人でも多くの子どもたちが犯罪に手を染めることがないよう、今、まさに、市町村や学校、家庭など、地域が一体となった連携を図り、少年の犯罪防止に向けて、抜本的な非行防止対策に取り組むべきと考える。所見を伺う。
山谷吉宏副知事 青少年の非行防止について。道では、青少年健全育成条例に基づく、コンビニエンスストアやカラオケボックス等の立入調査をはじめ、市町村等を通じ、地域の方々の協力によって、見回りや声かけ活動に取り組んでいただくとともに、児童相談所等においては、家族からの非行に関する相談などに対しての助言などの援助に努めるほか、毎年七月を強調月間と位置付け、非行や被害の防止に向けて、各種の事業に取り組んできている。
今後、青少年を取り巻く社会環境や教育環境などの変化を踏まえ、青少年の非行を未然に防ぐとともに、非行を繰り返すことのないよう、その立ち直りを支えていくため、道教委、道警本部はもとより、関係団体、地域の方々とより一層連携を密にして、青少年の健全育成に向けた取組を積極的に進めていく。
柴田教育長 非行防止に向けた取組について。各学校においては、少年非行を含む生徒指導上の諸問題を解決するため、教育活動全体を通じて、道徳教育と心の教育の充実、望ましい人間関係の構築、学びの楽しさを実感できる授業の実施などに取り組むとともに、きめ細かな相談体制の整備に努めてきた。
一方、こうした児童生徒の問題行動等の背景には、家庭や友人関係など児童生徒の置かれている環境に問題もあることから、道教委では、これまでも、各管内で開催する「生徒指導研究協議会」などの研修会において、学校、家庭、地域の関係機関等の実効ある連携について協議し、未然防止に努めてきたが、今後は、各学校において、望ましい生活習慣の定着に向けた家庭におけるルールづくりの促進や、子どもの健全育成にかかる警察署との協定に基づく情報共有などを進め、学校、家庭、地域の関係機関等が一層連携して、児童生徒の問題行動等の未然防止に向けた取組が進められるよう、市町村教委や学校に対し、指導助言を行っていきたいと考えている。
室城警察本部長 少年の非行防止について。昨年、道内において検挙、補導した非行少年は二千百三十六人であり、十年前と比較し、約三分の一にまで減少してきている。
一方、再非行によって検挙された刑法犯少年の割合は増加傾向にあり、昨年は二八・五%を占めるなど、少年の非行は、依然として憂慮すべき状況にあると認識している。
このため、道警では、関係機関・団体、ボランティア等と連携し、少年補導活動による少年への積極的な声かけはもとより、児童生徒を対象とした非行防止教室等の開催に取り組んでいる。
また、非行に走った少年に対しては、非行の程度等に応じて、定期的な連絡活動による、少年および保護者への継続的な指導助言等を行うほか、ボランティア体験、社会参加活動、就学支援等の、少年の居場所づくり活動への参加を促すなど、企業やボランティア等の地域の方々と連携を図りながら、問題を抱えた少年の立ち直りを図る取組も行っている。
道警としては、今後とも、道民の方々に、少年の非行情勢や非行防止の取組状況等について、幅広く情報発信を行うとともに、道、道教委はもとより、関係機関・団体、少年補導員や大学生等のボランティアをはじめとする地域の方々と連携協働して、非行防止活動の推進に努めていきたいと考えている。
◆特別支援教育について
宮川議員 道立学校から道教委へ雨漏り修繕を要望したにもかかわらず、いまだに対応されていない学校が十九校もあることが、七月の文教委員会でのわが会派の同僚委員の質問によって明らかになった。
雨漏り校舎で児童生徒が学校生活を送っていることを、教育長はご存じか。これでふるさとを愛する生徒を育てる環境としてふさわしいとお考えか。
早急に改修要望に応えることを求めるが、いかがか。
柴田教育長 道立学校施設の改修等について。道教委では、教育活動の基盤となる学校での安全で安心な環境を確保するため、学校が毎年度作成する「施設整備計画書」などによって、改修要望を把握し、計画的および随時の改修等を行っている。
こうした中、本年度改修工事を行う七校を除き、現在、屋根の改修要望のある十九校については、学校の建築経過年数を踏まえ、次年度から計画的に屋上防水工事など、建物の耐久性向上を図る抜本的な対策を講じることとしている。
さらに、こうした対策に加え、児童生徒の学校生活に支障を生じている場合などについては、担当職員による現地調査を行い、今後の修繕計画を見据えながら、臨時・応急的な対策を早急に検討するなど、学校施設の劣化等によって、教育活動や児童生徒の安全面に影響を及ぼすことのないよう、学校の実情を踏まえながら、良好な教育環境の整備に取り組んでいく。
宮川議員 八月二十六日に現地に伺った同僚議員によると、帯広養護学校は三年前と同じ場所に雨水受けのバケツが置いてあったとのことで、驚くばかりである。
児童生徒数の増加に伴い前年度増改築を実施したが、想定を超える児童生徒数の増加に施設整備が追い付いていない。給食提供も教室も来年度に向けて厳しい状況である。
職員室はすし詰め状態、一人当たり面積は特別支援学校標準設計の三分の一しかないことが分かった。労働安全衛生法に反するのではないか。
大規模改修を急ぐことはもちろんだが、教育長はよく現状を把握し、十勝管内全体として特別支援学校の配置をどうするのか、分校や学校新設を含め、検討すべきではないか。
柴田教育長 帯広養護学校の児童生徒数の増加への対応について。近年、一人ひとりの障がいの状態に応じた専門的な教育を受けさせたいという保護者のニーズの高まりなどを背景として、知的障がい特別支援学校の在籍児童生徒数は、全道的に増加傾向にあり、帯広養護学校においても同様の状況にある。
道教委としては、児童生徒数の増加に伴う教室不足など、狭隘化の状況がみられる学校については、適切な教育環境を確保する観点から、改善を図る必要があると認識しており、より一層、帯広養護学校の状況を把握した上で、今後とも、教室不足の解消にかかる方策など、対応策について検討していく考えである。
―指摘―
宮川議員 道特別支援学校標準設計における職員室面積基準は、職員一人当たり五・三ないし五・八平方㍍だが、帯広養護学校の小中学部では、その基準を遥かに下回る二・一平方㍍と極めて劣悪な状態である。
小中高には設置基準があるのに、特別支援学校にはないことが大きな問題であり、基準を設けるべき。
特別支援学校の配置については、十勝管内全域としての検討が必要であり、学校新設や分校化も含めた根本的な対策を取るべきであることを強く指摘しておく。
(道議会 2015-12-18付)
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