3定道議会一般質問の質問・答弁概要(9月15日)
(道議会 2015-12-22付)

 三定道議会一般質問(九月十五日開催)における中川浩利議員(民主党・道民連合)、白川祥二議員(北海道結志会)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長、室城信之警察本部長の答弁の概要はつぎのとおり。

◆教職員の多忙化解消

中川議員 学校現場における教職員多忙化の現状と、教職員の多忙化が児童生徒に及ぼす影響について、道としてどのようにとらえているのか伺う。

柴田教育長 教職員の多忙化に関し、教職員の時間外勤務等について。道教委としては、小・中学校、高校、特別支援学校を対象とした時間外勤務等にかかる聴き取り調査や、「時間外勤務等縮減推進会議」などを通じ、学校においては、教科指導や生徒指導などの日常業務はもとより、いじめ・不登校などの問題行動への対応などによって教職員の多忙化が解消されていない状況にあると認識している。

 道教委としては、児童生徒の指導に直接携わる教職員の多忙化をできるだけ解消し、一人ひとりの子どもと向き合う時間を確保することは重要な課題であると考えている。

中川議員 教職員の多忙化の実態について、道として定量的に把握するため、しっかりとした勤務時間の時間管理の体制整備を早急に行うべきと考えるがいかがか。

 特に、超過勤務時間については、適切な把握によって解消が図られること、そのための具体策が必要であると考える。

 教職員の勤務時間を管理職が把握した上で、過度の負担がかかっているとみられる場合には、業務管理の是正を行う体制の構築を学校現場においては、あらためて強く求めたいと思うが、教育長の所見を伺う。

柴田教育長 教職員の勤務時間の管理などについて。管理職員が教職員の勤務状況を的確に把握をし、校務の優先度や進め方等について認識を共有するなど、その効率性を高めていくことが重要であることから、昨年度の道人事委員会の報告や時間外勤務等縮減推進会議での議論を踏まえ、本年四月に道立学校における業務管理の在り方を見直した。

 具体的には、正規の勤務時間を超えて業務に従事した時間の記録表や、学校職員評価制度における職員面談の活用などによって、勤務時間外に行われている業務の従事時間や内容などを把握し、業務の平準化など業務処理体制の改善に努めることとした。

 各市町村教委には、こうした道立学校の業務管理の在り方の見直しを参考に、時間外勤務等の縮減に向けた取組を進めるよう通知をしており、今後、各学校の取組状況を把握し、より実効性の高いものとなるよう努めていく。

◆通学路の安全対策について

中川議員 道内における昨年の交通事故死者数は百六十九人で、昭和二十四年以来、六十五年ぶりに百七十人を下回るなど、減少傾向にはあるものの、いまだ、多くの方々が悲惨な交通事故の犠牲になっている。

 ことしは、八月末現在の死者数が百十五人で、対前年同期比で十一人の増加と厳しい状況であり、死亡、負傷に限らず、交通事故による犠牲者を一人でも減らすためには、特に、子どもや高齢者など、比較的事故に遭遇しやすい年齢層への対応が重要だと考える。

 全道をつぶさにみれば、地域で危険とされながら、いまだ安全の確保が十分なされていない通学路があり、信号機の設置などの要望もあるものと考える。

 そこで、住民等から、信号機等の交通安全施設の設置の要望を受けた場合の手続はどのように行っているのか伺う。

 また、交通安全は、信号機等の交通安全施設のみで図られるものではなく、道路を利用する者への教育、安全な道路の設計、交通指導取り締まりなど、様々な対策を総合的に行うことによって、交通の安全が確保されるものと考えるが、通学路の安全を図る上で、どのような対策を講じているのか伺う。

室城警察本部長 交通安全施設の設置要望を受けた際の手続について。自治体や住民から信号機等の設置要望を受けた場合は、管轄する警察署において、交通事故の実態、交通量、道路環境等を調査し、警察本部または方面本部では、この結果を踏まえ、現地調査を行い、必要性が認められる場合は、公安委員会の意思決定によって、交通安全施設を整備することになる。

 通学路の安全確保のための対策について。通学路については、毎年度、学校の統廃合や通学路の変更等による道路環境の変化に対応し、道路管理者等と協議を行い、必要な交通安全施設を整備している。

 また、二十四年度には、全国的に、通学路において重大な交通事故が連続して発生したことを受け、道においても、警察、道路管理者、教育委員会等によって、通学路の緊急合同点検を実施し、その結果、対策が必要な個所については、信号機や横断歩道等の交通安全施設を整備した。

 交通指導取り締まりに関しては、通学路の安全を確保するため、交通事故の実態、住民の要望などを踏まえ、特に、取り締まりの必要がある個所を重点通学路に指定し、登下校時間を中心に、指導取り締まりを行っている。

 さらに、児童生徒に対する交通安全教育として、学年に合わせた参加体験型の交通安全教室を通じ、道路の横断方法、自転車の乗り方などを指導している。

 道警としては、引き続き、学校関係者や道路管理者等と緊密に連携し、通学路の安全確保に向けた諸対策を推進していく。

中川議員 通学路において、子どもの安全を確保するためには、教職員等による登下校時の指導やPTA等による巡回パトロールのほか、スクールゾーンを設定するなどして、車両の進入規制をすることが有効な手段の一つと考えるが、スクールゾーンの設定や車両の進入規制には、かなりの時間がかかるとも聞いている。

 しかし、子どもの安全確保については、待ったなしの状態である。各学校における交通安全の指導等については、学校が中心となって行っているところが多くあるが、私としては、学校任せにするのではなく、学校、家庭、行政が一体となった取組が重要だと考える。

 そこで、道内では、地域等と連携した交通安全指導は、どのように行われているのか、また、道教委として、通学路の安全確保に、今後、どのように取り組んでいくのか伺う。

柴田教育長 通学路の安全確保について。児童生徒を交通事故の被害から守るため、学校や家庭においては、交通安全についての知識はもとより、児童生徒が自ら危険を予測し回避する力を身に付けさせるとともに、地域においても、学校と関係機関等が連携し、通学路の交通安全対策を進めることが大切であると考えている。

 道内における地域での安全確保の取組としては、例えば、学校が市町村や警察等と連携して、危険度が高い学校周辺の道路をスクールゾーンとして設定したり、学校支援地域本部の取組として地域住民による登下校指導を行うなど、通学路の安全確保に向けた取組が行われている。

 道教委としては、こうした取組を含め、通学路の安全対策がより促進されるよう、すべての管内で「学校安全推進会議」や「学校安全教室」を実施するほか、『安全教育実践事例集』を作成・配布し、活用を促すとともに、本年度実施する交通安全に関するモデル事業の実践発表会において、効果的な安全教育の事例を紹介するなどして、通学路の安全確保に向けた取組の充実が図られるよう努めていく考えである。

◆農業高校教育の充実

白川議員 本道の農業をめぐっては、国内外の状況が変化する中で、稲作、畑作、酪農・畜産など、いずれも、厳しい経営環境にある。

 このため、地域の農業・農村を守り、将来の発展を担う人材の育成は急務であり、農業高校における教育を重視し、充実、強化していく必要がある。

 道内の農業に関する学科を設置している高校は、二十六年で十五校、生徒数三千三百九十九人、教員数五百二十六人、実習助手八十人となっている。

 昭和六十三年以降の二十六年間で、学校数は三校減少し、生徒数は約一千八百人、三割以上、教員数は約百四十人、二割以上それぞれ減少している。

 道教委は、農業高校など専門高校について、進学人口、志望学科など、普通高校と同じような基準を当てはめ配置計画を進めてきたことで、農業高校も厳しい状況にある。

 いずれにしても、農業高校において、次世代に実践的な技術を継承し、地域に根を張って活躍する人材を育成することが必要と考えるが、どのように認識しているのか伺う。

 また、道教委と知事部局が連携し、本道の自然豊かな「食の宝庫」を生かした教育活動を押し進め、高校における農業教育の一層の充実を図ることが、北海道の活力を推進するための原動力になると考えるが、所見を伺う。

高橋知事 農業高校教育について。本道農業の持続的な発展を図るためには、意欲と能力のある担い手の育成と確保が不可欠であり、将来の農業経営者や関連産業を担う人材の育成を目指し、高校生のころから農業や食に関する専門的な教育を行う農業高校の役割は重要であると認識する。

 農業高校においては、農業大学校や農業改良普及センターとも連携して、必要な知識の習得や資格の取得に取り組んでおり、日本の食の安全、安心を支える北海道農業の担い手となる若者の育成に向け、今後とも、道教委と連携しながら、農業高校における実践的な教育の充実に取り組んでいく考えである。

柴田教育長 農業教育について。農業高校においては、本道の基幹産業である農業を支え、その振興、発展に寄与する人材を育成する重要な役割があるものと考えており、これまでも、体験的な学習を重視しながら、農業の基礎・基本を理解させるとともに、実践的な知識や技術を習得させる指導を行ってきている。

 また、近年は、例えば、米粉を使ったパンやケーキ、食肉を加工したハムやソーセージなど、本道の安全・安心な農産物を用いた商品の開発や、地元小売店、地域のイベント等での販売など、生産だけではなく、加工・販売といった六次産業化を視野に入れた取組も行われている。

 道教委としては、こうした農業高校における取組を一層支援するため、道内外の優れた実践事例を情報提供するとともに、本年度新たに、知事部局と連携し、本道農業の将来を見通した、生産性、収益性の高い農業の在り方などについて、農業生産者を講師とした生徒対象の講習会を実施することとしており、今後とも、本道農業の振興、発展を支える人材の育成に向けて、農業教育の充実に努めていく考えである。

― 指 摘 ―

白川議員 時代とともに進学状況も変質し、知性と個性、能力に見合った就学ができているのか、疑問がある。

 この自然豊かな「食の宝庫」・北海道で、六次産業化を進めるに当たって、農業高校の、各々の学科に人材育成の大きなヒントがあると思う。

 一律の配置計画ではなく、本道の魅力を最大限発揮できる、特色ある教育環境を整える、そして、道内外から職業能力を早い段階から伸ばそうとしている人材を受け入れ、北海道の活力の原動力にするよう高校教育の可能性を追究すべきであり、そのため、農業高校教育の充実、教育力の向上が不可欠と思う。

 道は、国はもちろんのこと、市町村と密接に連携し、多様な農業高校の充実、強化を図っていくべきであることを強く指摘する。

(道議会 2015-12-22付)

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