3定道議会一般質問の質問・答弁概要(9月17日)
(道議会 2016-01-15付)

 三定道議会一般質問(二十七年九月十七日開催)における佐々木恵美子議員(民主党・道民連合)、村木中議員(自民党・道民会議)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長の答弁概要はつぎのとおり。

◆私学の管理運営費補助金

佐々木議員 現在、道内には、私立の小学校が三校、中学校が十六校、高校が五十一校あり、それぞれの学校に対して管理運営費補助金が交付されている。

 高校については、国の補助事業である教育改革推進事業を活用して、各学校の取組に対して補助金を交付しているが、小・中学校については、この補助事業を活用していない。

 国の教育改革推進事業は、高校と同様に、小学校、中学校についても対象としているが、なぜ、道は、小・中学校に対しては補助事業を活用しないのか。

 そもそも、この補助は、国が二分の一、道が二分の一の負担であるが、道の負担分を負担したくないという、まさに財政上の問題ではないか。

 私が、文教委員会において、私立の小中学校に対する国の補助制度の活用を検討すべきであると質問したところ、学校側の意見等も伺っていきたいとの答弁があった。学校としては、国の教育改革推進事業分も交付されることを実際に希望しているし、それを希望するのは当たり前ではないか。

 私学においては、高校だけではなく、小・中学校を含め、それぞれが、建学の精神に基づき、特色のある取組を行っている。現在、公立の中高一貫校に注目が集まっているが、私学では、すでに中高一貫教育など、先駆けとなる様々な特色のある取組を実施している。

 そのような中で、小・中学校と高校に対する支援策に格差があってよいのか。小・中学校の数は高校に比べて少ないから、無視するのか。これでは、私学教育において、学校種間の公平性に欠け、問題があると考える。

 私立小・中学校に対する国の補助制度の活用について、知事は把握をしているのか。

 当然、私学教育の振興のため、この制度を活用すべきだと思う。私立の小・中学校に対して国の補助金を活用するために、どうして財源確保をしないのか伺う。

高橋知事 私立小・中学校に対する支援について。私立小・中学校への、標準的な経常経費に対する補助については、国庫補助金と交付税の財政措置が講じられているが、本道の場合、算定の基礎となる生徒数が少ないことなどによって、その補助の財源が少ない状況にある。

 道としては、こうした限られた財源の中で、小・中学校の特色ある活動に対する補助として、国の教育改革推進事業を活用するよりは、経常経費に対する補助を確保することが効果的と考えている。

 今後とも、引き続き、国に対して、さらなる財源措置の充実を要望するとともに、道の財政状況や小・中学校の実情等を踏まえながら、教育改革推進事業の活用についても検討していきたいと考える。

◆帰国子女に関する教育

佐々木議員 道は、先般、道政の長期的な指針となる新総合計画の素案を示し、人口減少問題への対応を喫緊の課題に据え、七つの将来イメージを掲げ、成長する海外市場への取り込みや、子育て環境の整備など施策の方向性を示した。その中で、経済・産業分野では、アジアなど海外への道産食品の輸出拡大、国内外からの観光誘客の促進など、積極的に近隣のアジアの諸外国との関係構築を図ろうとしている。

 また、道は、先般、道総合教育大綱素案の中で、「北海道の未来を拓く人材の育成」を示した。ここでは、「本道の国際的な競争力の向上に向けて、国際的なコミュニケーション能力や世界へのチャレンジ精神を有するとともに、日本・北海道人としてのアイデンティティーと異文化に対する寛容性を併せもつ人材を育成する」こととしており、本道においても、今後、国際的に活躍のできる人づくりを目指すこととしている。

 こうした政策を受け、本道でも、海外へ進出する企業が一層増加し、海外へ派遣されて働く道民が増えてくることが予想される。それに伴い、海外勤務者が家族を同伴し、その子どもたちが、海外で生活する機会が増えてくると考える。日本人学校や現地校、補習校、インターナショナルスクールで学ぶ子どもが多くなることが予想される。

 そうした子どもたちが、適切な教育を受けることができるよう、本道における体制を整えていく必要があるように思う。

 しかし、外国で企業戦士として働いている方々とふれ合う中で、帰国後の子どもの入学、転学で大変苦労している、心配している状況を数多く見てきた。保護者は本当に悩み困っている。

 本来、帰国子女の受入は、受入側の学校の生徒にとっても、大変、有意義なものとなる。子どもたちがお互いに違う文化を認め合って、ともに学びながら、尊敬し合う土壌をつくっていくことは、お互いにとって大変貴重な経験となる。

 こうしたことから、道として、帰国後、子どもたちが安心して戻って来られる環境を整えていかなければならないと考え、帰国子女についての所見を伺う。

 まず、帰国子女の人数は、全国や全道でどのくらいいるのか。

 国際化、グローバル化に伴って、本道においては、ここ数年で増加しているのか、また、どこの国に在住していた児童生徒が多いのか、現状を伺う。

柴田教育長 海外からの帰国児童生徒の状況について。国の学校基本調査では、二十六年度の全国における帰国児童生徒数は、国立および私立を含め、小学校で六千六百四人、中学校で二千四百六人、高校で二千五十三人であり、道内については、小学校七十二人、中学校二十五人、高校二十一人となっており、道内における近年の状況は、小・中学校と高校を合わせて二十四年度は七十二人、二十五年度は九十五人、二十六年度は百十八人となっており、年々増加の傾向にある。

 二十六年度の状況について、教育局などから聞き取ったところによると、在留していた国としては、中国やシンガポールなどのアジアが約四割、アメリカやカナダなどの北アメリカが約三割、イギリスやドイツなどのヨーロッパが約二割、その他の国々が約一割となっている。

佐々木議員 海外で企業戦士として働いている日本人などが、帰国後の子どもが入学、転学をする際、言語や文化の違いから孤立したり、ストレスで不適応を起こしたりしないかなど、大変悩んでいる。保護者が学校を選択するに当たっては、教員の帰国子女に対する理解が進んでおり、子どもが異なる言語や文化、価値観を受容しながらともに生きるという意識が高いなど、学校の受入体制が整っていることを求めているという話を数多く聞いている。

 しかしながら、受入校の現状は、例えば、日本語が十分に理解できない、教育制度や文化の違いになじめない、友達ができにくい、学校に帰国子女を受け入れる土壌がないなどの課題があり、そうした中で、子どもたちが学校生活に十分適応できず、また、学習の回復も不十分なまま、我慢を強いられ、課題を抱えながら生活しているといった声を耳にする。もちろん、それぞれ海外での生活様式が違うわけであるから、当然のことかと思う。

 現在、本道で帰国子女を受け入れている学校の課題は何か、また、学校では、そうした課題を解決するために、どのような取組を行っているのか伺う。

柴田教育長 帰国児童生徒を受け入れている学校の課題などについて。帰国児童生徒を受け入れている学校からの聞き取りによると、児童生徒の在留国や、在留期間、また、外国での就学形態や日本語の習得状況などが異なるため、一概には言えないが、日本語の理解が不十分なため、国語と算数などの学習内容を理解させる指導や、教育環境や生活習慣の違いから、学校生活に適応させる指導、また、友人関係の形成に悩む子どもたちへの指導などに難しさを感じているなどの回答があった。

 こうした課題の解決に向けて、学校では、複数の教員による支援体制を整えたり、地域のボランティアや学生などの協力を得たりしながら、学級以外の別室で行われる「特別の教育課程」による日本語指導や、個別の教育相談や放課後での補充的な学習など、児童生徒の実情に応じた指導が行われている。

 道教委としては、受入校が、帰国児童生徒の指導について、専門的な知識と理解を深めながら、より一層きめ細かな指導を行うことができるよう支援をしていきたいと考えている。

佐々木議員 日本人であっても外国人であっても、人権尊重の精神を基盤としながら、違いを尊重し、ともに助け合うような土壌の中で学んでいくことが大切であると考えている。

 現在、知る限りでは、学校での国際理解教育は、主にALTや外国人との交流活動、留学などを通じて異文化理解などを行っている。これらの活動にも価値はあるが、例えば、帰国子女が、得意な英語等を生かして、その英語等の発音の仕方を同級生に教え、日本の子どもたちは、文化や作法、言葉遣いを帰国子女に教えるなど、相互に教え合ったり、異なった文化を交流して互いの価値観を理解し合ったりすることが、人権尊重を基盤とした国際理解につながるものと考えている。

 私学では、すでに積極的に行っている学校がある。道内の公立学校の受入校では、帰国子女の海外経験などを生かして、国際理解教育を充実させるような取組も考える必要があると思うが、道教委の見解を伺う。

柴田教育長 帰国児童生徒の海外での生活経験を生かした取組について。国際理解教育においては、子どもたちが、国際社会において、日本人としての自覚をもち主体的に生きていく資質や能力、わが国の歴史や文化、伝統に対する理解やこれらを愛する心、さらには、異文化を理解し、異なる習慣や文化をもった人々とともに生きていくための資質やコミュニケーション能力などを身に付けることが大切であり、道教委では、こうした教育を展開していく中で、帰国児童生徒が海外で身に付けたものの見方や考え方、外国語の能力などの特性を生かし、外国での生活や外国の文化にふれた体験をほかの児童生徒の学習活動に役立てることは、意義あるものと考えている。

 こうしたことから、帰国児童生徒を受け入れている道内の学校では、帰国児童生徒が、外国で体験したことを自由研究としてまとめ、発表したり、また、外国人が来校し、子どもたちと外国人が交流する際、通訳をしたりするなど、海外での生活経験を生かした取組が行われているものと承知しており、道教委としては、今後も受入校において、こうした取組が積極的に行われるよう、国際理解教育について、専門的な知識を有する方々などとも連携し、支援していきたいと考えている。

佐々木議員 私立高校に対しては、管理運営費補助金が交付されている。外国人子女の受入については、昨年度の実績で、一人当たり約百六十万円を道の単独補助金で交付している。

 しかし、企業戦士として海外に行った日本人の帰国子女の受入については、国の補助金を活用し、一校当たり約六十五万円と、日本人の帰国子女に対する支援が余りにも少ないのではないか。

 海外から戻ってきて、子どもたちが文化の違いなどで悩んでいることを全く分かっていない、理解していないのではないかと考える。きちんと実態を把握しているのか。

 実際に、私立学校の中には、積極的に留学生を受け入れたり、帰国子女に対して、海外での入学選抜を行うなど、帰国子女を受け入れる土壌が整っているところもある。このような取組も学校の特色ではないか。

 私立学校における帰国子女の受入に関する現制度について、どのように認識をしているのか、併せて、今後、どのように支援していくのか、道の見解を伺う。

高橋知事 帰国子女を受け入れる私立学校について。私立学校においては、各学校における特色ある教育を展開し、推進する観点から、その教育を受けるための能力や適性等を判断して、児童生徒を受け入れており、帰国子女の受入に当たって環境の整備を図ってきたことなどによって、現在のところは、特別な対応が必要となっているとは聞いていないが、日本語の能力が不十分であるなど、個々の児童生徒の実態に合わせた適切な指導を行うことが必要な場合もあると考える。

 道としては、帰国子女の増加に伴い、帰国子女を受け入れる学校が増えることも想定されることから、今後は、私立学校に対する管理運営費補助金による支援については、帰国子女の実態や、受入を行っている学校の具体的な取組内容などを踏まえた上で、国や道の補助対象メニューの見直しも含めて、検討を行っていく考えである。

佐々木議員 帰国子女やその家族が抱える教育上の諸問題などに対して、情報提供や教育相談を行うなどして支援をする法人「海外子女教育振興財団」があるが、日本では海外に進出をする多くの企業が出資して、この「維持会員」となっている。しかし、現在、道内を本社とする企業で入会している企業は一つもなく、本道の企業の帰国子女に対する教育については、関心や意識が低い状況である。

 今後、グローバル化の中で、人口減少が加速し、本道の税収が減少する中、税収を増やすためにも、本道の中小企業も含め、企業が積極的に海外に進出するなど、子どもたちが海外で生活し、現地の学校に通うことが予想される。その中で、子どもも保護者も安心して本道に戻って来られるよう、環境を整えていかなければならない。そのためには、帰国子女が日本の学校生活に一日も早くなじめるよう、道内の学校は、帰国子女などを温かく受け入れたり、その能力を生かしたり、引き出したりする体制づくりを学校全体で進める必要がある。

 具体的な対応としては、生活や教科の学習に必要な日本語を指導する取り出し指導、生活への適応指導などはもちろんのこと、様々な事情を抱えている家庭や子どもたちの実態を十分に把握して適切に対応することや、保護者の悩み相談に応じる場をつくるなど、個々の実情に応じて対応することが重要である。さらには、帰国子女の海外生活に基づく豊かな国際性を積極的に生かす教育活動を一層充実させる必要がある。

 その際、いわゆる海外の日本人学校に派遣されていた教員や、道国際理解教育研究協議会に所属する教員など海外経験がある教員、国際理解教育について専門的な知識を有する人たちから意見をいただくなど、外部と協力していくことも大切であると考える。

 道教委は、帰国子女の教育にかかわって、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後、小・中・高校における受入体制の構築や帰国子女の海外経験を生かした取組の推進のために、どのように取り組む考えでいるのか伺う。

柴田教育長 帰国児童生徒に対する今後の取組について。帰国児童生徒の受入に当たっては、一人ひとりの実態を的確に把握し、学校生活において当該児童生徒が自信や誇りをもって自己実現を図ることができるように配慮することが大切であり、道教委では、これまで、受入校において適切な指導が行われるよう、日本語指導が必要な帰国児童生徒等が在籍する小・中学校、高校の教員等を対象に、児童生徒の実態把握の方法や、日本語指導を個別に行う「特別の教育課程」の編成の在り方などについて研修会などを実施してきた。

 今後は、グローバル人材育成の観点からも、帰国児童生徒を受け入れる学校が円滑に、かつ適切に受入体制を整備し、より充実した国際理解教育を行うことができるよう、専門家や関係機関・団体などの助言をいただきながら、道教委職員が、直接、学校を訪問し、取組状況を把握して、指導を行うとともに、道内外の優れた事例を参考に、帰国児童生徒の受入に関する手引きを作成し、市町村教委や学校に提供するなどして、帰国児童生徒に関する教育の充実に取り組んでいきたいと考えている。

◆地域教育力の活用について

村木議員 本格的な人口減少社会が到来する中、都市型、核家族化の進行などによって、地縁的つながりの中で子育ての知恵を得る機会が乏しくなったことや個人重視の風潮など、人々の価値観の多様化に伴い、保護者の家庭教育に関する考え方にも変化が生じていると感じている。

 これらを背景に、無責任な放任や過保護・過干渉など、家庭の教育力の低下も指摘されており、あらためて、保護者は、子どもの教育を学校だけに任せるのではなく、子どもたちにとって何が重要で、どのような資質や能力を身に付けていけば良いのかについて深く考え、学ぶことが必要だと考えている。

 とりわけ、学力や体力の向上に向けては、家庭における規則正しい生活と学習習慣の確立などが重要であり、基本的な生活習慣や、他人に対する思いやり、善悪の判断などの規範意識等の基本的なことがらは、一義的には、家庭教育において培われるものとの認識に立ち、保護者がその責任を十分全うすることが期待される。

 一方で、女性の社会進出等、社会構造が変化する中で、子育てに関する相談や学びを得たいと考えても得ることのできない保護者や、子育てに対する不安を感じるすべての保護者に対し、手の届く支援体制や学ぶ場を提供する環境整備が必要と考える。

 そこで、これまで道教委が進めてきているような、研修会や講演会など、積極的な保護者の参加を前提とした家庭教育支援の手法だけでは、学びたくても学ぶことができない、相談したくても相談できない保護者への対応として不十分と考えるが、このような保護者に対する支援をどのように行うのか伺う。

柴田教育長 家庭教育への支援の在り方について。家庭は、すべての教育の出発点であり、保護者が、子育てや家庭教育において、子どもの発達段階に応じた子どもとのかかわり方を学び、理解し、実践する力を身に付けることが重要である。

 こうした中、仕事や育児が忙しいなどの様々な理由によって、学びの機会が思うように得られない保護者の方々もいることから、道教委としては、いつでも、どこでも相談ができ、学ぶことのできる環境を整備することが必要であると考えており、これまでも生涯学習推進センター等を中心として、子育てや家庭教育に関する電話や来所による相談事業や学習機会の確保に努めてきた。

 さらに、本年度からは、保護者同士が気軽に学びや相談ができる場を確保するため、新たに家庭教育「学びカフェ」推進事業を実施しており、こうした日常的な家庭教育への支援活動の展開を通じて、保護者の家庭教育に対する学びの意識が一層高まるよう、取り組んでいく考えである。

村木議員 子どもの学力や体力の向上に向けては、学校が抱える様々な課題を解決し、子どもたちの豊かな学びを実現していくため、学校と地域が連携・協働して教育活動を展開するコミュニティ・スクールや学校支援地域本部等の仕組みを活用して、社会総がかりで教育を進めていくことが重要である。

 また、学校が地域と連携するに当たっては、地域人材の教育資源を学校教育に取り入れるためのコーディネーターの役割を担う担当教職員を置くことが効果的と考える。

 こうした中、国の教育再生実行会議の第六次提言で、コミュニティ・スクールをはじめとした学校と地域との連携・協働体制の構築による学校を核とした地域づくりの方向性が示され、現在、中央教育審議会では、地域との連携を担当する教職員に社会教育主事の有資格者を活用する方策について審議されている。

 地域に根ざした教育を展開するためには、学校の求める社会資源や住民の学習に対する意見・要望を把握して、課題解決に向けた情報提供や支援ができる社会教育主事有資格者を有効に活用すべきであり、地域とともにある学校を目指す上でも、一層、その活躍が期待されていると考える。

 こうしたことから、道内において、地域連携を担当する教職員に社会教育主事の有資格者を効果的に活用すべきと考えるが、見解を伺う。

柴田教育長 社会教育主事の資格をもつ教職員の活用について。子どもたちの生きる力を育むためには、学校・家庭・地域がそれぞれの役割と責任を自覚しつつ、社会全体で子どもたちの学びや成長を支える体制づくりを進めることが重要であることから、道教委では、「地域とともにある学校づくりを目指す」コミュニティ・スクールの導入などを促進しており、こうした取組を効果的に進めるためには、学校と地域をつなぐ知見やノウハウを有したコーディネーターの役割が大切であると認識している。

 このため、二十四年度から、社会教育施設を活用した授業改善や地域と連携した事業等の企画立案などに取り組むコーディネーターとして、社会教育主事の経験者をモデル的に学校に配置しており、今後とも、学校教育と社会教育が連携し、地域に根ざした教育活動の展開が図られるよう、コミュニティ・スクールや土曜学習などにおける、社会教育主事の資格をもつ教職員の効果的な活用について、市町村や学校に働きかけていく考えである。

村木議員 社会教育主事の有資格者の活用を図るばかりではなく、学校内における地域連携を担当する教職員に対して、社会教育主事の資格を取得させるなどの取組を積極的に進める必要があると考えるが、道教委における、これまでの取組状況と今後の対応について、見解を伺う。

柴田教育長 社会教育主事の養成について。社会教育主事の資格を取得するためには、文部科学省による講習を受講する必要があり、毎年、市町村や校長会等を通じ、教職員に対して講習の実施を周知してきているが、社会教育主事の役割や必要性について、必ずしも十分な理解が得られていないことや、講習の実施時期や場所、費用負担などの課題もあり、例年、教職員からの受講者は十人を下回っている状況にある。

 このため、道教委としては、社会教育主事の必要性と積極的な受講について、引き続き、校長会等に働きかけるほか、教職員を対象とした法定研修に社会教育に関する内容を位置付け、理解を深めさせることなどによって、資格取得を促進するとともに、講習を担当する大学と、受講日程に関する調整や受講費用の負担軽減などについて検討を進め、教職員が受講しやすい環境の整備に努めていく。

◆特別支援教育について

村木議員 近年、道教委が実施した調査等において、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする子どもが年々増加傾向にあり、その中で、発達障がいのある子どもは、障がいの状態の変化等によって、いじめの被害に遭ったり、不登校になってしまうなど、いわゆる二次的な障がいとなるケースもあると聞いている。

 このような中、岩見沢市においては、ことし四月に「教育支援センター」を開設し、保護者や学校からの、就学前から高校生までの子どものことに関するすべての相談を一括して受けることができるようにしている。そのうち、半数近くの相談が、発達障がいのある子どもなど、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする子どもへの対応に関する相談となっており、こうした相談に対し、ケースによっては、スタッフを学校に派遣し、保護者との面談や個別の指導計画の作成を支援するとともに、医療関係者と連携して発達検査を行い、今後の支援策を助言するなど、岩見沢市として、関係者が連携して発達障がいのある子どもへの指導や支援の充実に努めている。

 道内の他の地域においても、様々な取組が行われているものと思われるが、発達障がいのある子どもへの健やかな成長を保障していくためには、岩見沢市のように、地域の関係者が連携した取組などを参考に、各市町村においても、地域の実態に応じて、発達障がいのある子どもへの支援を充実していく主体的な取組が必要と考えるが、道教委としての対応について伺う。

柴田教育長 発達障がいのある子どもの支援について。道教委としては、身近な市町村において、障がいのある子どもへの早期からの一貫した支援が行われるよう、教育や保健福祉等の関係機関が相互に連携を図りながら、本人や保護者の相談・支援ニーズに適切に応えることが必要であると認識している。

 これまで、道教委では、道立特別支援教育センターにおける来所教育相談や市町村への巡回教育相談のほか、各教育局における専門家チームによる教育相談や研修会の実施など、市町村の相談・支援体制が充実するよう取り組んできた。

 加えて、市町村教委に対し、就学事務担当者の研修会などにおいて、保健センター等と連携を図り、乳幼児検診の場などを活用し、個別の教育支援計画の意義や目的について周知徹底するなど、就学前からの相談・支援の充実が図られるよう指導助言を行ってきている。

 道教委としては、こうした取組の中で、岩見沢市が設置した教育支援センターの取組を、先進的な事例の一つとして紹介するなどして、各市町村の実情に応じた特別支援教育がさらに充実するよう支援していく考えである。

(道議会 2016-01-15付)

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