3定道議会予算特別委の質問・答弁概要(9月29日)
(道議会 2016-01-27付)

 三定道議会予算特別委員会第二分科会(二十七年九月二十九日開催)における池端英昭委員(民主党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、成田祥介新しい高校づくり推進室長、岩渕隆義務教育課教育環境支援担当課長、松本邦由新しい高校づくり推進室参事(高校配置)の答弁の概要はつぎのとおり。

◆高校配置計画について

池端委員 この問題については、様々な方面に影響を及ぼすことになる。とりわけ、人口減少が著しい町村にとっては、切実な問題であり、強く反対している地域もある。

 そこで高校配置計画について、いくつか尋ねる。

 地域の声に対する認識について。高校配置計画の策定に当たっては、地域の意見を伺いながら検討していくとしているが、これまで、地域からは、どのような意見があり、道教委として、それらの意見をどのようにとらえているのか伺う。

成田新しい高校づくり推進室長 地域からの意見について。中学校卒業者数の減少が続く中、高校の教育水準の維持向上を図り、活力ある教育活動を展開する観点から、高校の配置を検討しているが、地域からは、「高校の配置は、教育や文化だけではなく、経済や産業など、地域に影響を及ぼす」「地域の活力を維持していくためにも、高校を存続してほしい」といった意見もいただいており、このような地域の方々の強い思いについては、道教委としても受け止めている。

 道教委としては、今後とも、地域の自然環境や人材などの教育資源を活用しながら、特色ある高校づくりに取り組むとともに、様々な機会を通じて地元の方々の意見を十分伺いながら、高校配置計画を策定していく。

― 再質問 ―

池端委員 答弁の中にもあったとおり、この計画の方向によっては、地域によって経済や産業にも影響することになり、地域の活力の衰退にも大きく影響を及ぼすことから、不安の声も多く寄せられているととらえている。地域の方々の強い思いを受け止めるということだが、今後についてはどのようにするのか、あらためて伺う。

成田新しい高校づくり推進室長 今後の対応について。これまでも、高校配置計画の策定に当たっては、地域別検討協議会で、将来的な生徒数や学級数の見通しを示し、早い段階から議論いただくとともに、再編等の必要な高校が所在する市町村には、あらかじめ、指針の考え方などについて説明し、地元の検討会等にも参加し、意見を伺っている。

 道教委では、こうした機会を通じて、地域の方々からいただいた意見や要望などについては、生徒の学習環境の充実を図る観点から、再編後の新設校の学科構成や学級減に伴う学科転換の内容などに反映させてきており、今後とも、地域別検討協議会をはじめ様々な機会を通じて、地域の方々の意見などを十分伺いながら、適切な高校配置に努めていく。

― 再々質問 ―

池端委員 高校配置計画で行ってきた学級数の削減や統廃合については、将来的な中学生の卒業者数の推計に基づき行われている。いまだ止まる気配のない少子化や人口減少が今後も続くことが想定されることから、こういった削減や統廃合が繰り返されることになってしまう。地域に高校がなくなることが、その地域にとってどれだけ重大なことか、皆さんの認識は分かりかねるが、数の論理だけでなく、例えば、少人数学級の導入によって教育の質を向上させようといった視点はないのか伺う。

成田新しい高校づくり推進室長 少人数学級について。第一学年一学級の小規模校に対しては、教育環境の充実を図る観点から、教職員の加配措置を行ってきているが、道教委としては、高校における少人数学級の実施のためには、国の教職員定数の改善が必要であると考えており、今後とも、全国都道府県教委連とも連携しながら、国に対して、改善が行われるよう強く要望していく。

池端委員 地域キャンパス校について。先の再質問でもふれたが、高校を失った地域にとって、その地域における子育てにかかる教育という重要な要素が一つなくなってしまう。今日の高校進学率を考えれば、どの地域に住んでいても、子どもがいる限り、間違いなく高校へ進学させることになるが、通学圏に高校がないということは、その子どもは下宿するか、あるいは、両親とともに、希望する学校が所在する自治体へ転居することになると思う。となれば、地域の人口流出となり、過疎化がさらに進んでしまう懸念が残る。

 やはり、地元に高校があり、親元から通学することが一番理想的だと思うが、例えば、中学校などの空教室を活用した地域キャンパス校の設置など、その対策として効果があると思うが、その可能性について検討したのか。

松本新しい高校づくり推進室参事(高校配置) 地域キャンパス校などについて。再編整備を進めるに当たっては、一律に行うのではなく、本道の広域性や地域の実情なども考慮し、小規模校であっても、地理的条件などから再編が困難な場合には、地域キャンパス校として教育環境の維持・充実に努めている。

 一方で、活力ある教育活動を展開する上では、教育水準の維持・向上の観点からも、一定規模の高校の生徒および教職員が必要と考えている。

― 再質問 ―

池端委員 本道の広域分散性から、地域キャンパス校の重要性は認識されながらも、生徒数や教職員の配置などの問題があり、簡単に地域キャンパス校が設置できないということだが、それでも、生徒数などの条件を緩和するなどし、北海道のどこに住んでいても、地元で高校教育を受けられる環境整備を目指すことが望ましいと考える。そこで、現在ある課題について、どのようなものがあるのか、再度伺う。

松本新しい高校づくり推進室参事(高校配置) 地域キャンパス校の課題について。中学校卒業者数が減少する中、道内に十九校ある地域キャンパス校においても、在籍者数が減少傾向にあり、生徒の確保が大きな課題となっている。

 また、センター校からの出張授業によって、教育環境の維持充実を図っているが、出張授業の教科の選定等や円滑な実施、芸術などの専門性の高い授業や開設科目数の確保などに課題がみられる。

― 指 摘 ―

池端委員 今、挙げられた課題についても、例えば、遠隔授業等の新しい技術の導入も含め、課題解決できるような取組を、ぜひ今後とも引き続き、検討いただくことを指摘する。

池端委員 現行の高校配置計画の指針について、「国の施策の動向や社会の変化、時代の要請を踏まえ、必要に応じて見直しを図る」こととしているが、今後においては、「国の制度改正の動向も見極めた上で」という考えが示されている。表現が若干変わっているように思えるが、国の制度改正が検討されているのか。

 また、国の制度が変わらなければ、これまでどおり、学級削減や統廃合を繰り返していくことになるのか。あらためて伺う。

柴田教育長 国の制度改正などについて。指針については、学級編制基準の改正など、国の施策に大きな変化があった場合には、見直しを検討する考えであり、高校において、きめ細かな指導を充実させる観点から、少人数学級の推進など、学級編制基準の見直しについて、これまでも国に対して要望を行ってきている。

 こうした中で、道教委としては、このような国の動向を見極めるとともに、人口減少社会への対応や地方創生の観点から、地域の教育機能を確保することも重要な課題であることから、今後、庁内に設置する検討組織において、中学校卒業者の大幅な減少など、高校を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、地域の実情にも十分考慮しながら、地域キャンパス校はもとより、新しいタイプの学校など関連する施策について検証を行い、地域キャンパス校の再編基準の取扱いなど小規模校の在り方や教育環境の充実に向けた考え方を年度内を目途に取りまとめていきたい。

― 意 見 ―

池端委員 私の地元では、浜益高校の廃校や、このたびの石狩南高校の間口削減等を経験することになった。このような苦渋の選択をしなければならない道教委の皆さんの心中は理解しつつも、やはり、地元の意見を聞く限り、教育環境の後退につながることへの不満の声を聞いているし、ややもすると、人口減少への悪循環になるのではと、本道の未来に憂いを残す。道教委には、ぜひ、子どもたちの将来と、その子どもたちが育った地域の思いもしっかりと汲み取っていただき、今後の高校配置計画を検討いただくようお願いする。

◆公立学校夜間学級について

池端委員 先般、自主夜間中学を運営している「札幌遠友塾」の皆さんと意見交換し、夜間中学にかかわる様々な問題や課題について伺うことができた。

 そもそも、戦後の混乱期の生活困窮などから、昼間に就労あるいは家事手伝い等を余儀なくされ、学校を長期欠席する学齢生徒に対し、昭和二十年初頭に中学校に付設されたということであるが、現在は、これらに加え、無国籍あるいは外国籍の子どもや子どもの貧困、また、いじめによる不登校など、問題も多岐にわたっており、義務教育未修了の正確な数は把握できていない状況にある。

 ただ、小学校未修了者が北海道は全国二番目となる七千三百七十四人いるが、そのほぼ同数の方々が義務教育未修了となっているのではないかと考えられている。

 私としては、早期の公立夜間中学校の設置が望ましいと考えることから、数点について伺っていく。

 これまで述べたように、夜間中学をめぐる問題は歴史が長く、さらに、新たな問題が増加している。そこで、道教委として、夜間中学校の意義、また、必要性をどのように認識しているか伺う。

梶浦学校教育局長 中学校夜間学級に関する認識について。戦後の混乱や貧困などの理由で義務教育を修了できなかった方々に、義務教育の場を提供する目的で設置された公立中学校夜間学級は、全国八都府県において、三十一校設置されているが、本道には設置されていない。

 道教委としては、公立中学校夜間学級について、学齢期に、様々な事情や病気などの理由があって義務教育を修了されていない方々に、学ぶ機会が確保されることは、大切なことであると受けとめている。

池端委員 現在、国会では、超党派による議員連盟が結成され、本年度中の議員立法成立を目指していると承知しているが、関連する国の動きなどは、どのようになっているのか。

岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 公立中学校夜間学級に関連する国の動きについて。昨年五月、文部科学省が各都道府県ごとに中学校夜間学級を設置する方針を示し、教育再生実行会議の提言や「子どもの貧困対策に関する大綱」にも、設置の促進が位置付けられた。

 国の具体的な取組としては、中学校夜間学級の設置に当たっての課題やその解消策に関する調査研究を、本年度から未設置の道県に委託している。

 また、超党派による議員連盟では、学齢を超過したあとに就学を希望する者も含め、多様な教育機会の確保にかかわる法案の検討がなされているものと承知している。

池端委員 公立中学校夜間学級とフリースクールとの関係だが、超党派の国会議員が検討している議員立法案では、不登校の子どもたちが通うフリースクールについても議論されているが、公立中学校夜間学級とフリースクールに通う子どもたちの対象の違いと、超党派の国会議員が検討している法案の理念について伺う。

岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 フリースクールとの違いなどについて。公立中学校夜間学級は、義務教育段階に相当する普通教育を十分に受けていない方で学齢期を経過した方や、不登校等によって、義務教育を十分に受けられなかった義務教育修了者、いわゆる形式卒業者を対象としており、フリースクールは、主に不登校児童生徒等を対象としているものである。

 また、超党派による議員連盟が検討している法案については、教育基本法の精神に則り、様々な事情によって義務教育諸学校で普通教育を十分に受けていない子どもや学齢超過後に就学を希望する方が、年齢や国籍にかかわらず、義務教育の段階における普通教育を受ける機会を与えられるようにすることを基本理念として、多様な教育機会の確保の在り方などについて検討されているものと承知している。

池端委員 先の新聞報道で、道は、札幌市とともに、設置に向けた課題を探る検討会議を、秋にも立ち上げるとされていた。そもそも、市町村教委の裁量によって、二部授業の実施について決定できる仕組みとなっているが、道としてはどのような役割を担っていくのか。

岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 夜間学級の設置に向けた道教委の役割について。道教委では、本年度、札幌市教委と連携して、設置促進にかかる国の委託事業を実施することとしており、本事業において、夜間学級設置に当たっての課題の整理や、課題解決の方策にかかる調査研究を行うこととしている。

 道教委としては、本事業を進める中で、広域的な教育行政を推進する観点から、道内における就学希望者を把握するための調査の実施や、複数市町村から入学者を受け入れる場合の市町村間の調整方法なども、併せて調査研究していく考えである。

池端委員 仮に、札幌市に設置されたとして、その近隣市町村までは通学が可能としても、広域、分散型の本道の特性から、ほかの振興局内にも多くいるであろう義務教育未修了者が通学することは、現実的には無理である。

 従って、総合振興局や振興局ごと、このようなくくりの中で、設置していかなくてはならないと考えるが、そのような考え方についてはどうか。

杉本学校教育監 中学校夜間学級について、各地域における対応について。様々な事情によって、義務教育を修了されていない方々に学習の機会を提供することは重要であり、夜間学級での学習を希望している方々のニーズを踏まえ、対応していくことが大切であると考えている。

 このため、道教委としては、このたびの国の委託事業を通じて、中学校夜間学級の果たす役割を紹介する広報活動や就学の意向等について尋ねるアンケート調査の実施などによって潜在的なニーズの把握に努めるとともに、市町村教委などとも連携しながら、必要な対応について、今後、検討していく考えである。

(道議会 2016-01-27付)

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