言語活動の工夫が必要 札幌市教委が全国学力・学習状況調査実施報告(市町村 2015-12-21付)
札幌市教委は「二十七年度全国学力・学習状況調査」の実施報告書をまとめ、十七日の第二十八回教育委員会会議で報告した。同調査の結果概要は十月に示しており、今回は新たに小・中学校各教科における児童生徒の意識調査結果などを公表した。意識調査では、「勉強は好きか」「勉強は大切だと思うか」などの問いを設定。国語九問、算数・数学十問、理科十三問とした。結果の分析に当たっては、「当てはまる」または「どちらかと言えば、当てはまる」との回答を合わせて、〝肯定的な回答〟としてとらえた。
◆小学校国語
肯定的に回答した割合について、全国平均との差が大きかった設問をみると、「勉強は好きか」が六四・六%となっており、全国平均を三・五ポイント上回った。また、「授業で目的に応じて資料を読み、自分の考えを話したり、書いたりしているか」は五九・八%で全国平均を五・四ポイント下回った。
市教委では後者の設問における結果を受け、言語活動の工夫が必要と分析している。
◆小学校算数
小学校算数では、「授業の内容はよく分かるか」が七五・五%で、全国より五・五ポイント低い結果となった。「授業で学習したことを普段の生活の中で活用できないか考えるか」は六二・五%で、全国平均を五・二ポイント下回った。
市教委では、後者の設問における結果を受けて、算数の有用性を感じ取らせる指導の充実が求められるとまとめている。
◆小学校理科
小学校理科では、「勉強は好きか」が八六・六%で全国平均を三・一ポイント上回った。一方、「自然の中で遊んだことや自然観察をしたことがあるか」は八三・六%で三・三ポイント下回った。「授業で学習したことは将来、社会に出たときに役立つと思うか」は六八・九%で五・六ポイント低かった。
市教委は、三番目の設問に関して、学習したことを生活とのかかわりの中でとらえさせるなど、有用性を感じ取らせる学習の構築の必要性を示している。
◆中学校国語
中学校国語では、「読書は好きか」に対して七三・四%が肯定的に回答。全国を五・五ポイント上回った。
一方、「授業で目的に応じて資料を読み、自分の考えを話したり、書いたりしているか」は四九・三%で、全国を九・九ポイント下回る結果となった。市教委では、この結果に関し、「学校図書館やインターネットの活用を進める」ことや「グループでの交流を取り入れる」ことなどを通して、考えを表現する力を高める指導の充実が必要とまとめている。
◆中学校数学
中学校数学では、「勉強は大切だと思うか」が七八・九%で全国を三・七ポイント下回った。「授業で学習したことは将来、社会に出たときに役立つと思うか」は六六・七%で全国よりも四・七ポイント低かった。「授業で問題の解き方や考え方が分かるようにノートに書いているか」は七七・一%で全国を三・五ポイント下回った。
市教委では、学習する意義が感じられる指導、有用性に気づかせる指導などが必要と分析している。
◆中学校理科
中学校理科では、「授業では、理科室で観察や実験をどのくらい行ったか」に対し、八九・四%が肯定的に回答。全国を五・五ポイント上回った。
一方、「授業で、自分の考えや考察をまわりの人に説明したり発表したりしているか」は三一・七%で、全国よりも六・七ポイント低かった。また、「授業で学習したことは将来、社会に出たときに役立つと思うか」は五〇・七%で、全国を三・六ポイント下回った。
市教委は、科学的な概念を使用して考えたり説明したりする学習活動や、科学的な思考力や判断力を育む指導の充実が求められると分析している。
(市町村 2015-12-21付)
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