道特別支援学校長会冬季研 校長会一丸で課題解決を 五十嵐会長あいさつ概要(関係団体 2016-01-07付)
道特別支援学校長会冬季研で五十嵐会長あいさつ
道特別支援学校長会冬季研究協議会(四・五日、札幌市内かでる2・7)初日の開会式における五十嵐利裕会長=写真=のあいさつ概要はつぎのとおり。
清水寺で昨年十二月に発表された、一年を表す漢字は「安」だった。これを聞いて、様々な「安」を思い浮かべたと思うが、本道の特別支援学校においても、「安心・安全」の「安」が話題となった。
昨年、安心、信頼につながるうれしい取組がたくさんあった。ここで挙げればきりがないが、これらは、広報担当からも「旬情報」として多数発信された。
その中で、私が購読している新聞の大みそかの全道版社会面に、小樽高等支援学校が製作する碁盤と碁石のセットの記事が掲載されていた。木工科生徒の「授業で国際貢献できると思っていなかったのでうれしい」というコメントと誇らしげな写真に、心が温かくなった。ぜひ、このような心温まる一年でありたいと思う。
しかし、一方で、学校給食における異物混入が複数の学校において発生し、道特長会として、各校の発生状況を共有しながら再発防止に努めた一年でもあった。
また、スクールバスの運行において、不審者の事案やバス内での児童生徒や添乗員のけがなど、保護者からの不安が寄せられ、各校では教職員の添乗を厚くするなどの対応をしている。
これらは、業務委託の形態ともかかわり、道特長会としても、道教委に対応策を働きかけている。
そして、依然として全道的に体罰案件が発生している。特別支援学校では、体罰には至らないと判断されたものでも、校内で児童生徒・保護者の尊厳を軽んじる発言があった。障がいのある幼児児童生徒の自立と社会参加のために教育に当たる私たちには、あってはならないこと。私たちの教育の根幹にかかわることであり、校長として、今一度気を引き締め、信頼される学校づくりをしなければならないと思う。
そこで、学校経営にかかり、いくつか教育の動向を共有したいと思う。
国の動きとして、中央教育審議会では昨年八月、教育課程企画特別部会から論点整理が報告された。二〇三〇年の社会と、さらにその先の豊かな未来を築くために、教育課程を通じて初等中等教育が果たすべき役割が示され、この中で、特別支援教育に関して、「すべての」学校や学級に発達障がいを含めた障がいのある子どもたちが在籍する可能性があるとしている。
教員養成部会から昨年十二月に答申があった、「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」では、特別支援教育の推進など教職課程の改善を図ることが重要であるとしており、特別支援教育の基礎・基本は、すべての教員が備えておくべき中身だと考える。
また、同答申では、三十二年度という目途を示し、「当分の間、特別支援学校教諭免許状を保有しなくても特別支援学校教員となることができる」という免許法附則第一六項の廃止を打ち出した。
事務職員については、昨年十二月に、「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」から、事務体制の強化について報告があった。
文部科学省の新年度予算案では、「インクルーシブ教育システム推進事業費補助」として、都道府県等が早期支援コーディネーター、合理的配慮協力員、外部専門家、看護師などの特別支援教育専門家等の配置や、連携協議会および研修による特別支援教育の体制整備をする場合に要する経費の一部を補助する取組。国総研に、「仮称・インクルーシブ教育システム推進センター」の設置。発達障がいの可能性のある児童生徒に対する放課後等福祉連携支援事業として、厚生労働省と連携しつつ、学校と放課後等デイサービス事業者等の福祉機関との連携支援、支援内容の共有方法についての調査研究に取り組むなど、新規事業費を計上し、障がいのある児童生徒等の自立と社会参加の加速化に向けた取組の充実を図ろうとしている。
本道の動向としては、十月に、「北海道総合教育大綱」が高橋知事から発表された。「基本方針」の「基本的な考え方」の第一項に「特別支援教育の充実」も示されている。「重点的な取組」では、「すべての子どもたちに、社会で自立するために必要な学力を身に付けさせる取組を進める」として、「学校・家庭・地域の連携のもとで子どもたちを育てることが大切であり、その具体的な推進方策として、コミュニティ・スクールを全道的に広める」としている。
このことは、特別支援教育においても同様であり、重要な視点と考える。全国でも同様の取組が求められているが、特別支援学校ならではの課題もある。
特別支援学校は学区域が広いため、地域も広範囲となる。そのため、学校運営委員をどのように選出し、学校の活性化に取り組むか。
障害者差別解消法がことし四月から施行される中で、地域の方が特別支援学校に在籍する児童生徒の障がいについての理解をどのように深めるか。
学校に対する多様なニーズがある現在、「チーム学校」として様々な専門職員を配置することで、地域から「障がいに関する専門的な学校」として認知を受け、どれだけ興味関心をもってもらえるかなどについて、全特長としても、考慮すべき点として押さえている。
特別支援学校はできないということではなく、その趣旨をかんがみ、実現に向けた方策を検討しなければならないと考える。
新年度は、公職選挙法の改正によって、十八歳以上の生徒が選挙権を有することから、教育課程にどう反映するかなど、学校経営上、様々な新しい課題もあるが、道特長会として一丸となって解決に向けて取り組んでいきたいと思う。
(関係団体 2016-01-07付)
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