札幌市教委がいじめ防止へ基本方針案　市や各学校での対策など示す

（市町村 2016-01-26付）

　札幌市教委は十九日、第一回教育委員会会議で札幌市いじめの防止等のための基本的な方針（案）を示した。札幌市や各学校におけるいじめ防止等の対策にかかる基本的な考えを示したもの。三月中にパブリックコメントを実施して最終案を作成。その後教育委員会会議で報告し、四月にも公表する予定となっている。

　同方針（案）は、国の「いじめの防止等のための基本的な方針」および「札幌市子どもの最善の利益を実現するための権利条例」の趣旨等を踏まえ、札幌市や各学校におけるいじめ防止等の対策にかかる基本的な考え方を示したもの。

　①いじめの防止等のための対策の基本的な考え方②いじめの防止等のために札幌市が実施する取組③いじめの防止等のために学校が実施する取組④市立学校におけるいじめ対処の流れ⑤重大事態への対処―の五つで構成されている。

　①では、悩みやいじめに関するアンケート調査で毎年一〇％超の児童生徒が「今の学年になってからいじめられたことがある」と回答するなど、札幌市におけるいじめの現状にふれ、いじめ防止等を総合的かつ効果的に推進するため、札幌市いじめの防止等のための基本的な方針を策定したことを説明している。

　また、札幌市いじめの防止等のための基本的な方針が各学校における取組に生かされ、いじめ防止等がより一層深まることを期待している。

　②では、札幌市子ども未来局が作成している子どもの権利に関するパンフレットを市内各学校に配布し、学級活動や道徳などの授業での活用を促進しているほか、大学と連携し、児童生徒のストレスへの対処を学ぶことや命を大切にする教育等について研究。今後、いじめ防止等の取組に活用していくことを説明している。

　また、早期にいじめの通報・相談を受けるため、市が設置している電話やメールの相談窓口の周知をしていること、札幌市いじめ等対策連絡協議会や札幌市子どもの命を守る連携協力会議など、関係機関と連携した組織を設置していることを紹介している。

　③では、「学校いじめ防止基本方針の策定」「いじめの防止等の対策のための組織の設置」「いじめの防止」「いじめの早期発見」「家庭・地域との連携」について言及。学校がいじめの問題に対応するための常設組織の設置、児童会や生徒会によるいじめ撲滅宣言など、児童生徒が主体的に考えたいじめ防止の取組などを求めている。

　④では、いじめを把握した場合には担任など特定の教職員が一人で抱え込むのではなく、組織で対応するよう呼びかけ、事実関係の把握やいじめられた児童生徒の安全・安心の確保、関係機関の連携や再発防止について示している。

　⑤では、重大事態発生時の報告や調査等について記している。

　今後は三月中にパブリックコメントを実施して最終案を作成。その後教育委員会会議で報告し、四月にも公表する予定となっている。

(市町村 2016-01-26付)