北広島西高がキャリア教育講演会　未熟な自分大切にして　講師に大谷大・荒瀬教授

（学校 2016-01-29付）

「未来に必要な力」をテーマとした講演会

　北広島西高校（後藤哲校長）は二十一日、同校体育館でキャリア教育講演会を行った。大谷大学教授の荒瀬克己氏（元京都市立堀川高校長）を講師に迎え、「未来に必要な力」をテーマに、「自分の目が確かだと思っていても、見えているものはほんのわずか」「人間は割り切れるものではない。悩み迷うために学ぶ」「未熟でいいじゃないか。未熟な自分と向き合い、その自分を大切にする」―と全校生徒約九百人に力強く、優しく語りかけた。

　同校は、「学び直し」「キャリア教育」をスクール・アイデンティティーに掲げ、様々な教育活動を行っている。また、道教委から小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業の指定を受け、近隣の小・中学校、道都大学、地元の産業界と連携・協働した体験学習、地域への参画活動を通して、基礎力、思考力、実践力の育成に努めている。

　今回は、中央教育審議会初等中等教育分科会、教育課程分科会などの委員を歴任した荒瀬教授を講師に迎え、「未来に必要な力」をテーマに講演会を行った。荒瀬教授は、校長として赴任した堀川高で、国公立大学合格者を従来の三十倍とし、京都大学に毎年二桁の合格者を出すなど、「堀川の奇跡」と呼ばれる学校に育て上げた立役者。荒瀬教授の経験から本当に必要な学力について生徒に語ってもらおうと企画したもの。

　冒頭、荒瀬教授は「見える、見えない、見た気になっている」という文章をスクリーンに投影。だまし絵など、様々な例を挙げながら、「思い込んだもの、思わされたものを見てはいないか、目の前にあるものだけを見ていないか」と投げかけた。その上で、「本当に大切なものは目には見えない。私たちには見えないものがたくさんある」「私たち人間にしかできないことは、しっかり迷い、悩むこと。そして、何とか決められること」と述べ、「何が見えていないのか考えること」の重要性を示した。

　また、その迷い、悩むところから、「自分を大切にする」ことの重要性を説明。「人間は割り切れるものではない。面倒だが、悩み、迷うために学ぶことが大切。何のために学ぶのか、学べば学ぶほど迷う」「すっきりしない自分とどう向き合うのか」「面倒なことだが、疑問を大切にし、そこに気づく自分を見捨てないでほしい」と次々に生徒たちにメッセージを送った。

　最後に、「未熟でいいじゃないか。熟したら落ちるだけ。熟したいという意識、自分を大切にする気持ちが大事。一つの決まったやり方はない」と締めくくった。

(学校 2016-01-29付)