道徳教育充実へ琴似中が授業公開　責任果たす心を育成　意見交流など通し思考促す―札幌市教委

（市町村 2016-02-04付）

研究開発事業「道徳教育の充実」の一環として実施

　札幌市教委は一月二十八日、札幌市立琴似中学校一年五組の道徳「責任を果たすとは」（岡村美樹教諭、生徒数三四人）の授業を公開した＝写真＝。研究開発事業「道徳教育の充実」の一環として実施した。岡村教諭は、登場人物それぞれの立場や思いの違いについて、生徒に意見を発表させ、全体で交流。ワークシートを活用しながら、責任を果たすために何が大切なのかを考えさせた。

　ことし三月の学習指導要領一部改訂によって、「特別の教科　道徳」が小学校で三十年度、中学校で三十一年度から完全実施される。こうした教育環境の変化を踏まえ、札幌市教委では、道徳教育のさらなる充実を図るため、小学校五校と中学校五校の研究協力校において、道徳の時間の多様で効果的な指導方法の工夫に向けた授業実践を公開するほか、学習会を実施。これらの成果を普及・啓発することによって、各学校の実態に応じた道徳教育の充実を図る取組を推進することを目指している。

　今回は、琴似中で授業公開と学習会を実施。一年五組の道徳「責任を果たすとは」では、「主人公の“僕”と柿本の立場や思いの違いを理解させながら、“僕”がどうしたらよいか考えること」「意見交流を通して責任を果たすにはどのようなことが大切かを考えること」を本時のねらいとした。

　岡村教諭は、普段の学校生活から責任について考えさせたあと、自作資料「委員長としての責任」を朗読。登場人物や内容を問いかけ、委員長である僕と柿本の立場や心情を理解させた上で、「柿本が生徒会誌に自分の名前をニックネームで書くことを委員長として認めるか認めないか」を問いかけた。

　生徒は、認める・認めないの立場に立って理由を説明。「誰が書いたか分からなくなるから認めない」「本名とニックネームを書けばいい」などと話したほか、意見に対する考えを発表するなどして交流した。

　また、岡村教諭は、委員長として置かれている状況と課題を整理した上で、あらためてどうしたらよいか問いかけた。

　生徒は、「何とか説得する」「ニックネームを書く人には本名を入れさせる」などの考えを発表したほか、責任を果たすためにはどのようなことが大切かワークシートにまとめた。

　このあとの学習会では岡村教諭が授業の内容を説明したほか、道徳の時間および道徳教育について交流。また、札幌市教委研修担当課の村岡美千世研修担当係長が道徳教育の目標や今後の方向性を説明したほか、道徳教育における評価の考え方や方法、指導要録の在り方などを紹介した。

(市町村 2016-02-04付)